魚の油の話 [医療のトピック]
こんにちは。
六号通り診療所の石原です。
朝から書類の整理をして、
介護保険の意見書を書いて、
それから今PCに向かっています。
昨日、NHKの「クローズアップ現代」で、
血糖測定の針使いまわしの話をやっていましたね。
このことについては、
以前何度か触れましたので、
もし未読の方は、以前の記事をご覧下さい。
http://rokushin.blog.so-net.ne.jp/2008-06-02
放送の内容は、あまりレベルの高いものではなかったですね。
まず、最初に問題になった島根の診療所と、
その後の事例とを、敢えて混同して説明していた点。
また、「針の周辺がディスポーサブルでないもの」と、
「あるもの」との区別も、
きちんと説明しなかったこと。
「何だか分からないけれど、みんなの知らない所で、
悪い医者と悪い役人とが、
得体の知れない危険なことをしているよ」、
と、無責任に触れ回るような番組でした。
コメンテイターの先生も、
現場のことを理解されているニュアンスではなかったですね。
それはさておき、今日の話題です。
青い魚の油が健康にいい、
という話は、
皆さんもよくお聞きになることだと思います。
その代表が「エイコサペンタエン酸」ですね。
略して「EPA」と呼ばれています。
鯖や鰯などの魚の油に、
多く含まれる成分です。
EPAは油の分類上は、
「不飽和多価脂肪酸」という区分に入ります。
脂肪酸というのは、身体の中の油の総称で、
タンパク質のように窒素は含まず、
炭素と水素、酸素だけからなる、
シンプルな構造物です。
リン脂質や糖脂質、コレステロールやステロイドのような、
脂肪酸から由来する物質も多く、
この中には窒素を含むものもあります。
その大元である脂肪酸は、
二重結合のない飽和脂肪酸と、
二重結合のある不飽和脂肪酸に分かれます。
原子は他と繋がる手を、
決まった数だけ持っていて、
その手がそれぞれ別のものと繋がっているのが、
飽和で、2つの手が同じものと繋がっているのが、
不飽和ということになります。
ここまで、よろしいでしょうか。
分子量の大きい「不飽和脂肪酸」は、
その二重結合の位置が端から3番目のものと、
6番目のものとに分かれます。
「EPA]は、その3番目の位置のものに分類されるので、
n-3脂肪酸とか、ω‐3系多価不飽和脂肪酸、などと、
呼ばれているのです。
「EPA」の作用として、
最近注目されているのが、
脳梗塞や心筋梗塞の予防効果です。
「JELIS」という日本発の大規模臨床試験の結果が、
最近発表されました。
これは、1万人以上の日本人で、
コレステロールを下げる薬と「EPA」の飲み薬との、
効果を見たもので、
「EPA」が脳卒中を抑える効果のあることが、
かなりクリアなデータとして、
立証されたのです。
僕は論文を読みましたが、
その結果にはかなりの説得力があります。
何より魚の油の抽出成分なので、
副作用の少ない点が強みです。
アラキドン酸という油があります。
レバーや卵黄、うになどに多く含まれています。
これはn-6のタイプの多価不飽和脂肪酸です。
脳を活性化すると言われていて、
人間に不可欠な油の1つです。
ただ、このアラキドン酸を取り過ぎると、
細胞の膜がアラキドン酸の多い構造になります。
すると、細胞膜は炎症を起こし易くなり、
動脈硬化の原因の1つとなります。
この時、アラキドン酸は減らさずに、「EPA」を多く取ると、
細胞膜のアラキドン酸が「EPA」に置き換わり、
血管の動脈硬化を抑えるのです。
これは動物実験のレベルで立証されています。
また心臓の筋肉の細胞にアラキドン酸が過剰になると、
不整脈を起こし易くなると言われていますが、
これも「EPA」を多く取ることで、
予防出来、
ある統計では突然死を予防したと報告されています。
結構凄いでしょ。
「EPA」の評価は、欧米より日本の方が高いのです。
欧米では「EPA」は薬ではなく、
サプリメントの扱いで、
その品質も結構むらがあるようです。
何より精製品ではないので、
分量が多く、臭いは臭く、
必要量をなかなか飲み難いのが欠点です。
その点日本の「EPA」製剤は薬剤の位置付けで、
成分が安定しているのが特徴です。
サプリメントの1gが、
その3分の1以下の300mg で取ることが出来るのです。
まあ、これは製薬会社の説明なので、
少し割り引いて聞く必要がありますが、
それでも日本発の薬の中では、
有用性の高いものだと、
僕は思っています。
今日は「EPA」の特徴をお話しました。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。
六号通り診療所の石原です。
朝から書類の整理をして、
