風疹ワクチン接種後の避妊期間について [科学検証]
こんにちは。
六号通り診療所の石原です。
今日は水曜日で診療は午前中で終わり、
午後は産業医の面談に廻る予定です。
それでは今日の話題です。
今日も風疹ワクチン関連の話です。
風疹ワクチンを接種した後、
適齢の女性の場合、
一定期間は避妊をすることが求められます。
これは勿論、
風疹ワクチンに使用されているウイルス株は、
弱毒化はされていますが、
基本的にはウイルスと同じ生ワクチンなので、
そのワクチンによる感染が、
身体にいるお子さんに、
影響を与える可能性を危惧してのものです。
昨日ご説明しましたように、
現時点でワクチン接種後に、
胎児に顕性の感染を起こしたり、
先天性風疹症候群を発症した、
という事例はありません。
しかし、
その可能性自体は否定されたものではありませんし、
数%はお子さんへの不顕性感染は生じる、
という海外データもありますから、
リスクは取らないに越したことはありません。
接種後の避妊期間は、
日本においては2か月と記載されていますが、
現行のアメリカCDCの記載では、
1か月となっています。
しかし、
手元にある2000年に刊行された、
「予防接種Q&A」には、
CDCの推奨は3ヶ月となっている、
と明記されています。
この辺りがちょっと混乱を招く部分です。
日本の基準は以前から、
接種後2か月は避妊する、
というものだったようですが、
アメリカの基準は2000年代前半までは、
3ヶ月の避妊ということになっていて、
その後2000年代の中頃からは、
1か月(30日)の避妊という記載に、
期間が短縮されているようです。
詳細は分かりませんが、
1990年代に妊娠中に風疹ワクチンを接種した胎児の調査があり、
不顕性感染は数%に生じることと、
ワクチン株によってかなりの差があること
(株によっては20%で胎児への感染が認められたという記載があります)、
実際には事例はありませんが、
理論的には1.3~1.6%程度、
先天性風疹症候群の起こるリスクが否定出来ない、
というような知見から、
3ヶ月という長い避妊期間が設定されたのではないか、
と推測されます。
それが、
リスクの高いワクチン株は、
その後使用されなくなったことと、
抗体価の測定法の進歩などによって、
接種後1か月が経過すれば、
ほぼ100%胎児への感染は回避出来る、
という知見が蓄積されたので、
避妊期間が短縮されたのではないかと思います。
ただ、
そうは言っても期間というのは水物ですから、
倍掛けにして2か月にする、
という日本の現行の方針は、
そこまで考えて決めたものであるかは分かりませんが、
中庸を取っていて、
適切なもののように思います。
今日は風疹ワクチン接種後の、
避妊期間についての話でした。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。
六号通り診療所の石原です。
今日は水曜日で診療は午前中で終わり、
午後は産業医の面談に廻る予定です。
それでは今日の話題です。
今日も風疹ワクチン関連の話です。
風疹ワクチンを接種した後、
適齢の女性の場合、
一定期間は避妊をすることが求められます。
これは勿論、
風疹ワクチンに使用されているウイルス株は、
弱毒化はされていますが、
基本的にはウイルスと同じ生ワクチンなので、
そのワクチンによる感染が、
身体にいるお子さんに、
影響を与える可能性を危惧してのものです。
昨日ご説明しましたように、
現時点でワクチン接種後に、
胎児に顕性の感染を起こしたり、
先天性風疹症候群を発症した、
という事例はありません。
しかし、
その可能性自体は否定されたものではありませんし、
数%はお子さんへの不顕性感染は生じる、
という海外データもありますから、
リスクは取らないに越したことはありません。
接種後の避妊期間は、
日本においては2か月と記載されていますが、
現行のアメリカCDCの記載では、
1か月となっています。
しかし、
手元にある2000年に刊行された、
「予防接種Q&A」には、
CDCの推奨は3ヶ月となっている、
と明記されています。
この辺りがちょっと混乱を招く部分です。
日本の基準は以前から、
接種後2か月は避妊する、
というものだったようですが、
アメリカの基準は2000年代前半までは、
3ヶ月の避妊ということになっていて、
その後2000年代の中頃からは、
1か月(30日)の避妊という記載に、
期間が短縮されているようです。
詳細は分かりませんが、
1990年代に妊娠中に風疹ワクチンを接種した胎児の調査があり、
不顕性感染は数%に生じることと、
ワクチン株によってかなりの差があること
(株によっては20%で胎児への感染が認められたという記載があります)、
実際には事例はありませんが、
理論的には1.3~1.6%程度、
先天性風疹症候群の起こるリスクが否定出来ない、
というような知見から、
3ヶ月という長い避妊期間が設定されたのではないか、
と推測されます。
それが、
リスクの高いワクチン株は、
その後使用されなくなったことと、
抗体価の測定法の進歩などによって、
接種後1か月が経過すれば、
ほぼ100%胎児への感染は回避出来る、
という知見が蓄積されたので、
避妊期間が短縮されたのではないかと思います。
ただ、
そうは言っても期間というのは水物ですから、
倍掛けにして2か月にする、
という日本の現行の方針は、
そこまで考えて決めたものであるかは分かりませんが、
中庸を取っていて、
適切なもののように思います。
今日は風疹ワクチン接種後の、
避妊期間についての話でした。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。
2013-05-29 08:11
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こんにちは。
四ヶ月の妊婦です。
先生の周りでは実際に風疹の患者さんが増加してるなと実感されるようなことはありますか?
風疹は全例報告ということで、毎週東京都のデータはチェックしているのですが、身の回りでは全く風疹についてかかった人がいるということを聞かないので、実際に現場ではどうなんだろうと思っていました。
また、私は風疹抗体がEIAでは22.0、HIでは16、と出ました。
この流行に耐えられる数値でしょうか?毎日不安になっています。
HI法で検査した産婦人科では抗体が少なめと言われました。
EIA法で自主的に検査した内科では充分な値と言われました。
どっちを信じたらいいのか・・・
by 妊婦です。 (2013-05-30 16:31)
妊婦です…さんへ
一応日本環境感染学会の、
院内感染対策のガイドラインでは、
HI法で32倍以上、もしくはEIAで8.0以上で、
ワクチン接種は不必要、とされています。
基本的には問題のない可能性の高いレベル、
とお考え頂いて良いように思います。
検査はあくまで完全なものはなく、
2つの検査に乖離があることも、
しばしばあることです。
ただ、感染する可能性が皆無、
とは言い切れません。
風疹の患者さんは、
診療所でも月に1~2例は経験していて、
流行はしていると思います。
by fujiki (2013-05-30 22:30)
先生、ありがとうございました。
やはり風疹は流行っているのですね。
引き続き手洗いうがい頑張ろうと思います。
抗体の値も安心しました。
EIAをHIに換算すると、16ではなくもう少し高い値、32か64くらいなんじゃないかな?と疑問に思っていましたが、差が出ることもあるのですね。
スッキリしました。ありがとうございました。
早く風疹の流行が終わって欲しいですね。切実にそう思います。
by 妊婦です (2013-05-30 22:49)