大島渚「儀式」その他 [映画]
こんにちは。
六号通り診療所の石原です。
今日は日曜日で診療所は休診です。
朝からいつものように駒沢公園まで走りに行って、
ちょっと洗濯をして、
それから今PCに向かっています。
休みの日は趣味の話題です。
今日はこちら。
大島渚の映画は、
一時期は執拗に観ていて、
「悦楽」とか未見のものも幾つかありますが、
概ねその劇場公開作品は、
主に都内の名画座で観ています。
「愛のコリーダ」と「愛の亡霊」は、
フランス版のDVDを買いました。
これはノーカットの版は、
日本では出ていませんし、
劇場公開もされていないのです。
僕が最初に大島渚の映画を観たのは、
1980年のATG映画の特集回顧上映の時で、
「絞死刑」と「儀式」の2本を続けて観ました。
「絞死刑」は、
「あなたは日本の死刑の現場を見たことがありますか?」
というアジテーションに始まり、
再現されたその現場で、
在日朝鮮人の死刑囚が、
死刑にされるその瞬間からドラマがはじまる、
という挑発的な作品で、
手順通りに死刑は執行されたにも拘らず、
死刑囚は死なないので、
刑務官達が、
その記憶喪失に陥った死刑囚に対して、
彼の犯した犯罪の記憶を、
甦らせようとする話です。
知的で観念的で異様な迫力があり、
魅力的な作品ですが、
役者さんの演技にかなり鼻に付く部分があり、
台詞にもあの時代特有の、
「物凄く恥ずかしい感じ」が随所にあります。
また、当時は死刑がどう行われているのか、
というような詳細は、
一切公開されていなかったので、
設定自体に魅力がありましたが、
今では処刑場が公開されたりもしているので、
そのインパクトはやや薄れた感は否めません。
「儀式」はある意味大島映画の総決算に位置付けられる、
彼にとっては一番の大作の1つで、
ある地方の名家の戦後を通して、
1970年までの日本の戦後を、
大島なりに総括した作品です。
ちょっとドロドロした、
横溝正史風の感じがあり、
当時のニュースであった、
三島由紀夫のクーデターも、
取り込まれています。
武満徹の仰々しい音楽が、
これでもかとばかりに鳴り響くのも良いのです。
脚本に佐々木守が加わっていて、
大島作品の「恥ずかしい台詞」が、
適度にやわらげられているのも、
他の作品より一般の観客の、
敷居を低くしている感じです。
当時の批評がこちら。
何と言うのか、とても時代を感じます。
僕も以前はこういうものに、
結構騙された感じはあり、
こうした「時代の雰囲気」を、
概ね今は嫌悪していますが、
でもこの映画は好きです。
小山明子は大島映画の永遠のヒロインですが、
彼女が発する台詞だけは、
どんなに臭い台詞も、
自然に聞こえてしまうのが不思議です。
特にこの映画の小山明子は、
最初の辺りで主人公の子ども時代に、
お風呂を窓の外から覗くところなど、
本当に覗かれているみたいで、
胸がゾクゾクします。
その姿は少年が思慕する、
年上の理想の女性そのもので、
何度観ても甘酸っぱい気分になるのですが、
彼女はこの映画の中で、
その身体を汚された上に、
白装束で樹の幹に日本刀で串刺しになるのです。
大島映画が一体何だったのか、
というのは非常に難しい問題ですし、
あれが本当に映画であったのか、
と言う点も疑問に思うところがありますが、
あんな映画を撮る監督が今はいないことは確かですし、
これからも折に触れ、
何度かは観たいと思うのです。
それでは今日はこのくらいで。
皆さんも良い休日をお過ごし下さい。
石原がお送りしました。
六号通り診療所の石原です。
今日は日曜日で診療所は休診です。
朝からいつものように駒沢公園まで走りに行って、
ちょっと洗濯をして、
それから今PCに向かっています。
休みの日は趣味の話題です。
今日はこちら。
大島渚の映画は、
一時期は執拗に観ていて、
「悦楽」とか未見のものも幾つかありますが、
概ねその劇場公開作品は、
主に都内の名画座で観ています。
「愛のコリーダ」と「愛の亡霊」は、
フランス版のDVDを買いました。
これはノーカットの版は、
日本では出ていませんし、
劇場公開もされていないのです。
僕が最初に大島渚の映画を観たのは、
1980年のATG映画の特集回顧上映の時で、
「絞死刑」と「儀式」の2本を続けて観ました。
「絞死刑」は、
「あなたは日本の死刑の現場を見たことがありますか?」
