30円で魂を売る、ということ [仕事のこと]
こんにちは。
六号通り診療所の石原です。
今日は水曜日なので、
診療は午前中で終わり、
午後は診療報酬の作業を、
賽の河原で石を積むような思いで、
いつ終わるともなく続ける予定です。
朝から紹介状など書いて、
それから今PCに向かっています。
それでは今日の話題です。
まず、こちらをご覧下さい。
これは今回の診療報酬の改定の、
再診料の部分を抜き出したものです。
図の1点というのは通常は10円のことです。
ご存知の方も多いように、
今年の4月の改定から、
それまで71点であった再診の診察料が、
診療所においては69点に減額になりました。
これはたとえば2000年には74点でしたから、
どんどん減額が進んでいることが、
何となくお分かり頂けるかと思います。
診療報酬の医療における仕組みというのは、
基本の点数に色々な名目で加算をしてゆく、
という形式になっていて、
それが患者さんに分かり難く、
医者も悩む大きな要因になっています。
今回一番の問題になっているのは、
上の図の下の方に書いてある、
「地域医療貢献加算」という加算点数です。
これは診療所のみに認められ、
点数は3点です。
つまり30円ですね。
この加算点数を申請した医療機関は、
24時間365日、何らかの形で患者さんからの連絡を、
受けられるような体制作りが義務化されます。
患者さんのご負担は3割負担の方で、
9円ということになります。
僕の知る限り、この改定の経緯は、
ある政治家が診療所の点数が2点下がることの不満を言われた時に、
それなら地域に密着して診療時間以外にも、
患者さんの相談に応えられるような体制がある診療所に限り、
下げないように配慮しよう、
と考えたことからのようです。
その点数を下げないための要件が、
「24時間365日連絡が可能」ということだったのです。
この考え方の問題点は、
大きくは2つある、と僕は思います。
そのまず第1点は、
患者さんのニーズから言って、
いつでも主治医と連絡の取れる環境、
というのは望ましいことであるに間違いはありませんが、
全ての診療所の全ての患者さんに対して、
一律にそのような義務を課す、というのは、
これまでそうした試みはなかったのですから、
如何にも乱暴で唐突だ、ということです。
現状でも「在宅支援診療所」という制度はあって、
在宅の患者さんに対して、24時間対応可能な体制を取る、
というのがその要件になっています。
ただ、これは在宅で月2回以上の在宅診療が、
必要な患者さんに限ってのことです。
実際に診療所でも、
在宅の患者さんでは僕の携帯の番号を伝え、
夜間でも連絡の取れる体制を取っています。
また、患者さんのご不安が強い場合などでは、
矢張り携帯や自宅の番号を伝え、
何かあればご連絡をもらうような形を取っています。
ただ、それは勿論全ての患者さんに対してではありません。
ドクターショッピングをされて、
近隣の殆どの医療機関を受診し、
その都度「夜何かあったら不安だ」
と言われるような方もいます。
僕はそうした方に初診の時に、
僕の携帯の番号などをお教えして、
いつでも電話をして下さい、
というようなことを言うのは、
僕の責任の問題から言っても、
適切なこととは思いません。
いつでも個人的に連絡の取れる環境というのは、
勿論大切なことではありますが、
一定の診療における関係があり、
人間同士としてコミュニケーションの取れることが、
その前提ではないか、という気がするからです。
しかし、今回の改定では、
一度申請を出した診療所は、
1回だけ受診した患者さんを含めて、
全ての患者さんに同様の対応を取ることを求めています。
これは幾ら何でも乱暴過ぎます。
また心療内科の患者さんで、
夜にパニック発作が起こるのが、
不安で仕方がない、と言われる方がいます。
こうした患者さんの中には、
勿論常時主治医と連絡の取れることで、
症状の改善する方もいらっしゃいます。
ただ、その一方で、却って依存的な関係になり、
適切な距離を持った診療関係が、
困難になるケースもあります。
一般に心療内科の医者や精神科の医者は、
患者さんによっては連絡先を教えて対応するケースも、
あるのではないかと思います。
ただ、その功罪はあると思うのです。
その判断はベテランの医者でも、
誤りがちなものだと僕は思います。
しかし、そうしたケースでも、
勿論全ての患者さんに教えることはしません。
そんなことをすれば、医者は人格も肉体も、
長くはもたないと思います。
これがまず第1の問題点です。
問題点の2つ目は、
この発想が、再診料の帳尻合わせと、
診療所の医者(特に内科の医者)への、嫌がらせとして発想された、
極めてその場しのぎの考えだということです。
このことを考えたのは、
外科の医者以外は不要で有害な存在だ、
という特殊な考えに取り憑かれた人物で、
「俺は手術した患者のことでは、
