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OFFICE SHIKA PRODUCE「山犬」 [演劇]

こんにちは。
六号通り診療所の石原です。

今日は日曜日で診療所は休診です。
朝からいつものように、
駒沢公園まで走りに行って、
それから今PCに向かっています。

休みの日は趣味の話題です。

今日はこちら。
山犬.jpg
劇団鹿殺し活動休止中のプロジェクトとして、
中心メンバーの丸尾丸一郎さんが主体となった、
OFFICE SHIKA PRODUCEの第2弾、
「山犬」が座・高円寺で今上演中です。

前回の企画ではCoccoをメインにして、
作劇や演出には疑問を感じる点もありましたが、
彼女の圧倒的な存在感と、
それを活かした作劇と言う点では素晴らしく、
忘れ難いひと時を過ごすことが出来ました。

今回は丸尾さんの2006年の旧作で、
ホラーだと言うので、
正直迷う気分もあったのですが、
ゲストの鳥肌実さんと森下くるみさんも気にはなったので、
結局出掛けることにしました。

鳥肌実さんの時局講演会という「芸」は、
一度観に行ったことがあります。
勿論こうしたものがあっても良いと思うのですが、
何度も観ようとは思いませんでした。

前回Coccoさんを上手く活かしたように、
今回も鳥肌実さんの活かし方は上手かったと思います。

しかし、作品自体はかなり厳しいもので、
昨日の「ぬいぐるみハンター」ともかぶるのですが、
この設定は倫理的にNGだろう、
とどうしても思えてしまって、
観るのが辛かったのが、
正直なところでした。

以下ネタばれを含む感想です。

小学校の同級生が10年ぶりに同窓会を開くと、
そこに集まった数人にだけ、
テラニシカツヒコと名乗る同級生からの、
学校の裏山に埋めたタイムカプセルを掘り出そう、
というメッセージが届けられていて、
そこへ行った3人の男女は、
得体の知れない地下室のような場所に監禁されてしまいます。

10年前に1人の少女が交通事故に遭って足を負傷し、
その時に身を呈して少女を庇い、
腕を切断された少年がテラニシカツヒコで、
彼は自分に従う山犬に看病されながら息を引き取るのですが、
その少女への思いを受け取った山犬は、
カツヒコの兄と共謀して、
少女と共に事故の原因となった当時の少年2人を、
地下室に閉じ込めたのです。

化け猫ならぬ化け犬が、
飼い主の恨みを復讐する、という話です。

閉じ込められたかつての少年2人は、
狂気に陥って血みどろの殺し合いの末2人共死にます。

こうした救いのないグロテスクで残酷な話を、
ハードロックをガンガン鳴らしながら、
殺伐としたドライな感じで演じてゆきます。

これだけでもどうかと思うのですが、
小学校の給食のコックがインド人で、
理由も特になく人間の死体をバラバラにして、
カレーの具として煮込んでいた、
というビックリ話がそこに加わります。
カツヒコの死体もバラバラにされた煮込まれ、
少女を含む同級生のお腹に納まった、と言うのです。

地下室に閉じ込めらたかつての少年も、
バラバラにされてカレーになります。

この化け犬の話において、
別に人肉カレーやサイコパスのインド人は、
全く必要ありませんから、
こうした脇筋はあまりに趣味が悪過ぎますし、
個人的には書いてはいけない性質のものだと思います。

コック役は作・演出の丸尾さん自身が演じているのですが、
顔は黒いドーランで塗っているのですが、
両手は黄色い肌のままで、
そうした中途半端なところも、
何か腹が立ちます。

そもそも何故10年前の少年が、
確かに性格は悪い奴らではありますが、
殺し合いでバラバラにされるほどの悪を成したとは、
とても思えません。

10年前に少女を庇って死んだ少年のことを、
同級生が皆忘れていて、
それが妖怪と化した山犬によって喚起される、
というストーリーラインは悪くないように思います。

しかし、殺し合いや人肉食いだけが延々と描写されるような悪趣味さは、
ホラーと言えば許される性質のものではないように思います。

もう少し趣味の良い怖さが、
あっても良いのではないでしょうか?

演出は山犬をダンスで表現していて、
その発想は悪くありませんし、
少女の事故を再現する場面も、
あまり類例のないような動きの処理は面白いと思いました。

キャストはカツヒコ役の鳥肌実さんが意外に抒情的な芝居で悪くなく、
ヒロインを演じた森下くるみさんの、
素直な芝居も好印象です。
オレノグラフィティさんは、
大久保鷹と匹敵するくらい声が弱くて、
すぐにガラガラになるので、
台詞の多い役は物理的にきついと思います。

総じて感想などを読むと、
お子さんも観に来ているようなので、
別に心温まる文部省推薦みたいな芝居が、
観たい訳ではないのですが、
ホラーというならもう少し人間の心の奥底にある、
恐怖を引きずり出すようなものを観たいと思いますし、
それは別に狂ったインド人が人肉カレーを作らなくても、
実現可能なものなのではないかと思うのです。
こうした殺伐とした設定は、
思春期くらいまでのお子さんに与える影響も大きいのですから、
もう少し配慮を持って劇作に当たって欲しいな、と、
熱意を持って芝居作りに励んでいる皆さんとは思うので、
切に願って止みません。

この設定の上演であれば、
映画と同じように中学生以下は不可、
というくらいの線引きは、
必要ではないかと思います。
先日のぬいぐるみハンターの公演でも、
お母さんがお子さんを連れて観に来ていて、
子供がお母さんを金属バットで殴り殺す話ですから、
これはまずいな、と思いました。
昔は小劇場やアングラに子供連れで来るような非常識な人は、
まずいませんでしたから、
どんなグロで非倫理的な話でも問題はなかったのですが、
今はこうした時代なので、
演劇にも一定のレーティングは、
必要なのではないでしょうか?

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。

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よろしくお願いします。

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