続・早期胃癌画像集 [仕事のこと]
こんにちは。
六号通り診療所の石原です。
朝から健診結果の整理などして、
それから今PCに向かっています。
それでは今日の話題です。
今日は放射能の話題は離れ、
診療所で診断した、
早期胃癌の画像を見て頂きます。
実際の事例ですが、
患者さんの特定を避ける観点から、
細部は敢えて事実を変えて、
記載した部分のあることをお断りしておきます。
患者さんは60代の男性で、
特に基礎疾患はなく、
毎年バリウムの胃の検査を市区町村の検診でしていましたが、
特に異常を指摘されたことはありませんでした。
今回、胃もたれの症状が気になり、
初めて胃カメラの検査を、
お受けになりました。
こちらをご覧下さい。
その方の胃の画像です。
これは胃の出口に近い部分ですが、
かなり粘膜が荒れているのが分かります。
ある程度進行した萎縮性胃炎の所見です。
ピロリ菌の検査は陽性でした。
この年齢とこの所見から、
かなり長期間ピロリ菌由来の胃炎が、
続いていたことが推測されます。
つまり、癌のリスクの高い胃粘膜です。
それで慎重な観察を行ないます。
では次を。
胃のほぼ真ん中に近い辺りです。
何処が異常であるのか、
お分かりになるでしょうか?
次をご覧下さい。
青い矢印で囲まれた部分を見て下さい。
周囲より、
少し窪んでいて、
その粘膜の色調も、
周囲よりやや赤く見えます。
こうした時は、
病変を分り易くするために、
色素を撒きます。
それがこちら。
色素を撒くことにより、
窪みの部分がより明瞭になっています。
大きさは1センチ弱くらいです。
この部分の組織を取って検査を行ない、
胃の腺癌の細胞を検出しました。
印環細胞癌と呼ばれる、
やや悪性度の高い胃癌です。
すぐにご本人に説明の上、
癌の専門病院にご紹介しました。
内視鏡で治療出来るか、
手術が必要になるか、
ちょっと微妙な病変ですが、
いずれにしても治癒する癌であることは、
ほぼ間違いはありません。
こうした早期胃癌は、
バリウムでも詳細な検査を行なえば、
検出が可能とされますが、
実際には集団検診のレベルでは、
なかなか困難であるのが現実だと思います。
勿論バリウム検査の方が検出され易い病変も、
存在することは事実ですが、
放射線の被爆量の多い検査でもあり、
少なくとも集団検診のような形態に、
適した検査であるとは思えません。
どのような対象者にメリットがあるのか、
という検討を含めて、
バリウムの胃の検診は、
再考を要する点が多いのではないか、
と僕は思います。
特にピロリ菌が陽性の場合には、
定期的な胃カメラの検査が、
必要と考えられる所以です。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。
六号通り診療所の石原です。
朝から健診結果の整理などして、
それから今PCに向かっています。
それでは今日の話題です。
今日は放射能の話題は離れ、
診療所で診断した、
早期胃癌の画像を見て頂きます。
実際の事例ですが、
患者さんの特定を避ける観点から、
細部は敢えて事実を変えて、
記載した部分のあることをお断りしておきます。
患者さんは60代の男性で、
特に基礎疾患はなく、
毎年バリウムの胃の検査を市区町村の検診でしていましたが、
特に異常を指摘されたことはありませんでした。
今回、胃もたれの症状が気になり、
初めて胃カメラの検査を、
お受けになりました。
こちらをご覧下さい。
その方の胃の画像です。
これは胃の出口に近い部分ですが、
かなり粘膜が荒れているのが分かります。
ある程度進行した萎縮性胃炎の所見です。
ピロリ菌の検査は陽性でした。
この年齢とこの所見から、
かなり長期間ピロリ菌由来の胃炎が、
続いていたことが推測されます。
つまり、癌のリスクの高い胃粘膜です。
それで慎重な観察を行ないます。
では次を。
胃のほぼ真ん中に近い辺りです。
何処が異常であるのか、
お分かりになるでしょうか?
次をご覧下さい。
青い矢印で囲まれた部分を見て下さい。
周囲より、
少し窪んでいて、
その粘膜の色調も、
周囲よりやや赤く見えます。
こうした時は、
病変を分り易くするために、
色素を撒きます。
それがこちら。
色素を撒くことにより、
窪みの部分がより明瞭になっています。
大きさは1センチ弱くらいです。
この部分の組織を取って検査を行ない、
胃の腺癌の細胞を検出しました。
印環細胞癌と呼ばれる、
やや悪性度の高い胃癌です。
すぐにご本人に説明の上、
癌の専門病院にご紹介しました。
内視鏡で治療出来るか、
手術が必要になるか、
ちょっと微妙な病変ですが、
いずれにしても治癒する癌であることは、
ほぼ間違いはありません。
こうした早期胃癌は、
バリウムでも詳細な検査を行なえば、
検出が可能とされますが、
実際には集団検診のレベルでは、
なかなか困難であるのが現実だと思います。
勿論バリウム検査の方が検出され易い病変も、
存在することは事実ですが、
放射線の被爆量の多い検査でもあり、
少なくとも集団検診のような形態に、
適した検査であるとは思えません。
どのような対象者にメリットがあるのか、
という検討を含めて、
バリウムの胃の検診は、
再考を要する点が多いのではないか、
と僕は思います。
特にピロリ菌が陽性の場合には、
定期的な胃カメラの検査が、
必要と考えられる所以です。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。
2011-04-09 08:26
nice!(33)
コメント(5)
トラックバック(0)
すごく勉強になります。
胃カメラ、鼻からでも嫌ですが、定期的な検査は必要ですね。
胃もたれの症状から、こうした癌が発見されるとは!!
by HWK (2011-04-09 22:48)
HWKさんへ
コメントありがとうございます。
確かに楽しい検査ではないのですが、
有用性は高いと思います。
by fujiki (2011-04-10 12:09)
こんにちは、本日はお休みだったので、先生の過去のブログを読み返していました。今朝の相談でもふれましたが、バリウムのほうが検出されやすい病変があると書かれていますが、その辺は先生のところでカメラ検査をしていれば、写真の様などれがガンなのか分からないのも発見してもらえるとかんがえていいでしょうか?信用してあない訳では決してないのですが、カメラの弱点で、発見出来ないガンがあるのならば、やはり少し不安になります。胃の透過も必要なのですかね。やはり萎縮性胃炎は温床となるのですね。ピロリ菌が,陰性の状態にしておくと、がんになる確率は少しはましになるのですか?朝から何度も相談してすみません。先生のブログは非常に興味深い反面ドキッとしてしまいます。不安神経症にはよくないですかね。でも、気持ち的に助けられた部分は数知れずあり感謝してます。
by いち (2011-04-19 15:13)
いちさんへ
ピロリ菌を除菌することで、
少なくとも分化型腺癌の、
リスクはグッと減ると思います。
バリウムの方が検出され易い病変のあることは事実ですが、
実際にはバリウムの手技も読影の技術も、
以前よりは低下しているので、
検診レベルのバリウムで、
その被爆量に見合う効果があるとは、
あまり思えません。
少なくとも今年は、
やらないで良いと僕は思います。
by fujiki (2011-04-19 20:17)
先生ありがとうございました。安心しました。
by いち (2011-04-20 11:04)