マイコプラズマ肺炎画像集 [仕事のこと]
こんにちは。
六号通り診療所の石原です。
朝からレセプト作業をして、
それから今PCに向かっています。
それでは今日の話題です。
今日はマイコプラズマ肺炎のレントゲン画像を見て頂きます。
マイコプラズマは細菌とウイルスとの、
中間くらいに属する病原体で、
「咳の風邪」の原因として知られています。
その感染の典型的な経過は、
マイコプラズマ肺炎です。
ただ、
マイコプラズマは通常の培養の検査では、
検出が難しく、
血液の抗体の検査は、
その初期と回復期との2回、
血液検査をする必要があるので、
その確定診断はそう簡単なものではなく、
実際には確定診断ではないのに、
安易に「マイコプラズマ肺炎ですね」
のように言われるケースも、
稀ではないように思います。
急性期のみに上昇するとされる、
IgM抗体の測定が一時期盛んに行なわれ、
その陽性者は全てマイコプラズマの急性感染と診断されましたが、
この抗体は意外に長期間持続することがあり、
この検査はあまり当てにはならない、
というのが最近の認識です。
一昨年から、
痰などの検体を用いた遺伝子診断が、
健康保険の適応となり、
小児科学会もこの検査を診断のスタンダードとする、
という旨の声明を出しましたから、
今後この遺伝子診断が一般臨床のレベルで普及すれば、
もっとマイコプラズマ感染の全体像が明確になると思いますが、
現時点ではまだ、
この感染症の実態は、
曖昧模糊とした点が多いように思います。
本日は、
診療所で2回の抗体価の測定を行ない、
マイコプラズマ肺炎との確定診断が可能であった、
2例の事例の経過とレントゲン画像をお見せしたいと思います。
特に珍しいものではありませんが、
診療所ではなかなか確定診断が困難なので、
そうした意味で貴重なのです。
ではまずこちらから。
患者さんは40代の女性です。
2日前から発熱があり、
初日は微熱で、
翌日には39度代の高熱になり、
それと共に乾いた強い咳が始まります。
経過の3日目に診療所を受診され、
咳と熱に重症感があったため、
レントゲンを撮影しました。
それがこちらです。
向かって左側、
すなわち右の肺の、
真ん中の心臓の影に接した辺りの部分に、
不整形の影があります。
中葉と呼ばれる部分です。
こちらをご覧下さい。
矢印の先が肺炎像です。
この時点で採血を行なうと、
白血球は9200と若干の上昇で、
炎症反応のCRPは8.2mg/dl、
マイコプラズマ抗体は陰性でした。
ニューキノロンと呼ばれるタイプの抗生物質を使用し、
1週間後のレントゲンがこちらです。
影が大分薄くなっているのが分かります。
症状も熱は下がっていて、
咳も残っているものの、
初診時よりかなり改善しています。
この時点でのマイコプラズマ抗体価は640倍で、
明確な上昇があるので、
マイコプラズマ肺炎と診断しました。
レントゲン初見は必ずしも典型的ではありませんが、
経過は典型的なマイコプラズマ肺炎です。
熱はインフルエンザのように、
急激に上昇し、
それとほぼ同時に咳も伴います。
そして、数日後には既にレントゲンで分かるような、
肺炎像が出現しています。
抗体はその時点ではまだ上昇せず、
7~10日後には、
明確に上昇しています。
それでは次の事例をご覧下さい。
経過はほぼ同様で、
50代の男性の方です。
右の肺の下の部分だけを拡大しています。
矢印の先にぼんやりとした「スリガラス」のような影があります。
この方もニューキノロンで治療し、
1週間後がこちらになります。
影がかなり薄くなり、
改善しているのがお分かり頂けるかと思います。
このように典型的なマイコプラズマ肺炎は、
高熱と共に比較的すぐに、
多彩な肺炎像が出現するものです。
これまでは、
しばしば1回のみの抗体の検査で、
高力価の陽性であればマイコプラズマ感染と判断されましたが、
実際の感染における推移を見ると、
その判断は誤る場合が多いと思います。
また、
肺炎のない咳の強い風邪を、
マイコプラズマ感染と見做すケースがあり、
確かに軽症の感染であれば、
そうしたことも起こりそうではありますが、
診断はしっかりとされていないケースが大部分で、
過剰診断の可能性が、
高いように思います。
教科書的にも、
「軽症のマイコプラズマ感染はこれこれの経過を取る」
というようなことは、
あまり書かれていません。
前述のように、
今後遺伝子診断が普及すれば、
もっとマイコプラズマ感染の全体像が、
明確になると思いますので、
今後の知見の蓄積を期待したいと思います。
今日はマイコプラズマ肺炎の画像を見て頂きました。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。
六号通り診療所の石原です。
朝からレセプト作業をして、
それから今PCに向かっています。
それでは今日の話題です。
今日はマイコプラズマ肺炎のレントゲン画像を見て頂きます。
マイコプラズマは細菌とウイルスとの、
中間くらいに属する病原体で、
「咳の風邪」の原因として知られています。
その感染の典型的な経過は、
マイコプラズマ肺炎です。
ただ、
マイコプラズマは通常の培養の検査では、
検出が難しく、
血液の抗体の検査は、
その初期と回復期との2回、
血液検査をする必要があるので、
その確定診断はそう簡単なものではなく、
