小児への新型コロナウイルスワクチンの有効性(アルゼンチンの疫学データ) [医療のトピック]
こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。
それでは今日の話題です。
今日はこちら。
British Medical Journal誌に2022年11月30日掲載された、
小児への新型コロナウイルスワクチンの有効性についての論文です。
新型コロナウイルスワクチンについては、
モデルナ社とファイザー・ビオンテック社の、
2種類のmRNAワクチンの短期間の感染予防効果と、
比較的長期に渡る重症化予防効果が確認されています。
また、数種類のウイルスベクターワクチンや、
不活化ワクチンについても、
一定の感染予防効果が確認されています。
ただ、小児への使用について、
短期間の感染予防効果は確認されているものの、
重症化予防や生命予後への有効性については、
まだ実際の臨床データがそれほど蓄積されていないのが実際です。
今回の研究は3歳から17歳の小児に対して、
3歳から11歳には中国製の不活化ワクチン(BBIBP-CorV)が、
12歳から17歳には、それに加えて、
2種類のmRNAワクチンが使用されているアルゼンチンにおいて、
その感染予防効果や重症化予防効果を検証しているものです。
その結果、
デルタ株の流行時期においては、
3から11歳の小児に対する新型コロナワクチンの、
検査で確認された感染に対する予防効果は、
61.2%(95%CI:56.4から65.5)で、
12から17歳では66.8%(95%CI:63.9から69.5)でした。
これがオミクロン株の流行時期においては、
その予防効果はグッと下がり、
3から11歳において15.9%(95%CI:13.2から18.6)で、
12から17歳では26.0%(95%CI:23.2から28.8)と算出されています。
これは観察期間全体で算出されたものですが、
オミクロン株の流行期に限ってみると、
ワクチン接種後短期間でその予防効果は減弱し、
接種後60日以上経過後には、
3から11歳での予防効果は2.0%(95%CI:1.8から5.6)で、
12から17歳の予防効果は12.4%(95%CI:8.6から16.19という低率でした。
一方で新型コロナウイルス感染による死亡の予防効果についてみると、
オミクロン株の流行期においても、
3から11歳で66.9%(95%CI:6.4から89.8)、
12から17歳で97.6%(95%CI:81.0 から99.7)に維持されていました。
このように、
現行のワクチン(オミクロン対応ではない)は、
特にオミクロン株に対しては、
小児への感染予防効果はあまり期待出来ないのですが、
重症化予防効果については、
維持されるものであるようです。
現行接種されているオミクロン株対応の2価ワクチンの有効性については、
まだ長期のデータはあまりないのが実際ですが、
今後の検証に期待したいと思います。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。
それでは今日の話題です。
今日はこちら。
British Medical Journal誌に2022年11月30日掲載された、
小児への新型コロナウイルスワクチンの有効性についての論文です。
新型コロナウイルスワクチンについては、
モデルナ社とファイザー・ビオンテック社の、
2種類のmRNAワクチンの短期間の感染予防効果と、
比較的長期に渡る重症化予防効果が確認されています。
また、数種類のウイルスベクターワクチンや、
不活化ワクチンについても、
一定の感染予防効果が確認されています。
ただ、小児への使用について、
短期間の感染予防効果は確認されているものの、
重症化予防や生命予後への有効性については、
まだ実際の臨床データがそれほど蓄積されていないのが実際です。
今回の研究は3歳から17歳の小児に対して、
3歳から11歳には中国製の不活化ワクチン(BBIBP-CorV)が、
12歳から17歳には、それに加えて、
2種類のmRNAワクチンが使用されているアルゼンチンにおいて、
その感染予防効果や重症化予防効果を検証しているものです。
その結果、
デルタ株の流行時期においては、
3から11歳の小児に対する新型コロナワクチンの、
検査で確認された感染に対する予防効果は、
61.2%(95%CI:56.4から65.5)で、
12から17歳では66.8%(95%CI:63.9から69.5)でした。
これがオミクロン株の流行時期においては、
その予防効果はグッと下がり、
3から11歳において15.9%(95%CI:13.2から18.6)で、
12から17歳では26.0%(95%CI:23.2から28.8)と算出されています。
これは観察期間全体で算出されたものですが、
オミクロン株の流行期に限ってみると、
ワクチン接種後短期間でその予防効果は減弱し、
接種後60日以上経過後には、
3から11歳での予防効果は2.0%(95%CI:1.8から5.6)で、
12から17歳の予防効果は12.4%(95%CI:8.6から16.19という低率でした。
一方で新型コロナウイルス感染による死亡の予防効果についてみると、
オミクロン株の流行期においても、
3から11歳で66.9%(95%CI:6.4から89.8)、
12から17歳で97.6%(95%CI:81.0 から99.7)に維持されていました。
このように、
現行のワクチン(オミクロン対応ではない)は、
特にオミクロン株に対しては、
小児への感染予防効果はあまり期待出来ないのですが、
重症化予防効果については、
維持されるものであるようです。
現行接種されているオミクロン株対応の2価ワクチンの有効性については、
まだ長期のデータはあまりないのが実際ですが、
今後の検証に期待したいと思います。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。
2022-12-06 08:23
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