夜中でも呼びだされることがあるのに、
ビルで9時から5時までみたいな、
誰でも出来るような診療をしている連中は、
全て潰してしまえばいいんだ」
という思い付きめいた考えから、
こうしたいじめのような改定を決定したのです。
外科医と内科医というのは、
それぞれの体質というのが矢張りあって、
酒を飲めば互いの悪口を言うようなところが、
往々にしてあるものです。
しかし、その飲み屋の会話レベルの理解しかない人物が、
その飲み屋の言動そのものに行動し、
それが一国の方針として成立してしまうのですから、
権力というのは、その素人にとっては、
つくづく怖ろしいものだと思います。
何故これが内科いじめかと言うと、
内科や心療内科が、
一番幅広い層の患者さんを対象とし、
24時間対応を全ての患者さんで、と強制された場合、
その負担が一番大きいからです。
しかし、この加算は全ての科の診療所に共通で、
たとえば皮膚科の診療所でも同様に算定出来るのですが、
イメージして頂ければ分かるように、
皮膚科の診療所で夜間の急なトラブル、
というのは滅多には考えられず、
現実的には加算を取っても、
その負担は小さいのです。
つまり、専門に特化して、
救急の割合の少ない診療科では、
こうした加算の要件はそれほどの負担にはならず、
幅広い患者さんに総合的に対応する、
僕のような診療所では、
その負担は非常に大きなものになるのです。
今回の改定に、
そうした配慮は微塵もありません。
これが僕がいじめと感じる所以です。
この改定がその場しのぎの居酒屋レベルのものだという証拠に、
「24時間連絡可能」という要件は、
今もバタバタと変更の通達が続き、
留守番電話でもいい、とか、
救急医療機関を紹介する留守電があれば、
それでもいい、とか、
更に混乱に拍車を掛けるような、
適当なお触れが立て続けに出されています。
しかし、そんなナンセンスな話はないでしょう。
きちんと決めるなら決めるべきで、
玉虫色にするべきではない、と僕は思います。
問題は全ての患者さんにその用件を適応する、
という非現実的な条件と、
その労力が30円である、という何と言うか、
切なくなるような小馬鹿にした報酬の設定にあるのです。
僕は現時点ではまだ迷っています。
勿論現時点で加算の算定はしていません。
1ヶ月前からこのことばかりを考え続けて、
24時間対応を全ての患者さんで、
というある種の理想については、
患者さんの望む形に少しでも近付けたい、
という思いもあり、
一旦そうして宣言してしまったら、
肉体的にもたずに倒れてしまう、
という不安もあります。
今までは自分の個人の携帯を、
患者さんへの連絡にも使っていたのですが、
先月から専用の携帯を契約し、
それを使用する形に徐々に改めようと思っています。
事務方はそんな加算を取るのは止めろ、
と言います。
まあ、それが普通の考えなのでしょう。
30円は魂を売り、身体を疲弊させ人間としての寿命を縮めるのに、
相応の代価だとは思えません。
問題は一定の条件の患者さんに、
治療者との一種の契約の元に、
24時間の診療のような体制を、
選択出来る余地を作る、ということなのではないか、
と思います。
実際に在宅の患者さんではそうした仕組みがある訳ですから、
それをどのように広げてゆくか、
ということになるかと思います。
しかし、より大きな意味で、
一般の人達の夜間の急病や健康への不安を軽減し、
無用な救急受診を減少させる、という意味合いであれば、
もっと総合的にそうした専門の相談窓口を作り、
その充実を図り、
皆さんの納得のいくレベルの負担と、
行政の補助のもとに、
運営するべきだと思います。
具体的には、相談者の要望を聞き、
受診の必要性があれば、
救急医療機関への要請や救急車の手配も、
一括して行なうのです。
医療版のJAFのようなものはどうか、というのが僕の考えです。
しかし、その目的に健康保険を使うのは、
基本的に誤りです。
現在の医療を悪くしているものは、
それは幾つもあるでしょうが、
僕が最悪だと思うものの1つは、
この診療報酬の体系です。
医者と患者さんとの人間関係は、
そこでは、「指導」とか「管理」とかといった、
役人言語に置き換えられ、
それが点数化されてお金と同一の意味合いを持ちます。
端的に言えば10人に満たない人間が、
その全ての項目の値付けをし、
しかも嫌らしいことに、
ある種の権力を行使し、
医療行政を自分の都合の良い方向に誘導するための餌として、
この診療報酬を用います。
たとえば、ジェネリック薬品を強引に広めようと思えば、
そのための加算を作る訳ですし、
診療所の医者を24時間働かしてやれ、と思えば、
そのための加算をするのです。
その加算の原資は皆さんの保険料で、
結局は税金というのと同じ意味合いです。
何故ジェネリック推進のための餌代を、
皆さんが負担しなければならないのでしょうか?
