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同意書の意味するもの [仕事のこと]

こんにちは。
六号通り診療所の石原です。

東京は雪の予報ですが、
今のところまだ雨がちらちらの感じです。
朝から事務仕事をして、
それから今PCに向かっています。

唐突ですが、
年末にマッサージに行ったんです。
こうした所に滅多に行く訳ではないのですが、
まあたまたま行ってみた訳です。
(別に特殊な店ではないですよ、念のため)

そうしたら、まず同意書というのを渡されました。

そこには、
「もし施術中に何か不具合なことがあったり、
被害を被るようなことがあっても、
絶対に施術者や店を訴えることはしないと誓います」、
という意味のことが書かれていました。

皆さんはこれをどう思われますか?

医療でも同じようなことがあります。

ある病院では、
ある治療を受ける前に、
「この治療でもし不具合なことがあったり、
被害を被ることがあっても、
絶対に医療機関や医療スタッフを訴えないことを、
誓います」と書かれた宣誓書を手渡され、
それにサインを求められるのです。

それも、最先端の特殊な治療などではなく、
医療保険が認められているような、
普通の手術や検査でも、
そうした同意書を取るのです。

「この文面じゃ、サインは出来ません」、
と言えば、
差し出した研修医や看護師は、
不機嫌そうな困った顔をして、
一旦下がり、
しばらくして帰って来ると、
「それじゃ、治療は出来ませんので、お帰り下さい」、
と言われます。

皆さんはこのことをどうお考えになりますか?

診療所でも、
胃カメラ検査の前だけは、
同意書にサインを頂いています。
ただ、内容は胃カメラ検査はどういうものか、
という説明と、
稀に起こる合併症とその時にどう対応するか、
の説明です。
「何かあっても訴えるなよ」、
みたいな脅迫めいた文章はありません。

僕の知っている同意書というのは、
こういう形態のものです。
あくまである程度の共通の認識の下に、
その検査なり治療なりを行なった、
という確認の意味合いですね。
患者さんがサインをするのは、
その内容を共通の認識として理解した、
という意味合いであって、
それ以上でも以下でもありません。
少なくとも僕はそう教わりましたし、
それが事実だと思っています。

しかし、多分医療ミスの訴訟が増えた頃からなのでしょう。
もしトラブルがあっても訴訟は起こさない、
みたいな文面が作られるようになり、
当たり前のように流通しているようです。

僕はね、おかしいと思うんです。
もしこうした文書にサインを頂くのであれば、
もっと厳密な文面にするべきですよね。
漠然と「訴えるな」、なんて、
そんなのはおかしいでしょ。
たとえば、こういうミスがあったら、
その場合はどうする、
この場合はこうする、
みたいに保険の免責事項みたいなものを作るべきでしょう。
それをしないで、ただ訴えるな、というのは、
一種の脅迫です。
こうした文書にそれほどの法的な拘束力があるとも考え難いので、
多分相手への心理的圧迫感を主眼において、
作られたものだと思います。

勿論当時者にしてみれば、
これは自己防衛的な意味合いで、
作ったのだ、ということは分かります。
でもね、研修医のような立場の医者はどうでしょうか。
医者になって間もないうちから、
こんな書類にサインをもらうことを繰り返して、
知らず知らずに自分のやったことの責任を回避するような、
そんな体質が身に付いて来ますよね。
そのうちに責任を持つという感覚そのものが、
欠落していくような気がします。

皆さんはどう思われますか?

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。

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