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「僕だけがいない街」 [映画]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日2本目の記事も映画です。
それがこちら。
僕だけがいない街2.jpg
三部けいさんの漫画を原作にしたSFタッチのミステリー、
「僕だけがいない街」を、
何となく気の迷いで観てしまいました。

原作はコミック版を7巻まで読みました。
これは最初の2巻目くらいまでは、
かなり絶妙に面白いのですが、
その後は基本的に主人公が、
少年時代に戻って、
かつての事件を解決しようとする、
というだけの物語になってしまうので、
次第に最初のワクワク感は、
消えてゆくように感じました。

映画はラスト直前までは、
非常に忠実に原作をなぞる感じになっているのですが、
監督はテレビドラマ畑の演出家で、
テレビドラマと全く同じ質感で、
画面は展開されてしまうので、
巻頭5分くらいで、
「しまった。僕の考える映画とは、
違う世界の代物だった」
ということに気づいてしまいました。

以下少しネタバレがあります。

この作品は一種のタイムリープもので、
主人公が修正の必要な惨劇や悲劇の前に、
何度か時間が巻き戻される、
という趣向になっています。
そうしているうちに、
周りでどんどん事件が起こり、
主人公は母親殺しの犯人にされてしまいます。

ここまではとても面白いのですが、
その後事件の裏には、
自分が小学生の頃の出来事が絡んでいそうだ、
ということになると、
今度は小学生の頃まで一気に時間が戻ってしまいます。

これは時間の巻き戻しというより、
タイムトリップという感じのものなので、
それまでの短時間の時間の繰り返し、
という趣向とは明らかに違っていて、
こうしたことの起こる理由も、
全く明らかにはされないので、
ちょっとついていけない感じがありました。

勿論フィクションですから、
突拍子のないことが起こっても、
何ら問題はないのですが、
主人公だけに何故こうしたことが起こるのか、
この時間の巻き戻しには、
どのようなルールや法則性があるのか、
という点については、
もう少し説明や前提がないと、
幾らフィクションとは言え、
あまりに何でもあり過ぎて、
まずいように思いました。

原作でも最初は時間の巻き戻しに、
何らかの意味を持たせている感じなのですが、
一旦時間が子供時代に戻ってしまうと、
「子供時代に戻って歴史を修正する話」
になってしまって、
それまでの謎めいた巻き戻しには、
あまり意味がないことになってしまったように思いました。

これが原作の一番の不満です。

映画は正直テレビドラマと同レベルのクオリティで、
それ以上の物にしようという姿勢や、
映画の大スクリーンならではの表現などは皆無でした。
出演する役者さん達の演技も、
テレビドラマで披露するものと同質か、
それよりもむしろ準備不足のように見えました。
カット割りや構図にも、
特色や工夫が感じられませんでした。
刃物が刺されて血が流れるような場面がありますが、
偽物の赤い液体がただ出るだけ、
という感じのやる気のない絵作りでした。

特に原作の犯人の設定は、
まあ格別意外ということはないのですが、
その発覚の場面を含めて悪くないと思っていたので、
映画の役者さんの演技や、
不自然な老けメイクなどは、
落胆するしかありませんでした。

そんな訳で全く乗れない鑑賞だったのですが、
原作の完結とアニメシリーズの完結と、
シンクロした企画のようなので、
独立した映画としてその出来を云々するのは、
お門違いなのかも知れません。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。
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