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太陽劇団「金夢島」 [演劇]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は日曜日でクリニックは休診です。

休みの日は趣味の話題です。
今日はこちら。
金夢島.jpg
演出家アリアーヌ・ムヌーシュキン率いる、
太陽劇団(テアトル・デュ・ソレイユ)が、
実に22年ぶりとなる来日公演を行っています。
東京公演は既に終了し、11月初めには京都公演が予定されています。

太陽劇団は1964年に結成され、
集団としての姿勢や、劇場ではなく、
倉庫を本拠地とした舞台のダイナミックな演出などは、
日本のアングラの1つのお手本になっているようなところがあります。
主宰のムヌーシュキン自体日本の文化芸術に高い関心を持ち、
日本の古典芸能などを自分の作品に取り入れています。

前回の来日は2001年で新国立劇場での招聘でした。
演目は「堤防の上の鼓手」、
これは本当に素晴らしい公演でした。
これまでに観た演劇作品の中でもベスト級と断言出来ます。

新国立劇場の中劇場の公演だったのですが、
通常の客席は使用せず、
大きな舞台奥のスペースに仮設劇場を作った、
というようなスタイルの上演でした。
観客は通常の客席を抜けて、舞台の裏を通り、
太陽劇団の役者たちが準備している、
楽屋のスペースを抜けて、
その奥に通常と逆向きに設置された仮設の客席から、
舞台を見守ることになるのです。
これは本当にワクワクしましたし、
何より作品が素晴らしかったのです。

舞台は古代の中国で、
1つの村が愚かな人間の対立により滅んでしまうという、
叙事詩的な物語が、
日本の文楽のスタイルで演じられるのですが、
文楽人形も人間の役者が演じ、
それを数人の黒子が抱え込んで、
見事な人形振りを演じるのです。
圧倒的な驚異に満ちた最高の舞台でした。

それで今回の22年ぶりの公演も、
本当に楽しみにして出掛けました。

ただ、今回の作品はオムニバス的というか、
太陽劇団のエッセンスを見せます、
というような感じのもので、
その演出センスの素晴らしさや、
美的センスの豊饒さ、
役者の体技を含めた技術の高さは十全に感じられましたが、
独立した演劇作品としての充実度では、
「堤防の上の鼓手」には遥かに及びませんでした。

舞台も前回とは違って、
通常の客席と舞台をそのまま使用したもので、
舞台上に本国の倉庫の壁が再現されているので、
とても舞台が小さく遠くに見えてしまい、
せっかくの舞台の迫力が伝わり難くなってしまっていました。

この辺りもう少し工夫が出来なかったのかと、
前回の22年前の意欲的な上演と比較すると、
正直非常に残念に感じました。

そんな訳で期待はかなり萎んでしまったのですが、
それでも世界最高水準の、
素晴らしい演劇作品であったことは間違いなく、
演劇の豊饒さに心から酔うことは出来たのです。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。
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