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神南融念寺「地蔵菩薩立像」 [仏像]

こんにちは。
六号通り診療所の石原です。

朝から住所録など作って、
それから今PCに向かっています。

今日は土曜日なので趣味の話題です。

今日はこちら。
融念寺.jpg
奈良の斑鳩、法隆寺より南西の位置にある、
融念寺という小さなお寺に、
平安時代の古い仏様が伝わっています。
今回の奈良行きで、
お寺さんにご連絡の上、
拝観させて頂きました。

平安時代の仏像は前半を貞観時代、
後半を藤原時代と称していて、
それぞれの時代で仏像の様式も異なります。

藤原時代は様式的で画一的な仏像が多く、
貞観時代は密教彫刻などの自由な造形や、
独特のデフォルメされたような凄味に、
その特徴があります。

魅力的なのは矢張り貞観仏です。

今回ご紹介する地蔵菩薩は、
所謂「お地蔵様」のことですが、
その造形がお馴染みの剃髪した神聖化された僧侶の姿になるのは、
概ね鎌倉時代のことで、
平安時代の前期から地蔵菩薩の造形はありますが、
必ずしもまだ統一された感じではありません。

法隆寺の地蔵菩薩立像や、
元室生寺にあった安産寺の地蔵菩薩は、
平安時代の地蔵菩薩の1つの典型ですが、
この神南融念寺像のような、
また別個の造形も見られます。

ただ、この仏像の印象はインドの行者を思わせるような、
かなり特異なもので、
その神秘的で異国的なお顔も、
他の同時期の地蔵菩薩とは違っています。
そのために、これは地蔵菩薩ではなく、
別個の神像なのではないか、
と言う説も根強くあるようです。

非常に印象的なのはそのお顔のフォルムと共に、
右手で衣をつまみ上げる瞬間を切り取っているという、
その洗練された動的な造形で、
実際に拝観すると、
写真で見る柔らかな感じより、
硬質で厳しいニュアンスをより強く感じます。

住職のお話を聞かせて頂きながら、
本当に間近にこの見事な仏様を拝させて頂き、
今回の小旅行の中でも、
最も充実した一時を過ごすことが出来ました。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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コメント 2

Vermeer

私も2006年秋東博で開催された“仏像 木にこめられた祈り”でこの像を拝顔しました。この年は仏像展の当たり年で仏像愛好家には忙しい秋でした。

藤原は様式的で画一的、貞観時代は自由、凄味⇒
本当にそう思います。藤原時代では貴族階級によってただひたすら極楽往生が希求されていたのに対し、貞観ではまだ密教哲学を深化させようと意欲に燃えていた学僧が造仏に深く関与していたからかもしれませんね。室生寺の釈迦如来坐像など惚れ惚れします。

慈尊院の国宝・弥勒仏坐像をご存知でしょうか。寛平(892年)の銘があるので厳密には貞観ではありませんが、素晴らしい造形と華やかな板光背。凡そ21年毎の開帳でなかなかチャンスに恵まれませんが、来年高野山開創1200年を記念して特別開帳なので、今から期待しています。
by Vermeer (2014-05-10 11:58) 

fujiki

Vermeer
コメントありがとうございます。
慈尊院については、以前記事にしています。
一度拝観したのですが、
遠方から拝む感じなので、
細部まではとても分からない、という印象でした。
来年はとても楽しみです。
でも、拝観の環境が以前と同じであれば、
その部分では大きな期待は出来ないかも知れません。
by fujiki (2014-05-11 07:25) 

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