おかしいですよね。
診療報酬というのはあくまで診療の代価であって、
それ以上でもそれ以下でもあってはならない筈です。
しかし、現状はそれは権力の道具の1つなのです。
問題は診療報酬というものを、
そうした権力のブラックボックスから解放し、
医療者と患者さんとのシンプルな関係に、
還元するべきではないか、ということです。
しかし、現実はそれとはかけ離れた方向に、
むしろ勢いを増して迷走しているように、
僕には思えてなりません。
今日は今僕が一番悩んでいることを、
少しでも分かって頂きたいと思って文章にしました。
まだどうするべきか、
その答えは出ていません。
皆さんはどうお考えになりますか?
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。
六号通り診療所の石原です。
今日は水曜日なので、
診療は午前中で終わり、
午後は診療報酬の作業を、
賽の河原で石を積むような思いで、
いつ終わるともなく続ける予定です。
朝から紹介状など書いて、
それから今PCに向かっています。
それでは今日の話題です。
まず、こちらをご覧下さい。
これは今回の診療報酬の改定の、
再診料の部分を抜き出したものです。
図の1点というのは通常は10円のことです。
ご存知の方も多いように、
今年の4月の改定から、
それまで71点であった再診の診察料が、
診療所においては69点に減額になりました。
これはたとえば2000年には74点でしたから、
どんどん減額が進んでいることが、
何となくお分かり頂けるかと思います。
診療報酬の医療における仕組みというのは、
基本の点数に色々な名目で加算をしてゆく、
という形式になっていて、
それが患者さんに分かり難く、
医者も悩む大きな要因になっています。
今回一番の問題になっているのは、
上の図の下の方に書いてある、
「地域医療貢献加算」という加算点数です。
これは診療所のみに認められ、
点数は3点です。
つまり30円ですね。
この加算点数を申請した医療機関は、
24時間365日、何らかの形で患者さんからの連絡を、
受けられるような体制作りが義務化されます。
患者さんのご負担は3割負担の方で、
9円ということになります。
僕の知る限り、この改定の経緯は、
ある政治家が診療所の点数が2点下がることの不満を言われた時に、
それなら地域に密着して診療時間以外にも、
患者さんの相談に応えられるような体制がある診療所に限り、
下げないように配慮しよう、
と考えたことからのようです。
その点数を下げないための要件が、
「24時間365日連絡が可能」ということだったのです。
この考え方の問題点は、
大きくは2つある、と僕は思います。
そのまず第1点は、
患者さんのニーズから言って、
いつでも主治医と連絡の取れる環境、
というのは望ましいことであるに間違いはありませんが、
全ての診療所の全ての患者さんに対して、
一律にそのような義務を課す、というのは、
これまでそうした試みはなかったのですから、
如何にも乱暴で唐突だ、ということです。
現状でも「在宅支援診療所」という制度はあって、
在宅の患者さんに対して、24時間対応可能な体制を取る、
というのがその要件になっています。
ただ、これは在宅で月2回以上の在宅診療が、
必要な患者さんに限ってのことです。
実際に診療所でも、
在宅の患者さんでは僕の携帯の番号を伝え、
夜間でも連絡の取れる体制を取っています。
また、患者さんのご不安が強い場合などでは、
矢張り携帯や自宅の番号を伝え、
何かあればご連絡をもらうような形を取っています。
ただ、それは勿論全ての患者さんに対してではありません。
ドクターショッピングをされて、
近隣の殆どの医療機関を受診し、
その都度「夜何かあったら不安だ」
と言われるような方もいます。
僕はそうした方に初診の時に、
僕の携帯の番号などをお教えして、
いつでも電話をして下さい、
というようなことを言うのは、
僕の責任の問題から言っても、
適切なこととは思いません。
いつでも個人的に連絡の取れる環境というのは、
勿論大切なことではありますが、
一定の診療における関係があり、
人間同士としてコミュニケーションの取れることが、
その前提ではないか、という気がするからです。
しかし、今回の改定では、
一度申請を出した診療所は、
1回だけ受診した患者さんを含めて、
全ての患者さんに同様の対応を取ることを求めています。
これは幾ら何でも乱暴過ぎます。
