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金沢文庫「運慶」展 [仏像]

こんにちは。
六号通り診療所の石原です。

東京は朝から雪です。
今日は祝日で休みですが、
そんな訳で走りには行けません。
どうも体調が悪く、
昨日は良くなったと思った肩も痛くて、
気分はあまり優れません。

休みの日は趣味の話題です。
今日はこちら。
運慶展.jpg
僕に内緒でこんな素敵な催しを、
密かにやっていることを知って、
矢も盾もたまらず、
先週の水曜日の午後に金沢文庫まで行って来ました。

「運慶」と聞くと、
矢張りドキドキします。
僕にとっては「フェルメール展」より、
「運慶展」の方が、
そのドキドキ感は強いのです。

平田オリザの「東京ノート」という戯曲は、
近未来の東京が舞台で、
そこではフェルメールの全作品の展覧会をやっているのですが、
悪いけど平田オリザはセンスないよね。
僕なら「運慶の全作品展覧会」にする。
これは凄いよ。
厨子入りの10センチの小像の隣に、
高さ7メートルの巨像が並んでいるんだ。

運慶は鎌倉初期の最も著明な仏師ですが、
その真作と認定された作品は、
現存するものでは極めて少なく、
過去には運慶作とされていて、
今は否定されている仏像も多いのです。

上のチラシにある、
円成寺の大日如来坐像は、
その数少ない一駆で、
運慶の若き日の作品です。
僕は小学校の頃に奈良の円成寺で拝観して、
それからこの仏像が国宝に指定された時の、
お披露目の展覧会で拝観して、
今回が3回目になります。

これは製作年代的にはまだ平安末期で、
でも運慶が愛した貞観彫刻の雰囲気を、
濃厚に残した仏様なんだよね。

次に今回の目玉の1つがこちら。
真如苑.jpg
真如苑がオークションで落札したことで有名な、
最近判明した運慶さんの真作。
これは正直「ふーん」という感じで、
悪くはないんだけど、
運慶さんのイメージからすると、
何となく食い足りない。
でも、今回の出品作には、
こうしたこじんまりとした作品が多くて、
そうか、運慶さんの作品は、
平安彫刻と鎌倉の写実彫刻との、
橋渡し的な位置にあるのね、
パイオニアなんで、
必ずしもその作風は一定せず、
その技巧も正直お弟子さんの方が、
上の部分があるんだね、
ということが分かりました。

それからこちら。
毘沙門天.jpg
神奈川の浄楽寺に伝わる、
運慶さん工房製作の毘沙門天。
これは当時の鎌倉武士の典型的な姿を、
毘沙門天に託して描いているんだよね。
こういう従来のフォルムを崩した躍動感が、
運慶さんの持ち味。

今回初めて知ってびっくりしたのが、
こちらの話。
東大寺南大門金剛力士.jpg
これは有名な東大寺南大門の金剛力士像です。
僕は右の吽形が運慶作で、
左の阿形が快慶作とそれまで覚えていたのですが、
実際には右が定覚などお弟子さんの作で、
左が運慶と快慶との合作なのです。
でも、出来はどう見ても、
右の方が上だよね。
こうしたところも、
何か考えさせられます。

金沢文庫は、
称名寺というお寺の境内の一角、
トンネルを潜った谷の中にあって、
なかなかのロケーションです。

ただ、展示スペースは小さく、
無雑作に仏様がガラスケースに入れられて、
窮屈そうに並んでいるだけなので、
そうした点では趣きには欠けました。

特別展などしていない、
もっと閑散とした時に、
訪れてみたいなと感じました。

今日は仏像の話でした。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。
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