実際には確定診断ではないのに、
安易に「マイコプラズマ肺炎ですね」
のように言われるケースも、
稀ではないように思います。
急性期のみに上昇するとされる、
IgM抗体の測定が一時期盛んに行なわれ、
その陽性者は全てマイコプラズマの急性感染と診断されましたが、
この抗体は意外に長期間持続することがあり、
この検査はあまり当てにはならない、
というのが最近の認識です。
一昨年から、
痰などの検体を用いた遺伝子診断が、
健康保険の適応となり、
小児科学会もこの検査を診断のスタンダードとする、
という旨の声明を出しましたから、
今後この遺伝子診断が一般臨床のレベルで普及すれば、
もっとマイコプラズマ感染の全体像が明確になると思いますが、
現時点ではまだ、
この感染症の実態は、
曖昧模糊とした点が多いように思います。
本日は、
診療所で2回の抗体価の測定を行ない、
マイコプラズマ肺炎との確定診断が可能であった、
2例の事例の経過とレントゲン画像をお見せしたいと思います。
特に珍しいものではありませんが、
診療所ではなかなか確定診断が困難なので、
そうした意味で貴重なのです。
ではまずこちらから。
患者さんは40代の女性です。
2日前から発熱があり、
初日は微熱で、
翌日には39度代の高熱になり、
それと共に乾いた強い咳が始まります。
経過の3日目に診療所を受診され、
咳と熱に重症感があったため、
レントゲンを撮影しました。
それがこちらです。
向かって左側、
すなわち右の肺の、
真ん中の心臓の影に接した辺りの部分に、
不整形の影があります。
中葉と呼ばれる部分です。
こちらをご覧下さい。
矢印の先が肺炎像です。
この時点で採血を行なうと、
白血球は9200と若干の上昇で、
炎症反応のCRPは8.2mg/dl、
マイコプラズマ抗体は陰性でした。
ニューキノロンと呼ばれるタイプの抗生物質を使用し、
1週間後のレントゲンがこちらです。
影が大分薄くなっているのが分かります。
症状も熱は下がっていて、
咳も残っているものの、
初診時よりかなり改善しています。
この時点でのマイコプラズマ抗体価は640倍で、
明確な上昇があるので、
マイコプラズマ肺炎と診断しました。
レントゲン初見は必ずしも典型的ではありませんが、
経過は典型的なマイコプラズマ肺炎です。
熱はインフルエンザのように、
急激に上昇し、
それとほぼ同時に咳も伴います。
そして、数日後には既にレントゲンで分かるような、
肺炎像が出現しています。
抗体はその時点ではまだ上昇せず、
7~10日後には、
明確に上昇しています。
それでは次の事例をご覧下さい。
経過はほぼ同様で、
50代の男性の方です。
右の肺の下の部分だけを拡大しています。
矢印の先にぼんやりとした「スリガラス」のような影があります。
この方もニューキノロンで治療し、
1週間後がこちらになります。
影がかなり薄くなり、
改善しているのがお分かり頂けるかと思います。
このように典型的なマイコプラズマ肺炎は、
高熱と共に比較的すぐに、
多彩な肺炎像が出現するものです。
これまでは、
しばしば1回のみの抗体の検査で、
高力価の陽性であればマイコプラズマ感染と判断されましたが、
実際の感染における推移を見ると、
その判断は誤る場合が多いと思います。
また、
肺炎のない咳の強い風邪を、
マイコプラズマ感染と見做すケースがあり、
確かに軽症の感染であれば、
そうしたことも起こりそうではありますが、
診断はしっかりとされていないケースが大部分で、
過剰診断の可能性が、
高いように思います。
教科書的にも、
「軽症のマイコプラズマ感染はこれこれの経過を取る」
というようなことは、
あまり書かれていません。
前述のように、
今後遺伝子診断が普及すれば、
もっとマイコプラズマ感染の全体像が、
明確になると思いますので、
今後の知見の蓄積を期待したいと思います。
今日はマイコプラズマ肺炎の画像を見て頂きました。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。
2013-04-06 08:06
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コメント(3)
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自身のマイコプラズマ肺炎の診断が遅れ、完治に長い時間がかかったことを思い出しました(⌒-⌒; ) 苦しかったなあ・・・あれからもう3年です。ということは、先生のブログでたくさん勉強させていただいているという事ですね。ありがとうございます♡
by yuuri37 (2013-04-06 15:13)
yuuri37 さんへ
コメントありがとうございます。
これからもよろしくお願いします。
by fujiki (2013-04-07 11:44)
2例目の症例をマイコプラズマ肺炎と診断した根拠は何でしょうか?
両例ともにマイコプラズマ肺炎だったとしてもニューキノロンを使用したのは間違いです。結核が100%否定できない軽症肺炎にニューキノロンを第一選択薬として使用するのは避けてください。
良識を持って診療を行って下さい。肺炎が治れば何を使用しても良いという考えでしたら医師失格ですよ。
by 通りがかり (2013-08-02 12:45)