また心療内科の患者さんで、
夜にパニック発作が起こるのが、
不安で仕方がない、と言われる方がいます。
こうした患者さんの中には、
勿論常時主治医と連絡の取れることで、
症状の改善する方もいらっしゃいます。
ただ、その一方で、却って依存的な関係になり、
適切な距離を持った診療関係が、
困難になるケースもあります。
一般に心療内科の医者や精神科の医者は、
患者さんによっては連絡先を教えて対応するケースも、
あるのではないかと思います。
ただ、その功罪はあると思うのです。
その判断はベテランの医者でも、
誤りがちなものだと僕は思います。
しかし、そうしたケースでも、
勿論全ての患者さんに教えることはしません。
そんなことをすれば、医者は人格も肉体も、
長くはもたないと思います。
これがまず第1の問題点です。
問題点の2つ目は、
この発想が、再診料の帳尻合わせと、
診療所の医者(特に内科の医者)への、嫌がらせとして発想された、
極めてその場しのぎの考えだということです。
このことを考えたのは、
外科の医者以外は不要で有害な存在だ、
という特殊な考えに取り憑かれた人物で、
「俺は手術した患者のことでは、
夜中でも呼びだされることがあるのに、
ビルで9時から5時までみたいな、
誰でも出来るような診療をしている連中は、
全て潰してしまえばいいんだ」
という思い付きめいた考えから、
こうしたいじめのような改定を決定したのです。
外科医と内科医というのは、
それぞれの体質というのが矢張りあって、
酒を飲めば互いの悪口を言うようなところが、
往々にしてあるものです。
しかし、その飲み屋の会話レベルの理解しかない人物が、
その飲み屋の言動そのものに行動し、
それが一国の方針として成立してしまうのですから、
権力というのは、その素人にとっては、
つくづく怖ろしいものだと思います。
何故これが内科いじめかと言うと、
内科や心療内科が、
一番幅広い層の患者さんを対象とし、
24時間対応を全ての患者さんで、と強制された場合、
その負担が一番大きいからです。
しかし、この加算は全ての科の診療所に共通で、
たとえば皮膚科の診療所でも同様に算定出来るのですが、
イメージして頂ければ分かるように、
皮膚科の診療所で夜間の急なトラブル、
というのは滅多には考えられず、
現実的には加算を取っても、
その負担は小さいのです。
つまり、専門に特化して、
救急の割合の少ない診療科では、
こうした加算の要件はそれほどの負担にはならず、
幅広い患者さんに総合的に対応する、
僕のような診療所では、
その負担は非常に大きなものになるのです。
今回の改定に、
そうした配慮は微塵もありません。
これが僕がいじめと感じる所以です。
この改定がその場しのぎの居酒屋レベルのものだという証拠に、
「24時間連絡可能」という要件は、
今もバタバタと変更の通達が続き、
留守番電話でもいい、とか、
救急医療機関を紹介する留守電があれば、
それでもいい、とか、
更に混乱に拍車を掛けるような、
適当なお触れが立て続けに出されています。
しかし、そんなナンセンスな話はないでしょう。
きちんと決めるなら決めるべきで、
玉虫色にするべきではない、と僕は思います。
問題は全ての患者さんにその用件を適応する、
という非現実的な条件と、
その労力が30円である、という何と言うか、
切なくなるような小馬鹿にした報酬の設定にあるのです。
僕は現時点ではまだ迷っています。
勿論現時点で加算の算定はしていません。
1ヶ月前からこのことばかりを考え続けて、
24時間対応を全ての患者さんで、
というある種の理想については、
患者さんの望む形に少しでも近付けたい、
という思いもあり、
一旦そうして宣言してしまったら、
肉体的にもたずに倒れてしまう、
という不安もあります。
今までは自分の個人の携帯を、
患者さんへの連絡にも使っていたのですが、
先月から専用の携帯を契約し、
それを使用する形に徐々に改めようと思っています。
事務方はそんな加算を取るのは止めろ、
と言います。
まあ、それが普通の考えなのでしょう。
30円は魂を売り、身体を疲弊させ人間としての寿命を縮めるのに、
相応の代価だとは思えません。
問題は一定の条件の患者さんに、
治療者との一種の契約の元に、
24時間の診療のような体制を、
選択出来る余地を作る、ということなのではないか、
と思います。
実際に在宅の患者さんではそうした仕組みがある訳ですから、
それをどのように広げてゆくか、
