SSブログ

食物アレルギーとアナフィラキシーショック [医療のトピック]

こんにちは。
六号通り診療所の石原です。

朝から紹介状を何通か書いて、
それから今PCに向かっています。

それでは今日の話題です。

先週俳優の豊川悦司が、
食物アレルギーで病院に運ばれた、
というニュースがありましたね。

蕁麻疹のような症状ばかりでなく、
呼吸困難も軽くあったようなので、
アナフィラキシーと言って、
間違いではない部類の症状だったのだと思います。

アナフィラキシーとは、
全身に症状が出て、
時に命に関わる最も重症なタイプの、
アレルギー反応のことです。

最初にその食べ物を食べた時には症状が出なくて、
二度目に食べた時に重症な症状が出る、
といったニュアンスが強調されますが、
これはIgE という抗体が関係する、
アレルギー反応全体の特徴なので、
別にアナフィラキシーの特徴ではありません。

アナフィラキシーとは、
言ってみれば重症のアレルギー、
といった意味合いの言葉です。

アレルギーの原因となる蛋白質に反応して、
身体はIgE という蛋白質を作ります。
このIgE がリンパ球の一種にくっつき、
次の反応の準備をします。
そこに再度同じ蛋白質が入ると、
そのIgE が橋渡しをする形で、
リンパ球から身体の反応を調節する物質が、
大量に分泌されます。
その代表がヒスタミンで、
血管を広げ、気道や胃腸の筋肉を収縮させます。
これが、IgE によるアレルギーですね。

アレルギーには、
IgE に関係のないタイプのものもありますが、
そのメカニズムはそれほどはっきりとは分かっていません。

アナフィラキシー反応の典型例をお示しします。

患者さんは15歳の男性です。
ある日の夕食でエビの天ぷらを食べたところ、
10分後に喉が痒くなり、
口の周りがピリピリと痛くなって、
全身に蕁麻疹が出現。
それと同時に動悸と呼吸困難とが出現します。
そのままの状態で何の治療もしないと、
血圧は下がり、呼吸困難は増悪して、
死に至るケースもあります。

通常重症の症状は、
食べてから30分以内に出ることが多いのですが、
中には数時間経ってから、
同様の症状の出ることもあります。

また、最近「二相性反応」と言って、
まず30分以内に軽い症状が出て、
それが一旦落ち着いてから、
今度は数時間後にもっと強い症状の出ることのあることが、
問題になっています。

たとえば、蕎麦を食べたら、
全身に蕁麻疹が出て、
慌てて病院に行くとしますよね。
そこで注射をして、
一旦症状が落ち着いて、
それで家に帰ってしばらくしてから、
今度は急激に呼吸困難の起こるようなケースがあるのですね。

従って、強めのアレルギー症状の出た場合には、
24時間は慎重に身体の調子を観察していないと、
いけないのです。

食物アレルギーの原因物質には、
年齢ごとに一定の傾向があります。

赤ちゃんから2歳くらいの時期に多いのは、
卵と牛乳や小麦で、
通常はアナフィラキシーを起こすことは少なく、
主にアトピー性皮膚炎の形を取ります。
それより年齢が進むと、
蕎麦やお魚によるものも増えて来ます。
幼稚園くらいの時期から、
アナフィラキシーは起こり始め、
小学校に入ると、
エビ、カニや、果物、ナッツによるものも加わります。

アナフィラキシーの統計では、
何と言っても卵、牛乳、小麦が多いのですが、
ショックを起こした事例では、
意外にバナナや桃などの果物が、
多く報告されています。
アメリカではナッツが圧倒的に多く、
この辺の地域差の原因にも、
興味が湧きますね。

症状の起こった時の治療は、
アドレナリンの注射や、ステロイドと全身管理ですが、
1度症状を起こしたようなお子さんには、
アドレナリンの自己注射が限定的に認められています。

今日はアレルギーの概説、
といった感じの話でした。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0