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膵炎は何故起こるのか? [医療のトピック]

こんにちは。
六号通り診療所の石原です。

今日は胃カメラの日なので、
カルテの整理をして、
それから今PCに向かっています。

今日は膵炎の話です。

膵炎は膵臓の炎症です。
膵臓の細胞が壊れるのですね。

では、何故膵臓が壊れるのでしょうか?

膵臓は消化酵素を分泌しています。
糖分を分解するのがアミラーゼで、
脂肪を分解するのがリパーゼという酵素。
そして、トリプシン、キモトリプシン、エラスターゼといった酵素が、
蛋白質を分解する酵素です。

この中で一番問題になるのが、
蛋白の分解酵素です。
膵臓の細胞も蛋白質が主成分です。
従って、消化酵素に強く晒されれば、
溶けてしまいます。
端的に言えば、
これが膵炎の原因です。
膵臓が出す酵素が、
膵臓自体を分解してしまうのです。

でも、何故正常な膵臓は、
消化酵素で溶かされないのでしょうか。

その理由の第一は、
膵液の消化酵素が、
活性のない状態で分泌され、
膵管を流れるうちに活性を持つような、
仕組みになっているからです。
あと、トリプシンインヒビターと言って、
トリプシンという酵素を効かなくする物質も、
膵臓の細胞は作っていて、
それが膵臓を守っていることも分かっています。

そうした仕組みが、
何らかの理由でうまく機能しなくなり、
消化酵素が膵臓の中で活性化されてしまうのが、
膵炎の原因です。

これには色々な原因が考えられます。

トリプシンインヒビターの異常があって、
トリプシンが活性化されてしまうこと。
これは遺伝性膵炎と言って、
遺伝子の異常のことが多いと言われています。

それから膵管の流れが悪くなるような状況があると、
膵液が膵臓の中に溜まり、
中で活性化されてしまうので、
膵炎になります。
胆石があったり、
胆汁の流れが悪いと、
膵炎になり易いのはこのためですね。

膵液の流れが悪くなると、
膵液は粘調になり、蛋白の塊が出来ます。
そこにカルシウムが沈着して、
石のようになったものを、
膵石と言います。
石が流れを更に悪くするので、
これによって更に膵炎が進行します。

膵炎には急性膵炎と慢性膵炎とがあります。

急性膵炎は急激な変化で、
時に重症化しますが、
通常は半年以内には治癒します。
膵臓は元の状態に戻る、ということです。

慢性膵炎は通常じわじわと進行し、
はっきり原因の分かっているもの以外は、
決め手となる治療がありません。
慢性膵炎は時に急性の症状を出すことがあり、
急性膵炎と見分けの付かないこともあります。
従って、その両者の区別は、
必ずしもクリアなものではありません。

膵炎の原因と言って、
皆さんは何を思い浮かべますか?

多分アルコールでしょう。

膵炎はお酒のみの病気、
という印象があります。
しかし、それは正しいのでしょうか。
今まで説明した膵炎の原因には、
アルコールは無関係のように思えます。
アルコールはどの程度膵炎に影響しているのでしょうか。
アルコールを飲まない人には膵炎が起こり難いのでしょうか。

明日はアルコールと膵炎との関係について、
比較的新しい知見を含めて、
お話したいと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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