SSブログ

長岳寺奥の院不動明王石仏 [仏像]

こんにちは。
六号通り診療所の石原です。

ついさっき奈良から戻って来たところです。
取り敢えず無事に戻れたのが一番でした。

今回はブログ関連でお知り合いになった、
長岡京市の方とお逢いしたりもしました。

石仏では以前から一度お目に掛かりたかった、
長岳寺奥の院の不動明王石仏まで、
初めて足を運びました。

長岳寺は奈良山野辺の道の古刹で、
その境内から背後にある龍王山の山頂付近まで登ると、
元長岳寺の奥の院のあった場所に、
幾つかの石碑と共に、
鎌倉時代末期に建立された、
不動明王の見事な石仏が残っています。

不動明王の石仏や磨崖仏というのは、
江戸時代のやや漫画チックなものは、
結構多く全国に残っているのですが、
鎌倉時代以前に彫られたことが明確に分かっているものは、
そう滅多にはありません。

最も有名なのは富山大岩日石寺の磨崖仏です。
平安時代末期から鎌倉初期に完成されたと思われる傑作で、
まだ拝観させて頂く機会には恵まれていませんが、
石仏では珍しいことに重要文化財の指定を受けています。

ただ、それ以外ということになると、
あまり残っている仏様はありません。

その意味でこの不動明王は非常に貴重です。
しかも石仏としての出来が極めて良く、
その保存状態も良好なのです。
実際に拝見すると、
本物のみの持つ凄みとオーラを感じることが出来ます。

行くのは結構大変です。

スタンダードな方法は、
長岳寺の境内の脇から山を登って行くハイキングコースで、
全長は2キロくらいあるので、
1時間は優に掛かります。

勿論登山やハイキングの途中で、
石仏にお逢いする、ということであれば、
これで良いのですが、
この石仏だけが目的なのに、
この経路を取るのはかなり厳しいのです。
妻と2人の旅行で妻は足が悪いので、
それほど長時間待っていてもらう訳にもゆきません。

それであれこれ情報を収集すると、
どうやら近くまで車で行けそうなことが分かりました。
ただ、道は狭そうな上に、
あまり明確な順路が、
何処にも書いてありません。

しかし、それでもどうにか行ってみることにしました。
順路は天理市街から、
旧国道25号で天理ダムを目指します。
ここで天理ダムのバス停まで行って、
そこから右に上る方向に道があるので、
そこを少し登ると、
龍王山山頂という小さな立て札があります。
それでその方向に車を走らせます。

多分県道247号と言うのだと思いますが、
確実ではありません。
いずれにしても車がすれ違えない細い道で、
ところどころは草や岩で部分的に道が塞がれています。
その道が龍王山の山頂を巻くように進んでいて、
その途中に駐車場的なスペースがあるので、
そこに車を停めて、
それから山頂に歩を進めると、
長岳寺方向に降りる立て札が見付かります。
そこを降り、
途中で左に「長岳寺奥の院」の立て札があるので、
その踏み分け道的な道を引き返す方向に300メートルほど下るのです。

これも結構難航しました。
ちょっと降りる程度かと思うと、
15分くらいは下るのです。
特に奥の院の周辺になると、
殆ど道は消滅していて、
クモの巣と藪とぬかるみが続きます。

そして、見上げるとそこに不動明王が立っています。
こちらです。
長岳寺不動明王遠景.jpg
お分かり頂けるでしょうか?
クモの巣が幾重にも張っています。
靴もズボンもグチョグチョで、
藪蚊やブヨに全身を刺されるし、
かなりグロッキーな状態でした。
頑張ってもう少し近付きます。

こちらをご覧下さい。
長岳寺不動明王1.jpg
不動明王様の全景です。
ちょっと現代的なフォルムの彫像です。
こういうスタイルの中世以前の石仏というのは、
あまり類例がないように思います。

もう少し近付きます。
長岳寺不動明王拡大.jpg
画像ではあまりそう見えないのですが、
表面は少し青く苔生しています。
画像で見るより迫るものもあるのです。
矢張り不動明王の中世石仏としては、
屈指の名品だと思います。

ハイキングで訪れた方の感想で、
「奥の院と言うので期待をしたら、
ただの石仏でガッカリした」
というようなものがあり、
価値観はそれぞれなので仕方のないことなのですが、
これだけの名作をなあ、
と思うとちょっと切ない気分になってしまいます。

多分もう2度は行けないと思いますが、
今回はどうにかお逢い出来て幸せでした。

それでは今日はこのくらいで。

もう夜ですが、
今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
nice!(7)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 7

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0