ということになるかと思います。
しかし、より大きな意味で、
一般の人達の夜間の急病や健康への不安を軽減し、
無用な救急受診を減少させる、という意味合いであれば、
もっと総合的にそうした専門の相談窓口を作り、
その充実を図り、
皆さんの納得のいくレベルの負担と、
行政の補助のもとに、
運営するべきだと思います。
具体的には、相談者の要望を聞き、
受診の必要性があれば、
救急医療機関への要請や救急車の手配も、
一括して行なうのです。
医療版のJAFのようなものはどうか、というのが僕の考えです。
しかし、その目的に健康保険を使うのは、
基本的に誤りです。
現在の医療を悪くしているものは、
それは幾つもあるでしょうが、
僕が最悪だと思うものの1つは、
この診療報酬の体系です。
医者と患者さんとの人間関係は、
そこでは、「指導」とか「管理」とかといった、
役人言語に置き換えられ、
それが点数化されてお金と同一の意味合いを持ちます。
端的に言えば10人に満たない人間が、
その全ての項目の値付けをし、
しかも嫌らしいことに、
ある種の権力を行使し、
医療行政を自分の都合の良い方向に誘導するための餌として、
この診療報酬を用います。
たとえば、ジェネリック薬品を強引に広めようと思えば、
そのための加算を作る訳ですし、
診療所の医者を24時間働かしてやれ、と思えば、
そのための加算をするのです。
その加算の原資は皆さんの保険料で、
結局は税金というのと同じ意味合いです。
何故ジェネリック推進のための餌代を、
皆さんが負担しなければならないのでしょうか?
おかしいですよね。
診療報酬というのはあくまで診療の代価であって、
それ以上でもそれ以下でもあってはならない筈です。
しかし、現状はそれは権力の道具の1つなのです。
問題は診療報酬というものを、
そうした権力のブラックボックスから解放し、
医療者と患者さんとのシンプルな関係に、
還元するべきではないか、ということです。
しかし、現実はそれとはかけ離れた方向に、
むしろ勢いを増して迷走しているように、
僕には思えてなりません。
今日は今僕が一番悩んでいることを、
少しでも分かって頂きたいと思って文章にしました。
まだどうするべきか、
その答えは出ていません。
皆さんはどうお考えになりますか?
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。
2010-04-07 08:28
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コメント(14)
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癒す者と癒される者には、依存の危険があり、
調和がなかなかとりにくいですね。
私は、他者を癒すためには、
自分も守らなければならないと考えています。
個人の限界は人それぞれで違います。
一律で捉えるべき話ではないと思いますが、
行政はそのような柔軟性に欠けるのが常ですね。
by A・ラファエル (2010-04-07 13:06)
医師会の会長が与党派で病院経営されている方になりましたね。
こういうところには現場の事情は反映されないのでしょうね。
by iyashi (2010-04-07 18:10)
先生、こんにちは。以前インフルエンザ後の体調について相談させてもらったものです。
その後中々良くならず後鼻漏もあり内科の医師に相談しクラリスを一包のを少しずつ(一包まるまる飲むと震えますが少しだと大丈夫でした)とムコサール、ムコダイン混合を飲んでみています。
以前よりはがらがら声が少し良くなったように思えますが喉の奥が赤いと言われてます。
後鼻漏はあり、日によって少ない日があります。
透明な時と白っぽい時があります。以前より鼻の通りが良くなり透明な鼻水が鼻から前よりはいくらか出るようになりましたが後鼻漏は治りません。
大きく息を吸う癖がありなんだか治りません。
クラリスと去痰、2、3ヵ月続ける場合があるそうなんですが私みたいな場合も続ける方が良いでしょうか?今のところ去痰は12日間、クラリスは9日間続けてます。
耳鼻科での診察、鼻レントゲンなどは3月はじめ以来していません。
何かアドバイスがあったらお聞きしたいのですがお願いします。
by ゆみ (2010-04-07 19:00)
A・ラファエルさんへ
コメントありがとうございます。
