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極私的感染症情報(2011年2月初旬) [仕事のこと]

こんにちは。
六号通り診療所の石原です。

今日は胃カメラの日なので、
カルテの整理をして、
それから今PCに向かっています。

それでは今日の話題です。

今日は診療所周辺に限った、
感染症情報です。

インフルエンザの流行は持続していますが、
所謂新型(H1N1pdm)の感染自体は、
ピークを越えた、という印象です。
ただ、低年齢化の傾向はあり、
小学校の学級閉鎖などもあって、
注意が必要な状況は続いています。

老人ホームの入所者の方を含めて、
ご高齢の方の重症の事例は今のところ見られていません。

「高齢者の簡易検査はあてにならない」とか、
「新型のウイルスは鼻でなく肺で増える」とか、
まるっきりの嘘ではないのですが、
経験則や聞きかじりの情報だけで、
適当なことを言う人が多いのは嫌になります。
簡易検査はキットによる差も大きいですし、
手技的な部分の差による違いもあり、
また行なうタイミングもあります。
しっかりとした検証は、
行なわれたことは殆どない筈です。
遺伝子検査の検体も、
採取部位は概ね簡易検査と変わらないのですから、
要は感度だけの問題だと思います。
遺伝子検査は微量でも遺伝子を増幅するので、
検出が可能になりますが、
簡易検査は蛋白抗原に反応するので、
ある程度の抗原量が必要なのです。
ウイルスが肺で増え易い、というのは、
僕の知っているものは、
猿に感染させた時のデータで、
鼻の粘膜でも当然増えているのです。
つまり、2年前の時点で、
「重症化し易いのでは…」というデータであって、
肺だけで増える、
というような面白情報ではありません。

B型インフルエンザの感染も、
一部で流行の兆しがあります。

診療所ではまだ数例ですが、
例年のパターンでは、
今月から3月にかけてがピークになりそうです。

症状は、少数例の検討では限界がありますが、
新型のような咳の先行はなく、
比較的身体のだるさが先行した後に、
寒気を伴って発熱し、
すぐ微熱になってから再び発熱、
といった経過が多いようです。

お腹の症状の強く出るタイプの感染症状は、
熱が上がれば念のため検査はしますが、
ほぼ100%インフルエンザではありません。

ファミリーレストランでの集団感染も報道されたように、
ノロウイルスの感染が主体で、
それに他のエンテロウイルスや、
病原性大腸菌などの細菌性胃腸炎が、
混ざっている状況です。

ノロウイルスの事例は、
矢張り急な嘔吐から始まるのが、
比較的特徴的で、
その後に下痢になり、寒気を伴い、
事例によっては一時的に高熱が出ます。
ただ、大多数は24時間以内には回復に向かいます。

一方先週数例経験した病原性大腸菌の感染事例は、
嘔吐はあまりなく、
腹痛の強い下痢が特徴的で、
数日は腹痛が治まらずに苦しむケースが多いようです。
典型的な事例ではイチゴジャムのような出血を伴う下痢になりますが、
出血を伴わないことも多くあります。

原因食材はノロウイルス、大腸菌共、
生ガキの事例が圧倒的です。

今日は診療所周辺の感染症情報でした。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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コメント 2

midori

ノロウイルスの吐き気は、本当にしんどいです。
私は昨年の冬、一晩トイレで過ごしました。思い出すと泣けます。

呼気テストですが、昼メシ抜きはつらいので、
では3月30日(水)午前中うかがいたいと思います。
12時間前から水のみ、でOKでしょうか?
宜しくお願い致します。
by midori (2011-02-10 11:25) 

fujiki

midori さんへ
それでOKです。
お待ちしています。
(どうも風邪を引いた感じで、
寒気がして調子が悪いです。
明日には回復すると良いのですが…
今日は早く寝ます)
by fujiki (2011-02-11 18:46) 

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