SSブログ

水族館劇場と駒込大観音 [演劇]

こんにちは。
六号通り診療所の石原です。

今日は休みで1日家にいるつもりです。

休みの日は医療以外の話題です。

先週、水族館劇場のテント芝居を見に、
本駒込に行きました。
まず、こちらがチラシです。
水族館劇場.jpg
水族館劇場はやや政治色のある集団のようですが、
大掛かりなテント芝居を定期的に上演しています。
テントも舞台も全て劇団員等の手造りです。
現在こうした野外劇の舞台としては、
大阪の維新派と並んで、
最も大掛かりなものだと思います。
維新派の舞台は水族館劇場より、
遥かに洗練されていますが、
その一方でいかがわしさや安っぽさに、
やや欠ける、という気はします。
プロの手が入り、湯水の如くお金を使えば、
幾らでも大掛かりなことは出来る訳で、
あまり洗練に向かうと、
こうした企画はその意図を失う、と思います。
ただ、維新派の舞台は僕は大好きです。
今年岡山に行けないのは、
仕事があるので仕方がないのですが、
正直無念でなりません。

水族館劇場は昨年初めて見ました。

舞台が設営されたのは、
本駒込の光源寺というお寺の境内で、
俗に「駒込大観音」と呼ばれています。

本駒込は嘗ての寺町で、
この光源寺の周辺には、
まだその名残が残されています。

かなり変貌しているとは言え、
まだなかなか良い雰囲気で、
お寺が4つくらい隣合わせに並んでいる風景など、
散策するだけでワクワクする気分になります。

「駒込大観音」の由来は、
江戸時代に6メートルを超える観音様の像が、
まつられていたからで、
東京の空襲で焼失したのですが、
平成5年になって、
ほぼ往時の姿で再建されました。
では次を。
駒込大観音.jpg
観音様のお姿です。
身の丈は6メートルを超えます。
なかなか仏像としても、
優れたフォルムで完成度は高いですね。
ただ、端正過ぎて個性や趣には乏しい、
という気はします。
まあ、平成の作なのですから仕方がありません。

この観音堂のすぐ目の前に、
巨大なバラックのようなテントがそそり立っています。
それがこちら。
水族館劇場テント全景.jpg
高さも5階建てのビルくらいはあります。
美的センスの欠片もないような、
この怪物的な感じが良いですね。
では次を。
回転木馬セット.jpg
セットの一部を拡大したものですが、
上にチープな回転木馬があり、
これが人間を乗せて人力で回転します。
その下には灯篭がありますね。
つまり灯篭や寺の礎石を巻き込んで、
この大セットはそそり立っているのです。
神をも恐れぬ所業とも言えますし、
微笑ましくも思えます。
更にこれだけではなく、
テントの前の境内にも、
廃園のようなセットが組まれています。
それがこれ。
水族館劇場屋外セット.jpg
ここでまずプロローグが上演され、
それから客入れがあって、
テントの中に観客は誘導されます。

このように、ロケーションと上演前の雰囲気は、
抜群に魅力的です。

ただ、実際に上演される芝居自体はどうかと言うと、
やや問題があります。

まず台本がオリジナリティに乏しく、
唐十郎や北村想、寺山修司のセリフやイメージを、
継ぎ合わせたような代物です。
役者がまた、殆ど素人レベルで、
まともな学生劇団の方が、
遥かにレベルが高いだろう、という感じです。
個性のある素人を舞台に上げよう、
という方針があるのは分かるのですが、
演技に方法論が皆無なので、
ままごとのようにしか見えないのです。

また、客入れが最低です。

曰くありげなオジサンが仕切っているのですが、
自由席なのに、
「おまえはここに座れ」とばかりに席を指定するのです。
混乱を招かないために、
適度な誘導は必要ですが、
自由席なのに強引に指定するのは、
あってはならないことです。
それがまたスムースであれば良いのですが、
却って失敗して客を溜めてしまうのですから、
もう話になりません。
僕は多くのテント芝居を見ましたが、
このように不快で強引な客入れは初めてです。
あのオジサンはどれだけ偉い方かは知りませんが、
客入れ係としては、
史上最悪だと断言出来ます。

そんな訳で色々文句はあるのですが、
舞台にはプールが造られ、
人力の巨大な廻り舞台がギシギシと動き、
クライマックスには滝のように水が落ち、
噴水が吹き上がる中、
赤い木馬に乗った少女がワイヤーで宙に舞い上がります。
ラストは力技で背後の岩が崩れ落ち、
今度は外で赤い木馬が舞い上がり、
大銀杏がライトに映えます。
去年に比べればまだ芝居もまともでしたし、
プロローグで見事な「プロの」紙芝居も聞けたので、
何となく元は取った気分でお寺を後にしました。

演劇としての評価は出来ないので、
別に勧めるつもりはありませんが、
公演は今日と明日まで続きます。
来年はもうやらないとのことです。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。
nice!(28)  コメント(2)  トラックバック(0) 

nice! 28

コメント 2

yuuri37

また、やってきた日曜日。今日はどんな話題かな^^
とっても楽しみです。
モダンなチラシですね。
え~あのお寺にこんなものが・・・知らんだった><;
タイの田舎のお寺みたいになちゃって。。。面白そう。
私は後妻の子で、駒込は私が3歳まで母と二人で生息していた地です。当時のことは全然記憶にないのだけど、なんとなく好きな場所です。当時もちろんこの観音様はいらっしゃらなかったけど・・・お寺は、よく知っています。平成の観音様も1000年も経てば味が出てくるのでしょうねw

by yuuri37 (2010-06-06 11:26) 

fujiki

yuuri37 さんへ
コメントありがとうございます。

yuuri さんとあのお寺に、
そんなご関係があったとは不思議です。
7月の初めにはほおずき市もあります。
もしお時間があればお参りに行って見て下さい。
by fujiki (2010-06-06 20:48) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0