というアジテーションに始まり、
再現されたその現場で、
在日朝鮮人の死刑囚が、
死刑にされるその瞬間からドラマがはじまる、
という挑発的な作品で、
手順通りに死刑は執行されたにも拘らず、
死刑囚は死なないので、
刑務官達が、
その記憶喪失に陥った死刑囚に対して、
彼の犯した犯罪の記憶を、
甦らせようとする話です。
知的で観念的で異様な迫力があり、
魅力的な作品ですが、
役者さんの演技にかなり鼻に付く部分があり、
台詞にもあの時代特有の、
「物凄く恥ずかしい感じ」が随所にあります。
また、当時は死刑がどう行われているのか、
というような詳細は、
一切公開されていなかったので、
設定自体に魅力がありましたが、
今では処刑場が公開されたりもしているので、
そのインパクトはやや薄れた感は否めません。
「儀式」はある意味大島映画の総決算に位置付けられる、
彼にとっては一番の大作の1つで、
ある地方の名家の戦後を通して、
1970年までの日本の戦後を、
大島なりに総括した作品です。
ちょっとドロドロした、
横溝正史風の感じがあり、
当時のニュースであった、
三島由紀夫のクーデターも、
取り込まれています。
武満徹の仰々しい音楽が、
これでもかとばかりに鳴り響くのも良いのです。
脚本に佐々木守が加わっていて、
大島作品の「恥ずかしい台詞」が、
適度にやわらげられているのも、
他の作品より一般の観客の、
敷居を低くしている感じです。
当時の批評がこちら。
何と言うのか、とても時代を感じます。
僕も以前はこういうものに、
結構騙された感じはあり、
こうした「時代の雰囲気」を、
概ね今は嫌悪していますが、
でもこの映画は好きです。
小山明子は大島映画の永遠のヒロインですが、
彼女が発する台詞だけは、
どんなに臭い台詞も、
自然に聞こえてしまうのが不思議です。
特にこの映画の小山明子は、
最初の辺りで主人公の子ども時代に、
お風呂を窓の外から覗くところなど、
本当に覗かれているみたいで、
胸がゾクゾクします。
その姿は少年が思慕する、
年上の理想の女性そのもので、
何度観ても甘酸っぱい気分になるのですが、
彼女はこの映画の中で、
その身体を汚された上に、
白装束で樹の幹に日本刀で串刺しになるのです。
大島映画が一体何だったのか、
というのは非常に難しい問題ですし、
あれが本当に映画であったのか、
と言う点も疑問に思うところがありますが、
あんな映画を撮る監督が今はいないことは確かですし、
これからも折に触れ、
何度かは観たいと思うのです。
それでは今日はこのくらいで。
皆さんも良い休日をお過ごし下さい。
石原がお送りしました。
2011-10-16 10:47
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はじめまして。記事についてのコメントではなくて申し訳ないのですが、予防接種のことで見解をお聞きしたくコメントさせて頂きました。
先生のブログの予防接種についての記事はとても参考にして頂いております。
子供が三種混合の予防接種を控えているのですが、ワクチン類の製造には動物由来の成分も多く使われているということを知り、ワクチンの放射性物質による汚染を懸念しており、予防接種を躊躇しております。
製造に使われる成分が汚染していた場合、ワクチンも汚染されてしまう可能性はあるのでしょうか?
先生のご意見をお聞きしたく、よろしくお願いします。
by chika (2011-10-16 14:29)
う~ん・・・(笑)
わたしもぜひ再見してみたいと思います。
先だってベニチオ・デル・トロが新藤兼人監督に話を聴くという番組を見ましたが、映画への愛に満ちていて素晴らしかったです。
新藤監督はさほど好きではなかったのですが、この番組で新たな興味が生まれました。
RUKO
by 末尾ルコ(アルベール) (2011-10-16 18:13)
chika さんへ
勿論若干の混入はあるかも知れませんが、
それはもう食材からの被曝を考えれば、
無視して頂いて良いのではないかと思います。
by fujiki (2011-10-16 22:40)
RUKO さんへ
コメントありがとうございます。
新藤兼人監督は、
僕もあまり強い関心はありませんでした。
でも、時々気になりますね。
by fujiki (2011-10-16 22:43)