SSブログ

「記憶にございません!」 [映画]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は日曜日でクリニックは休診です。

休みの日は趣味の話題です。
今日はこちら。
記憶にございません.jpg
三谷幸喜さんの新作映画「記憶にございません!」を観て来ました。

これはね、
どうせ詰まらないだろうな、という、
かなり低い期待で観に行って、
始まってみると期待の通りと言うのか、
格別笑えるという訳でもない、
低レベルの政治ギャグみたいなものが続くので、
こんな感じか…と、目を半分開くような感じで見ていたのですが、
ラストになってある仕掛が明らかになると、
なるほどそういうことなのね、
とそのテーマ性に素直に感銘を受け、
仕掛というか筋のひねり加減が、
決してただのどんでん返しのようなものではなくて、
僕たちがそれまで先入観で見ていたものを、
問い直されるような気分になるのが鮮やかでした。

なかなかやるじゃん。

素直にそう思えた一作で、
それが分かるきっかけが、
小学生の時の作文というのも面白く、
ラストの台詞の複雑な意味合いも、
三谷さんの真骨頂と言って良いものでした。

テーマは要するに「人間は変われる!」ということなのですが、
それをこうしたストーリーの中で表現して、
老若男女を問わずそれぞれのレベルで受け止められるような、
心に響く作品に仕上げるというのは、
なかなか通常の創作者に出来ることではないと思います。

しかも、その作品を、
実際に試写会で現職の総理大臣に見せているでしょ。
これは凄いですよね。
力がなければ出来ることではないですし、
こうして人間の心に1つの爪痕を残すというのが、
本当の意味で藝術家がやらなくてはいけないことではないかしら。

三谷さん本当に凄いと思います。

ただ、作品としては、
いつものメンバーがいつものお芝居をして、
いつものクスグリをしているけれど笑えない、
という感じはありますね。

今回予備知識なく見たので、
何人かどうしても誰なのか分からないようなキャストがあり、
それがエンドクレジットで明かされて、
「よく化けたのね」と感心するようなお楽しみはありました。

でも、それだけがお楽しみじゃね、という気はしました。

作品の舞台はちょっとレトロな日本で、
現代とは言っていないのがミソです。
今は日本の立ち位置も微妙で、
地勢的に食うか食われるかというところがあり、
政治の世界を舞台に取って、
日本の中だけで面白おかしく描く、
というのは難しいというか、
おそらくフィクションとしては不可能ですよね。

その辺の配慮がこうした設定につながったのかな、
という気はします。
これは仕方がないですね。

そんな訳で、
個人的には三谷幸喜さんの映画としては、
最良と思える1本で、
いつもの不満はいつも通りにあるのですが、
そのテーマ性とある種の心意気のようなもの、
そして何より1人の藝術家としての矜持のようなものに、
とても感銘を受けた作品でした。

面白さは保証できません。
ただ、今見る価値のある映画であることは断言出来ます。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。
nice!(9)  コメント(0) 

nice! 9

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。