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僕の行っている床屋の話 [身辺雑記]

こんにちは。
六号通り診療所の石原です。

今日は休みで、さっき起きたところです。
午後に髪を切りに行く予定ですが、
それ以外には特に用事はありません。

今日はちょっと、僕がいつも行く床屋の話をします。

僕の今行っている床屋は、
家から10分くらい歩いたところにある坂の下にあって、
僕より少し若いくらいの年齢の、
ややいびつな輪郭で、
全体に頭髪の淋しくなった頭のご主人が、
1人で切り盛りをされている店です。

僕は髪を切るのが昔から嫌いで、
髪を切るなどという習慣がこの世になかったら、
どんなに素晴らしいことかと、
今まで何度思ったか知れません。

しかし、改めて記憶を遡ってみても、
一体何がそこまで僕に散髪を忌避させるに至ったのか、
これといったトラウマに行き当たりません。

今はそれでも3ヶ月に1度は同じ床屋に行きます。
その店には多分8~9年前くらいから通い始めていて、
最初に通うきっかけは定かではないのですが、
何となく外から見た感じが、
流行っていなさそうな雰囲気で、
それで決めたのではないかと思います。

そう、僕は流行っている床屋が嫌いなのです。

それでも通い始めの頃は、
その店は「床屋」というより「美容院」という雰囲気があり、
今もいる店主以外に、
同年輩の女性も働いていて、
女性のお客さんも来ている店ではあったのです。

2人は夫婦ではない、とその当時僕は感じました。
何となくよそよそしい雰囲気があったからです。
しかし、それは本当はそうではなく、
よそよそしい間柄の夫婦ではなかったのかと、
今では僕は考えています。

2人がイメージしていたその店は、
「若い夫婦が切り盛りする、アットホームな雰囲気の美容院」
というものだったのではないかと僕は思います。

でも、現実にはその女性の快活で社交的で、
悪く言えばややガサツな感じと、
男性店主の無口で神経質で、
どちらかと言えば孤独を愛する性向とが、
互いに補い合う感じにはならず、
ともすればぶつかり合い、
店全体の雰囲気をぎくしゃくしたものにしていたように、
僕は感じました。

それから数年後のことでしょうか。

いつものようにその床屋に行くと、
急に店の名前が変わっていました。
不審に思い中に入ると、
何となく店内も荒れた雰囲気で、
出て来たのはやややつれた表情の店主1人です。
「いらっしゃいませ」
と店主が言うので、
「店の名前が変わったんですね」
と僕は言いました。
「ええ」
と例によって店主は言葉少なで無愛想です。
それでも何となく髪に鋏を入れてもらいながら、
話を聞くと、
今までの店は一種のフランチャイズのようなスタイルで、
他から店主が借り受けた店だったのだそうです。
それが全体としてあまりうまくゆかなくなり、
オーナーが手放したその店を、
店主が買い取り、
自分の店として名前を変えて続けているのです。

奥さんとは別れたのだな、
と僕は感じました。
独立するのは店主の希望ではあった筈です。
しかし、店の経営はうまくいっていなかった訳ですから、
引き継ぐのにもお金が掛かったでしょうし、
今後の経営も楽ではないと予想されます。
おそらくそのことで夫婦仲はこじれ、
無口な店主は、
ちょっと身も蓋もない言い方をすれば、
奥さんより店の方を選んだという訳なのです。

店はそれから予約制になりました。

別に予約で全て埋まるほどのお客さんが、
来る訳ではないのですが、
全て1人でやっているので、
お客さんがうっかり重なると、
対応出来なくなってしまうので、
仕方がないのでした。

そのうちに、
荒れていた店内も、
次第に落ち着きを取り戻しました。

その床屋は今も営業を続けています。
店主は相変わらず無愛想で、
最初に「暑いですね」みたいな、
天気の話をちょっとするだけで、
後は無言で仕事を続けます。
それでいて、さして上手い訳でもありません。
髪型を変える相談もしたいのですが、
取り合ってくれなさそうなので、
話し出せずにいます。

一度僕が髪を切り始めた直後に、
次の予約の人が30分以上早く来てしまって、
「ちょっと早かったみたいだな。待たせてもらうぜ」
みたいなことを言って雑誌を読み始めると、
店主はその人のことを気にしたのか、
いつもの倍くらいのスピードで、
かなり大雑把に僕の髪を切り、
15分くらいで僕の散髪を終えてしまいました。

その時はさすがに腹が立ちましたが、
それでも僕は今でも通い続けています。

他の業種でもそうなんですが、
あまり流行っている混んでいる店よりも、
欠点はあってものんびり出来るようなお店が好きです。
そうした店がすぐ潰れてしまうような今の世の中は、
何処かが確実に間違っていますよね。

そろそろ予約の時間なので、
髪を切って来ます。

皆さんも良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。
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コメント 2

acco

賛成です (・∀・)ノ

私も程々にゆるいお店の方が好きです ☆
その意味では、六号通り診療所も
皆さんに利用して貰いたいと思う反面、
行列が出来たら行き難くなってしまうかも・・・
と、考えちゃったりもします (´・ω・`;A

ともあれ、
石原先生にフォローして頂いているお陰で
入院も免れて、本当に感謝しています。
これからも、宜しくお願いしまぁす ☆彡

P.S.
地域住民としては、
メディアへの露出は基本NGで、
ご引退後に本を出版される程度に
留めて頂ければ、と思います。

by acco (2009-06-29 08:16) 

fujiki

acco さんへ
コメントありがとうございます。
商店街も次第にぎすぎすした感じになり、
嫌だなあ、とはいつも思います。
by fujiki (2009-06-29 08:22) 

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