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情動のない「アルツハイマー病」とは? [医療のトピック]

こんにちは。
六号通り診療所の石原です。

今日は胃カメラの日なので、
カルテの整理をして、
それから紹介状を2通書いて、
今PCに向かっています。

さて、今日の話題です。

ちょっと古い話ですが…

9月の初め頃の「ためしてガッテン」で、
アルツハイマー病の新しい知見、
みたいなテーマが組まれていました。

新しい知見、と言う割りには、
予防のためには、
「有酸素運動をしよう」、とか、
「話し相手を持とう」、とかと言った、
人生訓的な話が主体で、
あまり内容のあるものではありませんでした。

ただ、その中でちょっと気になったのは、
アルツハイマー病の進行のメカニズムとして、
脳の中の3箇所の部分の働きがクローズアップされていて、
それが、「記憶」と「分析」と「決定」である、
というくだりでした。

アルツハイマー病はβ蛋白が脳細胞の中に蓄積し、
脳の変性を来たして、
脳の機能を低下させる病気です。

番組の説明では、
まず障害されるのが「記憶」で、
これは「海馬」のことのようです。

それから次に障害されるのが、
情報を分析する後頭葉の部分、
そして最後に障害されるのが、
決定、指示する部分で、
前頭葉連合野のニュアンスでした。

何か、重要なものが欠けているのが分かりますか?

それは勿論、扁桃体を中心とする情動(感情)の働きですね。

前にアルツハイマー型認知症のブログで書きましたように、
認知症の進行の本質的な部分は、
記憶の障害に続く、
情動の揺らぎなんですね。

記憶の欠落を、
本人が受け入れることが出来ず、
訳もなく興奮したり、
怒ったり、
また記憶の欠落を無理矢理に埋めて、
それが妄想化するのです。

情動が不安定であれば、
その分析が不安定になるのも、
これは理の当然です。

番組は多分偉い先生が監修されたものだと思います。

多分その先生にとってのアルツハイマー病とは、
感情や情動の働きを無視した、
コンピューターのような脳の世界なんでしょうね。

でも、現実の認知症がそんな生易しいものでないことは、
介護されているご家族が、
毎日肌で感じていらっしゃることだと思うのです。

厄介なのは、あくまで感情です。

でも、それが人間の魅力でもあるんですね。

今日は以前書いた認知症の話の、
補足としての話でした。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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