SSブログ

背が高いと癌になり易いのか? [医療のトピック]

こんにちは。
六号通り診療所の石原です。

今日は水曜日なので、
診療は午前中で終わり、
午後は産業医の面談に廻る予定です。

それでは今日の話題です。

今日はこちら。
高身長と癌リスク.jpg
今月のCancer Epidemiol Biomarkers Prev誌に掲載された、
閉経後の女性における、
身長と発癌リスクとの関連性についての文献です。

科学ニュースとして、
一部の報道でも紹介されました。

背が高い人の方が、
癌になるリスクが高い、
という疫学データは、
以前から複数存在しています。

先日ある週刊誌にこの話題に対する記事が載り、
そこでの説明は、
身長が高い人はそれだけ細胞の量が多いので、
細胞が癌になる率もそれだけ高くなる、
という説明になっていました。

まさかそんな訳はないですよね。

ただ、
かなり多くの疫学データが、
同じ方向を向いていて、
メタ解析の論文でも、
同じ結果が出ているので、
こうした現象のあること自体は、
どうやら事実のようです。

メタ解析の結果では、
身長10センチ当たり癌の相対リスクが、
1.10倍に増加する、
という結果になっています。

今回のデータはアメリカの閉経後の女性の、
健康調査のデータを元にしたもので、
144701人の女性を平均12年間観察するという、
これまでで最も大規模なものです。
観察期間中に20928事例の癌が診断されています。
その癌の発症と身長との関連性を、
他の発癌に関わる因子を補正した上で、
癌の種類毎に検証しています。

その結果…

身長10センチ当たり、
トータルな癌のリスクは1.13倍に有意に増加し、
特に多発性骨髄腫と甲状腺癌においては、
1.29倍と最もリスクが増加していました。

これはこれまでの他の疫学データとも、
ほぼ一致する結果であり、
身長が高くなるほど癌のリスクは増える、
という傾向があること自体は、
間違いのない事実と言えそうです。

現状考えられているそのメカニズムについての仮説は、
癌の発症に結び付くような遺伝子の変異と、
高身長に関連する遺伝子のタイプとが、
何らかの関連性を持っていて、
それがこうした現象を表在化しているのではないか、
というものですが、
まだその遺伝子の候補などは、
明らかではないようです。

今日は高身長と癌のリスクについての話でした。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
nice!(44)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 44

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0