介護保険の意見書を書いて、
それから今PCに向かっています。
昨日、NHKの「クローズアップ現代」で、
血糖測定の針使いまわしの話をやっていましたね。
このことについては、
以前何度か触れましたので、
もし未読の方は、以前の記事をご覧下さい。
http://rokushin.blog.so-net.ne.jp/2008-06-02
放送の内容は、あまりレベルの高いものではなかったですね。
まず、最初に問題になった島根の診療所と、
その後の事例とを、敢えて混同して説明していた点。
また、「針の周辺がディスポーサブルでないもの」と、
「あるもの」との区別も、
きちんと説明しなかったこと。
「何だか分からないけれど、みんなの知らない所で、
悪い医者と悪い役人とが、
得体の知れない危険なことをしているよ」、
と、無責任に触れ回るような番組でした。
コメンテイターの先生も、
現場のことを理解されているニュアンスではなかったですね。
それはさておき、今日の話題です。
青い魚の油が健康にいい、
という話は、
皆さんもよくお聞きになることだと思います。
その代表が「エイコサペンタエン酸」ですね。
略して「EPA」と呼ばれています。
鯖や鰯などの魚の油に、
多く含まれる成分です。
EPAは油の分類上は、
「不飽和多価脂肪酸」という区分に入ります。
脂肪酸というのは、身体の中の油の総称で、
タンパク質のように窒素は含まず、
炭素と水素、酸素だけからなる、
シンプルな構造物です。
リン脂質や糖脂質、コレステロールやステロイドのような、
脂肪酸から由来する物質も多く、
この中には窒素を含むものもあります。
その大元である脂肪酸は、
二重結合のない飽和脂肪酸と、
二重結合のある不飽和脂肪酸に分かれます。
原子は他と繋がる手を、
決まった数だけ持っていて、
その手がそれぞれ別のものと繋がっているのが、
飽和で、2つの手が同じものと繋がっているのが、
不飽和ということになります。
ここまで、よろしいでしょうか。
分子量の大きい「不飽和脂肪酸」は、
その二重結合の位置が端から3番目のものと、
6番目のものとに分かれます。
「EPA]は、その3番目の位置のものに分類されるので、
n-3脂肪酸とか、ω‐3系多価不飽和脂肪酸、などと、
呼ばれているのです。
「EPA」の作用として、
最近注目されているのが、
脳梗塞や心筋梗塞の予防効果です。
「JELIS」という日本発の大規模臨床試験の結果が、
最近発表されました。
これは、1万人以上の日本人で、
コレステロールを下げる薬と「EPA」の飲み薬との、
効果を見たもので、
「EPA」が脳卒中を抑える効果のあることが、
かなりクリアなデータとして、
立証されたのです。
僕は論文を読みましたが、
その結果にはかなりの説得力があります。
何より魚の油の抽出成分なので、
副作用の少ない点が強みです。
アラキドン酸という油があります。
レバーや卵黄、うになどに多く含まれています。
これはn-6のタイプの多価不飽和脂肪酸です。
脳を活性化すると言われていて、
人間に不可欠な油の1つです。
ただ、このアラキドン酸を取り過ぎると、
細胞の膜がアラキドン酸の多い構造になります。
すると、細胞膜は炎症を起こし易くなり、
動脈硬化の原因の1つとなります。
この時、アラキドン酸は減らさずに、「EPA」を多く取ると、
細胞膜のアラキドン酸が「EPA」に置き換わり、
血管の動脈硬化を抑えるのです。
これは動物実験のレベルで立証されています。
また心臓の筋肉の細胞にアラキドン酸が過剰になると、
不整脈を起こし易くなると言われていますが、
これも「EPA」を多く取ることで、
予防出来、
ある統計では突然死を予防したと報告されています。
結構凄いでしょ。
「EPA」の評価は、欧米より日本の方が高いのです。
欧米では「EPA」は薬ではなく、
サプリメントの扱いで、
その品質も結構むらがあるようです。
何より精製品ではないので、
分量が多く、臭いは臭く、
必要量をなかなか飲み難いのが欠点です。
その点日本の「EPA」製剤は薬剤の位置付けで、
成分が安定しているのが特徴です。
サプリメントの1gが、
その3分の1以下の300mg で取ることが出来るのです。
まあ、これは製薬会社の説明なので、
少し割り引いて聞く必要がありますが、
それでも日本発の薬の中では、
有用性の高いものだと、
僕は思っています。
今日は「EPA」の特徴をお話しました。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。
2008-09-26 08:37
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