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アンドレア・ロストの世界 [コロラトゥーラ]


こんにちは。
六号通り診療所の石原です。

今日は休みですが、
ちょっと早く起きてしまいました。

一昨日お子さんとそのお母さんが、
診療所を受診され、
お母さんは下痢が酷く、
点滴などして、
翌日の受診をお願いして、
昨日になったのですが、
結局お見えになりませんでした。

ひょっとして具合が悪くなり、
救急で病院に行ったのかしら、
それともお子さんの方が、
急変したのかしら、
などと考えると、気分が落ち着きません。
まあ、一々そんなことを気にしていては、
仕方がないことは分かっているのですが、
最善を尽くす、というのは難しいことですし、
どうも思うようにはいきません。

今日はちょっと趣味の話題です。

上の写真は、ハンガリー出身のソプラノ、
アンドレア・ロストのお姿です。

これは多分10年くらい前のものだとおもいます。
奇麗な人でしょ。

彼女は多分、現在現役のソプラノの中では、
一番美しい人だと思います。

僕が最初に生で聴いたのは、
2000年で、ミラノスカラ座の来日公演です。

演目はヴェルディの「リゴレット」。

彼女は当時のスカラ座の音楽監督、ムーティに、
その才能を見出されたので、
彼の指揮では最もその実力が発揮されるのです。
歌のフォルムが美しく、
演技も的確で良かったのですが、
自分が一番、と目立つタイプではないので、
ちょっと物足りなく感じたことも事実です。

その後、ムーティの指揮で「オテロ」を聴いて、
後は新国立に出演したり、
東欧の地方の歌劇場のゲストで来たり、
と何度か来日し、何度か生で聴いたのですが、
特にムーティの指揮以外の舞台では、
「歌は今ひとつ」という印象が拭えませんでした。

今年の冬に来日してリサイタルがあり、
僕自身は久しぶりに彼女の歌声を聴きました。

これがね、本当に素晴らしかったんです。

あまり期待をしていなかった、ということもあるのでしょうが、
掛け値なしに、今年一番の歌声でした。

声量もなかなかだし、高音域に膨らみがあって、
コロラトゥーラの一音一音にも、
力があるんです。
装飾歌唱の技術にも、水準以上のものがあります。
そして、なにより感情表現に優れ、
少女の歌は少女として、
成熟した女性の歌は大人の女として、
完璧に表現することが出来るのです。

今年一番の驚きと言って、良かったかも知れません。

ただ、公称1966年生まれというロストは、
その年齢より遥かに上に見えました。

最初に登場した時は、
「えっ、何処のおばさんが入って来たの」
という感じで、表面的な美というものの儚さを、
強く感じましたね。

それが、最初の曲がグノーのジュリエットのアリアで、
初恋に揺れる少女の歌なんですが、
その始まりと共に、
魔法のように1人の少女が目の前に立っているのです。

藝術は不思議ですね。
そして、それに対比されるように、
人間の生は儚く、その表面的な美も儚いのです。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。
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a-silk

先生の奥さんかと、思いました。
イタリア人に似てますね。美人ですね。
Romaniaはローマ帝国の領土となったことがあるので、国名がそのまま、ロマニアになっています。
言葉もとてもイタリア語に似ています。どこかの国のYHで、ルーマニア人の若者の大集団と、一緒になったことがあるのですが、
気質もイタリア人のように、陽気でにぎやかでした。
DNAが引き継がれて、いるのですね。

by a-silk (2009-12-20 16:27) 

fujiki

a-silk さんへ
コメントありがとうございます。

確かにイタリア人に近いノリかも知れません。
日本人の歌手はもっと気取っているんですよね。
そこが今ひとつで、あまり聴きに行く気がしません。

by fujiki (2009-12-20 21:34) 

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