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非アレルギー性鼻炎というもの [医療のトピック]

こんにちは。
六号通り診療所の石原です。

朝から紹介状を書いて、
それから今PCに向かっています。
今週はかなりきつい毎日でした。
明日まで、何とかしのぎます。

さて、今日の話題です。

鼻水が出て、鼻が詰ると、
皆さんは多分耳鼻科に行きますよね。
熱はなく、身体もそれほどだるさはありません。
喉もそれほど痛くはないし、
咳も出ないとしましょう。

口の中を見て、鼻を見て、
耳鼻科の先生は何と言われるでしょうか。

多分、
「アレルギー性鼻炎ですね」、
と言われるでしょう。
多分100パーセントそう言われるのではないでしょうか。

その次の日、今度は熱が出たとしましょう。

またその日に耳鼻科へ行きますよね。

そうすれば、
今度は平然と、「風邪ですね」、
と言われるでしょう。

風邪による鼻水と、
アレルギー性鼻炎とは、
同じものでしょうか。

違いますよね。

でも、こういう経験は皆さんもよくあるのじゃないでしょうか。

またこんなこともあります。

大人になってある時期から、
鼻水と鼻詰りが急に始まることがあります。
夜の鼻詰りが強く、鼻水はむしろ後ろに落ち、
喉を痛めます。
鼻水は不意に止まることもあり、
また急に始まることもあります。
気温の差や、時にはストレスが、
症状を悪くするように感じられることがあります。

ある耳鼻科に行くと、
「アレルギーだね」、と言われます。
しかし、また別の耳鼻科では、
「これはアレルギーじゃないね」、と言われます。

どちらが正しいのでしょうか。
それに、どうして診断が変わるのでしょうか。

その疑問にお答えするには、
何故鼻水が出るのか、
という疑問から話を進める必要があります。

鼻水は鼻の粘膜から分泌される、
分泌液ですが、
その中には通常炎症性の物質が多く含まれています。

鼻の粘膜に花粉や埃の粒子、
また細菌のような異物が侵入すると、
それに反応して、白血球の1種の肥満細胞から、
ヒスタミンなどの成分が放出され、
分泌が多くなると共に、
血管が拡張し、
粘膜はむくんで来ます。
これが、「炎症」ですね。

その炎症の初期の段階では、
原因が細菌であれ、花粉であれ、
その反応の仕方がさほど変わる訳ではありません。

従って、アレルギーの鼻水も、
風邪の鼻水も、
その初期の段階で違いはないのです。

よろしいでしょうか。

では、鼻水の原因が外からの刺激ばかりか、
と言うと、
そうではありません。

鼻の粘膜には副交感神経が分布していて、
その刺激により、鼻水は分泌されます。
刺激を仲介しているのは、
アセチルコリンです。

従って、アセチルコリンが過剰に出る状態や、
アセチルコリンに対して鼻の粘膜が敏感になっている状態では、
別に何も外からの刺激がなくても、
鼻水は出る訳です。

年齢と共に、
鼻の粘膜は過敏になることが知られています。

これにより、自律神経への少しの刺激でも、
粘膜は敏感に反応して鼻水を出します。
これが繰り返されると、
鼻の粘膜は腫れて来て、
アレルギーではなくても、
鼻詰りが来ます、

これを「血管運動性鼻炎」とか、
「通年性非アレルギー性鼻炎」と呼びます。

ただ、厳密に言うと、そうした鼻炎でも、
外からの刺激にも反応はしているので、
「アレルギーの要素もある」、という言い方は出来るのです。

それで、先生によっては、
何でもひっくるめて「アレルギーだね」、
と言う訳です。

ただ、この2つの病態は、
基本的には全然違うものなんですよね。
本来は治療も違って然るべきです。
でも、一般には全く同じ治療が行なわれていますよね。
この辺に、僕はこの分野の問題があるような気がするんです。

ええと、まだお話したいことはあるんですが、
何となく批判めいたニュアンスが強くなるので、
今日は止めることにします。

もう少し勉強して、
自信を持ってこうだ、
と言える段階になってから、
また取り上げたいと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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