男性の骨粗鬆症に対する注射薬の治療効果について [医療のトピック]
こんにちは。
六号通り診療所の石原です。
朝から健診結果の整理などして、
それから今PCに向かっています。
それでは今日の話題です。
今日はこちら。
今月のthe New England Journal of Medicine誌に掲載された、
男性の骨粗鬆症の治療についての論文です。
男女を問わず年齢と共に骨は脆くなり、
骨折の増加が、
高齢者の健康においては、
常に大きな問題になります。
ただ、その影響は、
閉経後の女性において顕著なので、
これまでの多くの臨床試験は、
専ら閉経後の女性をその対象にしており、
男性の高齢者への効果は、
未だ明確ではありません。
そこで今回の臨床試験においては、
加齢もしくは男性ホルモンの低下により、
骨量の測定値が著明に低下しているか、
一定レベルの低下に、
背骨などの骨折の既往のある、
50~85歳の男性1199名を対象とし、
2群に分けて、
一方には骨粗鬆症の治療薬である、
ゾレドロン酸の注射薬を、
年1回5mgの点滴で行ない、
もう一方には偽薬を点滴して、
その後2年間の経過を観察しています。
ゾレドロン酸というのは、
ビスフォスフォネートと総称される、
骨の破壊を強力に抑える効果の薬剤の1つで、
日本ではこの薬剤の注射剤は、
骨粗鬆症には使用されていません。
日本では同種の薬剤の、
週1回、もしくは月に1回の飲み薬が、
主に使用されています。
このタイプの薬剤は、
閉経後の女性の骨粗鬆症に対して、
5年間程度の使用に関しては、
その効果は確立していますが、
男性での効果は未だ確立したものではありません。
その結果…
2年間の観察期間において、
新規の背骨の圧迫骨折は、
ゾレドロン酸使用群で偽薬に対し、
相対リスクで67%有意に低下しました。
ただしこれは、
実際に痛みなどの症状のある骨折のみではなく、
レントゲン写真においての変化を全て含むもので、
実際に症状を伴う骨折のみの比較では、
骨折の件数自体が少なかったため、
統計的に有意な差はついていません。
患者さんのそれ以外の予後に関しては、
両群で差はありませんでした。
今回の結果は、
男性においても、
症例を選んで使用すれば、
骨粗鬆症の薬剤に、
骨折予防効果が期待出来ることを示したもので、
特に今回の方法は、
年に一度の点滴を行なうだけなので、
きちんと患者さんを、
長期的にモニター出来るような制度があれば、
症例を選べば有意義なものになり、
医療コストの削減にも結び付くもののように思います。
より長期的な使用の安全性を含めて、
今後の研究結果の蓄積を、
期待したいと思います。
今日はまだデータに乏しい、
高齢の男性への骨粗鬆症治療についての話でした。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。
六号通り診療所の石原です。
朝から健診結果の整理などして、
それから今PCに向かっています。
それでは今日の話題です。
今日はこちら。
今月のthe New England Journal of Medicine誌に掲載された、
男性の骨粗鬆症の治療についての論文です。
男女を問わず年齢と共に骨は脆くなり、
骨折の増加が、
高齢者の健康においては、
常に大きな問題になります。
ただ、その影響は、
閉経後の女性において顕著なので、
これまでの多くの臨床試験は、
専ら閉経後の女性をその対象にしており、
男性の高齢者への効果は、
未だ明確ではありません。
そこで今回の臨床試験においては、
加齢もしくは男性ホルモンの低下により、
骨量の測定値が著明に低下しているか、
一定レベルの低下に、
背骨などの骨折の既往のある、
50~85歳の男性1199名を対象とし、
2群に分けて、
一方には骨粗鬆症の治療薬である、
ゾレドロン酸の注射薬を、
年1回5mgの点滴で行ない、
もう一方には偽薬を点滴して、
その後2年間の経過を観察しています。
ゾレドロン酸というのは、
ビスフォスフォネートと総称される、
骨の破壊を強力に抑える効果の薬剤の1つで、
日本ではこの薬剤の注射剤は、
骨粗鬆症には使用されていません。
日本では同種の薬剤の、
週1回、もしくは月に1回の飲み薬が、
主に使用されています。
このタイプの薬剤は、
閉経後の女性の骨粗鬆症に対して、
5年間程度の使用に関しては、
その効果は確立していますが、
男性での効果は未だ確立したものではありません。
その結果…
2年間の観察期間において、
新規の背骨の圧迫骨折は、
ゾレドロン酸使用群で偽薬に対し、
相対リスクで67%有意に低下しました。
ただしこれは、
実際に痛みなどの症状のある骨折のみではなく、
レントゲン写真においての変化を全て含むもので、
実際に症状を伴う骨折のみの比較では、
骨折の件数自体が少なかったため、
統計的に有意な差はついていません。
患者さんのそれ以外の予後に関しては、
両群で差はありませんでした。
今回の結果は、
男性においても、
症例を選んで使用すれば、
骨粗鬆症の薬剤に、
骨折予防効果が期待出来ることを示したもので、
特に今回の方法は、
年に一度の点滴を行なうだけなので、
きちんと患者さんを、
長期的にモニター出来るような制度があれば、
症例を選べば有意義なものになり、
医療コストの削減にも結び付くもののように思います。
より長期的な使用の安全性を含めて、
今後の研究結果の蓄積を、
期待したいと思います。
今日はまだデータに乏しい、
高齢の男性への骨粗鬆症治療についての話でした。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。
2012-11-05 08:13
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