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漢方薬の著効例 [仕事のこと]

こんにちは。
六号通り診療所の石原です。

今日は胃カメラの日なので、
カルテの整理をして、
それから今PCに向かっています。

それでは今日の話題です。

今日は診療所での、
漢方薬の著効例を幾つかお示しします。

Aさんは60代の男性で、
責任の重いお仕事をされていました。
仕事のトラブルとご家族の心配事とが重なった頃から、
仕事の大事な約束を忘れてしまったり、
大事な鞄をタクシーに置き忘れてしまったり、
そういった以前では考えられなかったような、
ミスを繰り返すようになりました。
家族からは、認知症ではないか、
と疑われ、
ご本人もそのことを心配されて、
診療所を受診されました。

皆さんもお分かりのように、
Aさんは認知症ではなく、
うつ病だったのです。
「男性の更年期」と言われるタイプのものですね。
アモキサンという抗うつ剤を処方し、
受診された時点で不眠もあったので、
睡眠剤のレンドルミンも一緒に処方しました。

症状は薬を始めてから2週間ほどで徐々に改善し、
一ヵ月後には仕事のミスも減りました。

ただ、それでも全身のだるさはとれません。
ちょっとしたストレスでも、
頭全体が真っ白くなって、
身体が浮くような嫌な感じがあります。
少し歩くと足が重くなり、
夜には足がむずむずと火照るような感じがあります。

僕はその症状から、
「腎虚」を疑い、
八味地黄丸という漢方薬を処方しました。

その効果はびっくりするほどで、
飲み始めの初日からAさんの身体のだるさは取れ、
足のだるさも一週間後にはほぼ全快しました。
現在は抗うつ剤の減量に、
少しずつ取り組んでいるところです。

中高年の男性のうつ病が、
東洋医学の「腎虚」が関係していることが多い、
というのは教科書にも書いてあることです。

「腎虚」というのは、
言ってみれば、
広い意味での男性機能の低下のことですね。
八味地黄丸はその代表的な処方です。
女性に使われる先生もいますが、
僕は基本的に男性にしか使いません。

ただ、うつ病の症状を、漢方だけで治療するのは、
困難だ、というのが基本的な考えです。
このケースの場合も、
まず抗うつ剤を使い、
症状を安定させてから漢方を使うことで、
劇的な効果があったのだと思います。

それでは次の事例です。

Bさんは70代の女性で、
頑固な便秘に悩んでいました。
市販の便秘薬は色々試しましたが、
どれも普通の量では効果がなく、
大量に使うと、排便はありますが、
ひどい下痢になったり、
激しい痛みがあったりしました。
快便というには、程遠い状態だったのです。

僕はBさんを診察して、
「お血」の所見が強いのを感じ、
その代表的な処方である、
桂枝ぶく苓丸を処方しました。

一週間飲んでもらいましたが、
Bさんは何となくピンと来ない感じでした。
それで、処方を通導散に切り替えました。
これは桂枝ぶく苓丸を、
もう少しパワーアップした薬です。

今度はびっくりするほどの効果でした。
飲んだ当日から、
頑固な便秘が解消し、
普通の排便が痛みなく生じたのです。

女性の便秘が「お血」から来ることが多い、
というのも、
教科書に書いてあることです。

「お血」とは女性の血の滞りのことですね。
その血の滞りが、
更年期障害や腹痛や、
便秘や足の冷えや肩こりや頭痛などの、
多くの症状の原因となっている、
というのが漢方の考え方です。

桂枝ぶく苓丸は「お血」の代表的な処方で、
通常僕はこれを最初に使います。
もう少し体力の落ちた人向けの薬が、
当帰芍薬散で、
もう少しパワフルにした薬が通導散です。

女性の頑固な便秘は全てとは言わないですが、
かなり多くの部分が「お血」の薬で対応が可能です。
合う処方であれば、
魔法のように痛みのない快適な排便が訪れます。

今日は最近経験した漢方薬の著効例をご紹介しました。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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