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子供の泣き声とそれを耐えるべきだという意見について [身辺雑記]

こんにちは。
六号通り診療所の石原です。

朝から色々とやることがあるのに、
結局何も出来ず、
今PCに向かっています。

診療はいつも通りです。

それでは今日の話題です。

今日は雑談です。

先日ある漫画家の方が、
飛行機の機内での、
小さなお子さんの泣き声を、
耐え難く感じて、
そのことに対する問題提起を文章化したところ、
多くの方から非難された、
というネットの噂話めいた記事を目にしました。

その漫画家の方は女性で、
旦那さんと一緒に飛行機に搭乗されていて、
同乗していた女性の乳幼児のお子さんが、
延々と泣き続けているのを耐え難く感じ、
そのお母さんに、
「あなたのお子さんはしばらくは飛行機に乗せない方が良い」
と話し、
飛行機から降りると言って騒ぎを起こした、
というのです。

多くの方はその漫画家に批判的な意見を、
ネットなどで開陳されていて、
概ねその内容は、
乳幼児は泣くのが普通のことであり、
それに目くじらを立てるのは、
大人気ないというものや、
お母さんが傷付いて可哀想だ、
というもの、
また自分も子供がいない時には、
子供の泣き声が嫌だったけれど、
子供が出来てから考え方が変わった、
子供もいない人間は、
矢張り寛容さが足りない、
というようなものです。

僕はそうした意見に反論するつもりはありませんし、
人間の意見としてもっともなものだと思います。
もし、この内容がほぼ事実で、
その場に自分がいたとすれば、
この漫画家の方の行動に、
反発する気持ちを持ったと思います。

ただ、1つだけ言いたいことは、
この世界には、
子供を心の底から授かりたいと願いながら、
その希望が叶わず、
それを断念したご夫婦が多くいらっしゃるのであり、
特に不妊治療に長く苦しみ、
身体を痛め付けながら、
願いが叶わなかった女性にとっては、
ある時期には、
お子さんの泣き声が、
心に針を刺されるような苦痛になるのだ、
ということです。

僕は自分の親族を含めて、
そうした話を、
何度か聞いたことがあるので、
お互い様なのだから、
全ての人はお子さんの泣き声に、
我慢するのが当然だ、
という意見には、
俄かに賛同することは出来ません。

公共の場では、
誰もが小さなお子さんを尊ぶべきであり、
それが他人の子供であっても、
自分の身に置き換えて考えて、
何があっても我慢するべきなのでしょうか?

それはそうかも知れません。

ただ、
そうした状況に耐えられない人格が、
存在することは事実であり、
そこにはそれなりの理由があって、
そうした観点からは、
何らかの逃げ場所は必要ではないかと思うのです。

問題になった漫画家の方の文章を読むと、
確かに挑発的で扇情的な部分がありますが、
子供を非難するような言説はなく、
飛行機という空間の中で、
お子さんの泣き声が耐え難くなった時に、
逃げ場が全くない、
ということを主に問題にしています。

たとえば電車であれば、
降りることも可能ですが、
飛行機ではそうしたことも出来ません。

従って、
こうした問題提起は、
僕には決して誤りであるとは思えません。

逃げ場所は、
あってしかるべきではないでしょうか。

漫画家を非難する意見の中には、
「子供のいない女は心が狭いな」
というような露骨なものが多くありました。

こうした言葉が、
お子さんに恵まれなかった多くの女性に対して、
如何に残酷で差別的なものであるのかを、
おそらく多くの方は、
自覚はされていないのではないかと思います。

ネットの言論は公正なものかと言えば、
決してそんなことはないと思うのです。

子供の泣き声に文句を言うのは良くないことだ、
という非難の声が次々と寄せられれば、
いや自分はそれだけは、
理性では悪いことは思うけれど、
どうしても我慢が出来ない、
と思ったり、
子供がいることを、
人間としてのステージが上がったことのように言うのは、
納得がゆかないと思っても、
弱い立場であれば、
口をつぐむのが人間というものだからです。

