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新型コロナワクチンの血栓塞栓性合併症のリスク比較 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は水曜日なので診療は午前中のみとなります。
昨日に引き続いて石田医師が外来を担当する予定です。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
コロナワクチンの血栓症リスク.jpg
British Medical Journal誌に、
2022年10月26日ウェブ掲載された、
新型コロナウイルスワクチンの、
血栓系合併症を比較した論文です。

新型コロナウイルスワクチンとして、
現状最も有効性と安全性とが確立されているのは、
ファイザー・ビオンテック社とモデルナ社のmRNAワクチンです。
そして、それに次いで使用されているのが、
アストロゼネカ社とジョンソン・エンド・ジョンソン社の、
2種類のアデノウイルスベクターワクチンです。

このアデノウイルスベクターワクチンについては、
血栓塞栓症の有害事象、
特に血小板減少を伴う血栓性血小板減少症が、
他の種類のワクチンより多いことが報告されています。

ただ、実際にはmRNAワクチンとアデノウイルスベクターワクチンを、
直接比較したようなデータはあまり存在していませんでした。

今回の検証はフランス、ドイツ、オランダ、スペイン、イギリス、
そしてアメリカという欧米の主要な国の、
ワクチンの有害事象のデータをまとめて解析したものです。

その結果、
ファイザー・ビオンテック社の新型コロナワクチン1回目接種後と比較して、
アストラゼネカ社の新型コロナワクチン1回目接種後の、
血小板減少症のリスクは、
1.33倍(95%CI:1.18から1.50)有意に増加していました。
その差は接種者年間1000人当たり1.18件(0.57から1.8)でした。
同様に血栓性血小板減少症に伴う静脈系血栓症のリスクは、
こちらもアストラゼネカ社ワクチンが、ファイザー・ビオンテック社ワクチンと比較して、
2.26倍(95%CI:0.93から5.52)有意ではないものの、
増加する傾向を示していました。

今回の大規模な検証において、
頻度的にそれほどの差ではないものの、
血小板減少症のリスクは、
アデノウイルスベクターワクチンにおいて、
明確な増加を示していて、
今後そのリスクについては、
一般にも充分周知した上で、
ワクチン接種を進める必要がありそうです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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