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新型コロナウイルス感染症の死亡事例の特徴 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は水曜日なので診療は午前中で終わり、
午後は介護保険の審査などで都内を廻る予定です。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
COVID-19の解剖所見.jpg
Nature誌に2022年12月14日ウェブ掲載された、
新型コロナウイルス感染症の解剖所見についての論文です。

新型コロナウイルス感染症は重症化した事例においては、
全身の臓器障害が起こると報告されています。
一方でウイルスによる臓器障害は、
組織所見などでは呼吸器以外にあまり認められない、
という乖離があります。

今回の検証はアメリカにおいて、
新型コロナウイルス感染症で死亡した、
ワクチン未接種の44例の解剖を行い、
脳を含めた全身の臓器における、
ウイルスの直接的な関与の有無を検証しています。

その結果、ウイルスの増殖自体は、
脳を含む全身の臓器で認められました。
脳でのウイルス複製の所見は、
主に感染初期の死亡事例において認められましたが、
そのうちの1例においては、
発症230日後にも脳を含む全身の臓器で、
ウイルスの遺伝子が検出されています。

ただ、臓器の炎症などの所見は、
病初期には呼吸器において圧倒的に多く、
他の臓器においては殆ど認められていません。
その一方で病状が長期持続して死亡に至ったような事例では、
全身の臓器においてウイルスの増殖が確認されていて、
それが病状に影響を与えた可能性が示唆されています。

このように、感染したウイルスの増殖自体は、
脳を含む全身の臓器で可能である一方で、
その臓器障害は多くの事例では呼吸器に限定しており、
その原因を含めた検証が、
このウイルス感染症の本態を解析する上で、
重要な所見であることは間違いがなさそうです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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