人間は正当でないことも考え、
間違ったことだと思っても、
生理的に耐えられなかったり、
受け付けないことというのがあるのです。

しかし、
それが圧殺され、
うっかり口にすれば、
袋叩きに遭うのが、
ネットという世界です。

勿論僕はお子さんの泣き声は、
どんなことがあっても我慢します。
ただ、全ての人がそうでなくても、
いいのではないかと思いますし、
「うるせえな、そのクソガキを黙らせろ!」
と怒鳴るおじさんが一方にいて、
「何を言ってるこのクソオヤジ、
子供は泣くのが仕事なんだよ!」
と言い返すおばさんが一方にいるのが、
何か健全な姿のように思います。

何にしても、
多くの人とは別個の行動を取る人がいれば、
そうした行動を取らせるだけの、
その人なりの理由について、
しばし思いを巡らすだけの余裕は、
常に持っていたいなとは思うのです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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コメント 18

すずめ

ブログの内容とは少しはずれますが、私はこの話を聞いて最初に思ったのは、赤ちゃんは耳が痛かったのではないだろうかということです。
搭乗中の最初から最後まで泣いていたとしたら、よっぽどの事だと思うので、ちょっと心配になりました。
それと、この漫画家さんもメンタル的に、少しお疲れなのかもしれないと思いました。
by すずめ (2012-11-24 10:24) 

こはく

私の次男は公共の場でよく大きな声で泣きました。
その頃はとても肩身が狭かったので、
自分は赤ちゃんの泣き声には寛容になるはず、
と思っていましたが
公共の場で赤ちゃんが泣いていると、
あの頃の辛いことを思い出し苦しくなり、
パニック障害の発作を起こすことがあります。
赤ちゃんが欲しいのに、できない人から比べれば、
なんてことはないはずなのですが・・・
気にしてはいけないとか、大人はこうあるべきとか、
決め付けてしまう世間が私は怖いです。
by こはく (2012-11-24 11:46) 

Far-East

本当に同意見です。

自分達の事を思い出して今度書いてみようと思います。
by Far-East (2012-11-25 08:15) 

ちばおハム

先生、ご無沙汰しておりました。
私もこのニュースをきき、いろいろ考えさせられました。沖縄県では飛行機を利用しないと、どこにもいかれないので里帰りをする時には気を使いました。また、不妊の時期もあったので、赤ちゃんの声が耳障りというか聞いていられないという時期もありました。人それぞれ色々な立場があります。そう、先生のおっしゃっている、その人なりの理由に思いを馳せるということがnet社会でのルールのような気がします。
by ちばおハム (2012-11-25 11:21) 

末尾ルコ(アルベール)

わたしも自分のブログで取り上げた話題ですが、いろんなところでいろんな「子供」を見ますので、考えるところはありますね。
それと、一人の人間の意見を「正義面」して袋叩きにする手合いももう何とも…。

                           RUKO
by 末尾ルコ(アルベール) (2012-11-25 17:10) 

恵子

泣き続ける赤ちゃんの母親がいちばんつらい思いをしたことでしょうね
飛行機のように、逃げ場がない限られた空間にあらゆる種類の人間が密集して長時間過ごす場合、
(しかも、移動手段としてその乗り物を利用せざるを得ない)
やはり泣き声や騒音を隔離する別の場所を設けておくべきですね
その場にいる全ての人が騒音に晒され続け、多くの人が気分が悪くなり耐えているという状況は、健全なことではありません

私も騒音や泣き声が生理的に耐えられないことが多いですが、
人間として、子供の泣き声だけは我慢しなければならないと思っています
by 恵子 (2012-11-26 00:51) 

fujiki

すずめさんへ
コメントありがとうございます。
確かにお子さんの体調にも、
ちょっと問題があった可能性がありそうですね。
by fujiki (2012-11-26 08:18) 

fujiki

こはくさんへ
コメントありがとうございます。
ご指摘の通りで、
「かくあるべき」という押し付けが、
ネットで増幅される感じが、
異様で不快に思います。
by fujiki (2012-11-26 08:19) 

fujiki

Far-Eastさんへ
コメントありがとうございます。
これからもよろしくお願いします。
by fujiki (2012-11-26 08:21) 