本当にその通りですね。
でも、実際には反対のことをしがちになります。
by fujiki (2010-04-08 08:15)
iyashi さんへ
コメントありがとうございます。
期待を全くしない、という訳ではありませんが、
多分反映されることなどないと思います。
by fujiki (2010-04-08 08:17)
ゆみさんへ
お返事ちょっとお待ち下さい。
by fujiki (2010-04-08 08:18)
ご参考になるかどうか、
ある健康保険センターでは24時間対応とされている電話番号に電話しても誰も出ません、常に留守電です。つながるのですから確かに対応していますよね。
電話診療という点数がそのうち出来るかもしれませんね
一分何点、時間帯により加算点数ありという感じで
by ide (2010-04-10 00:51)
ide さんへ
コメントありがとうございます。
電話再診というのはもうあるのですが、
その要件がまた複雑で、
却ってトラブルの原因にもなっているのが現状です。
by fujiki (2010-04-10 08:40)
ゆみさんへ
レスが遅くなりまして申し訳ありません。
僕はクラリスの長期使用には懐疑的ですが、
実際に半年間くらい継続するケースもあることは事実です。
2週間程度は続けてみて、
それであまり症状に変化がなければ中止する、
というくらいの対応で、
良いのではないかと思います。
効いているかどうかもはっきりしないのに、
何となく長く薬を飲むことは、
基本的にはあまりお勧めは出来ません。
多分薬よりも、
環境要因で自然に改善する可能性の方が、
高いのではないか、という気がします。
ご参考になれば幸いです。
by fujiki (2010-04-10 08:54)
お返事アドバイスありがとうございます。お忙しい中お返事をしていただいてるのでお時間のあるときで大丈夫ですのでお気になさらないで下さい。わざわざありがとうございます。
そうなのですね。長期の人もいらっしゃるようですね。私は今以前に二週間分もらってあるのがありそれを飲みだしています。お薬の効果かは分かりませんが以前よりがらがら声だったのが少し出るようになったかなぁ…と思います。耳鼻科でも長期に飲んでも比較的心配のない薬だとは聞きましたがやはり抗生ですし長期は心配だなと思ってました。
なので今のが飲み終わったら様子を見てみます。少しでも効果があると助かるのですが。
いつもアドバイスありがとうございます。またお聞きしたい事があったらさせて頂きたいと思います。
by ゆみ (2010-04-10 10:10)
4月に入って11日目になり、我が家にも新点数下での領収書や明細書がありますが「地域医療貢献加算」が加算されたものは1枚もありません。
「再診料+明細書発行等加算」・・・整形外科クリニック(ヘルニアでリハビリ通院中)(夫)
「再診料+外来管理加算」・・・糖尿病内科クリニック(当日にHbA1cを測定した後、診察・雑談。 明細書なし)
↑ このような感じです。
TVで話題にされた医療問題を上辺だけ改善したという印象が強いです。数字だけを弄んで、根本を解決しようとしていないと思います。
by ふくろう (2010-04-11 15:06)
ふくろうさんへ
コメントありがとうございます。
いつ何が唐突に変わるのか、
予想も付かないので、
現場は恐怖であることは確かです。
by fujiki (2010-04-12 08:29)
私は地域医療貢献加算の算定届を出しません。 高齢になり勤務医では夜間当直がきつくなったので、自分の自由な時間に働けるようにと開業しました。 はじめは自分のところで薬を出していたんですが、厚生省の医薬分業政策の推進で、ある時から完全に処方箋の発行に切り替えました。 深夜に患者さんを診療することになった場合、患者さんは処方箋をもらっても行くところがないのでは? と考えると、救急病院に行っていただくことのほうが適切かと思います。 グルグル検索して地域医療貢献加算を算定している医療機関をリストアップして、時間外はそっちに連絡してもらうようにすれば、私はぐっすり寝られると思いついたので結構いい制度かな?。
by とら猫 (2010-04-16 16:06)
とら猫さんへ
コメントありがとうございます。
医薬分業も、結局医療費がそれだけ余計に掛かっているのですから、
おかしな話だと思います。
by fujiki (2010-04-16 16:33)