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ナタリー・デセイと椿姫 [コロラトゥーラ]

こんにちは。
六号通り診療所の石原です。

今日は診療所は休診で、
午後は上野にデセイ様の「椿姫」を聴きに行きます。

そんな訳でもう落ち着かないので、
今日は雑談的な話です。

ナタリー・デセイ(Natalie Dessay )は、
最初にリサイタルで来日した頃には、
デッセイという表記だったのが、
最近はデセイに変わり、
それも間違った言い方なので、
デュセと呼ぶべきだ、
というようなことを言う人もいます。

デセイ様はフランス人なので、
De を「デ」とは言わないのだよ、
と言われれば、そうかな、とは思います。

数年間にyou tube でフランスのニュースが見られて、
そこでアナウンサーは確かに、
「ナタリー・デゥッセ」のような呼び方を、
注意深く聞くとしていました。
ただ、ぼんやり聞くと、
「デセイ」と言っているようにも聞こえます。

アメリカのメトロポリタン歌劇場の中継で、
アナウンサーがデセイ様を紹介した時には、
「ナタリー・デセイ」とはっきり言っていました。
それに答えるデセイ様も、
別にそれで気分を害した様子はありません。
インタヴューにはちゃんと英語で答えていました。

それから数日前にイタリアのトリノ歌劇場の紹介のサイトで、
デセイ様のインタビューの映像を見たのですが、
イタリア人の聞き手は、
「ナタリー・デッセイ」と呼んでいました。
それで、ああなるほど、
最初のデッセイというのは、
イタリア語読みなのだな、と分かった気がしたのです。
でも、勿論デセイ様は気分を害した様子はなく、
インタビューにはイタリア語で答えていました。

要するに呼び方が多少変わったって、
それで相手に通じない訳でもないし、
それが悪いという訳でもありません。
日本人も呼び易い言い方で呼べば、
それで良いのではないかと思います。

だって、そうですよね。
たとえば、僕が海外に行って、
「ミスター、イシワゥラ」みたいに変なアクセントで呼ばれたとしても、
それを目を吊り上げて怒ることはありません。
何となく分かればそれで問題はないですし、
失礼とも感じないからです。

だから、どんなカタカナ表記をしようと、
その人の自由だと思いますが、
その呼び方を一々訂正して悦に入るような人は、
僕はどんなものなのかな、と思います。

ヴェルディのオペラ「椿姫」の原題は、
「La Traviata 」で、
これは「道を外れた女」と言う意味だそうです。

これも「椿姫」などという言い方は良くない、
「ラ・トラヴィアータ」と言うべきなのだ、
などと目を吊り上げて言う人がいます。

確かのこの作品の底には、
「道を外れた女には神の祝福はなく、
名前すらない墓に孤独のうちに埋葬される」
という逃れられない宿命のようなものが流れていて、
同じ作者の「リゴレット」の呪いのように、
作品の基調音を成しています。

それが「椿姫」という題名に変わると、
何となく社交界の花形の女性が、
病に倒れて死ぬ話、
のようなニュアンスで取られ易いので、
その意味合いは分からなくはありません。

でも、別に「椿姫」という題が悪いとは思わないし、
そもそもの原作の「椿を持つ女」からの連想で、
無関係ではないのですから、
オペラの題名としては古風ではありますが、
実際に古い作品なのだし、
語感の優れた題名だと僕は思います。

「姫」という言葉を持って来る辺りが、
なかなかエレガントで良いでしょ。
「道を外れた女」なんて言うより、
どう考えても日本語の語感からは良い題名です。

こういうのを訳知り顔に否定したりするのも、
僕は何かインチキ臭くて嫌いです。

今日はすいません。
どうでも良いような話でしたね。

それではそろそろ出掛けます。

皆さんも良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。
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コメント 4

スマイル

こんにちは
堪能なさってらしてください♪☆
嬉しい気持ちが伝わってきます・・・
行ってらっしゃーい(笑)
by スマイル (2010-08-01 12:19) 

midori

ご報告楽しみにしております.
by midori (2010-08-01 14:57) 

fujiki

スマイルさんへ
ありがとうございます。
おかげさまで堪能出来ました。
by fujiki (2010-08-01 21:13) 

fujiki

midori さんへ
明日ご報告します。
でも、良かったです。
by fujiki (2010-08-01 21:14) 

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