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トレド風景 [身辺雑記]

こんにちは。
六号通り診療所の石原です。

休み明けの一週間は、
矢張り疲れますね。
今日は休みなので、
のんびりしているつもりです。

今日は僕の好きな場所の話です。


上の写真はスペインの城塞都市、
トレドの町並みです。

確か1994年かな、
一度行っただけなんですが、
死ぬ前に何処か一箇所だけ行ける場所があるとしたら、
僕は間違いなくこのトレドを選びます。

もう一枚画像をお見せします。

これはトレドの大聖堂の、
中央祭壇。
これはねえ、本当に凄いんですよ。

丁度行ったのは夕暮れで、
閉門の直前だったんですが、
遥か上方にある天窓から夕陽が差し込んでいて、
それが天使の描かれた天井画を照らし、
それから祭壇のキリストに丁度仄かな光を投げるのです。
場内はもう仄暗くなっています。
これはもう、陶然とする美しさでしたね。

1つ心残りがあって、
トレドにある小さな教会、
「サント・トメ教会」」に、
エル・グレコの最高傑作と言われる絵画、
「オルガス伯爵の埋葬」があるのですが、
閉門時間を過ぎて、
それが見られなかったのです。

これだけはね、
死ぬまでに一度は見ておきたいと、
心に誓っているんです。

トレドの街は、人間の脳の構造に良く似た、
迷宮の世界です。
細いでこぼこの石畳に覆われた入り組んだ路地が、
縦横に張り巡らされて、
ある時は上り、
ある時は下り、
内省的な気分のまま歩いて行くと、
不意に視界が大きく開けて、
そこに教会の巨大なシルエットが現われます。

人間の思考とは、多分そうしたものですね。

ユング博士はトレドを舞台にした夢の、
長大な分析を記載していて、
そこにはトレドの街の地下深くに水を湛えた泉の存在と、
それを守る聖なる蛇が登場します。
これを最初に読んだ時は、
何か運命的なものを感じました。
僕のために何かを用意してくれた気がしたのです。
博士の言う、「共時性」ですね。

歩くという行為は、
常に足元の地下深くの闇を志向しています。
歩くという行為自身が、
思考を深くしてくれるのはそのためですね。
「ぼんやり歩いている時に不意に名案を思い付いた」、
というのもそのためです。
ですから、街は常に足元の闇を持たなければなりません。
そうした意味で、
僕にとっての理想の街が、
トレドだったのかも知れません。

今日は僕にとっての特別の場所の話でした。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。
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