fujiki

ちばおハムさんへ
コメントありがとうございます。
この問題は意見は半々くらいに分かれるのが、
健全なように思いますが、
同調圧力が働くのと、
それを利用して権力を行使するようなタイプの方がいるので、
常に一方に振り切れるようになるのが、
いつものことですが嫌ですね。
by fujiki (2012-11-26 08:26) 

fujiki

RUKOさんへ
コメントありがとうございます。
ご指摘の通りで、
集団リンチと化す時の感じが、
非常に嫌ですね。
多くの方はしかも、
見出しのみか2行くらいのフレーズに反応するだけで、
全体を読んだり理解しようとはしていません。
by fujiki (2012-11-26 08:34) 

fujiki

恵子さんへ
コメントありがとうございます。
子育てにストレスの掛からない環境を作るということと、
それぞれの「場」の雰囲気を保つということ、
個々の方にとって、
快適な環境を作るということは、
それぞれ分けて考えるべきことのように思います。
結論はない問題とは思うのですが…

以前何度か、
お子さんへの飛行機内での、
鎮静剤の処方を、
海外の方から頼まれたことがあります。
イスラム圏やヨーロッパの方でしたが、
それが常識であるような、
お話のされ方でした。
結構この問題への対応は、
地域差もある事項ではないのかな、
と個人的には思います。
by fujiki (2012-11-26 08:40) 

オレンジ

元記事を読んでいませんので私が感じたことを。

赤ちゃんのお母さんの態度はどうだったのでしょうか。
泣き止まない赤ちゃんを汗だくになってあやしているお母さんを見れば大抵の人はうるさいと思いつつも我慢するのではないでしょうか。

でも、泣き止まない赤ちゃんをほったらかしで、「赤ちゃんは泣くもんだからしょうがないじゃん」とばかりの態度だと、周りの人のイライラは何倍にも増幅されるのではないでしょうか。

我が家の場合は、基本は自家用車移動、飛行機・新幹線移動は2,3歳になるまで避ける。それまでは帰省も我慢する。飛行機・新幹線移動は時間帯や座席に配慮し、泣いたときはすぐに連結部に移動できるようにする。おもちゃを持参するなどの万全の準備をしています。

子どもが小さいうちは気づかれで公共の乗り物の移動はぐったりです・・・
by オレンジ (2012-11-26 16:48) 

fujiki

オレンジさんへ
コメントありがとうございます。
本当に色々な考え方のある問題だと思います。
by fujiki (2012-11-27 08:17) 

jusa

初めてコメントさせていただきます。2009年冬の新型インフルエンザに対するワクチンの記事の頃から、家族の健康のことで迷った時に大変参考にさせていただいております。以下、長文、申し訳ありません。

先生のおっしゃるように、
『「うるせえな、そのクソガキを黙らせろ!」
と怒鳴るおじさんが一方にいて、
「何を言ってるこのクソオヤジ、
子供は泣くのが仕事なんだよ!」
と言い返すおばさんが一方にいる』ような状況であれば、
子育てをしている人間には大変ありがたいことです。

しかし、元の記事は読んでいないので、あくまで、仮定の話ですが、文句をいう件の漫画家の方に対して、当時周囲の方々は、沈黙していたのではないでしょうか。
ただ飛行機の客室乗務員のみが対応し、他の方は、我関せずとだんまりを決め込んでいたのではないかと。
ネット上では、漫画家の方を非難する声が多いようですが、その場で赤ちゃんとそのお母さんをかばう声を堂々とあげる方がいたかどうかが大変気になります。
もし、周囲が沈黙していたとしたら、そのこと自体が当の漫画家の方の言葉と同じくらい赤ちゃんのお母さんを傷つけたでしょう。
赤ちゃんの声に耐えられない人がいるのも、それに寛容な人がいるのも、当然です。
ただ、親の身とすれば、日本ではどちらのサイドの方も沈黙していることが多く、そのことに無言の非難を感じているのが実情です。
現在を含めて、たまたま、私が子育ての時期を通算3年ほど過ごしているトルコでは、子供が泣いていると、「うるさい」と怒鳴る人もいる一方、「よしよし、泣かないで」と声をかけてくれる人も大勢いて、社会全体が子育てを応援してくれているような環境です。ここでは、子供に「うるさい」という人に対しても、子供を擁護する人に対しても「そうだ、そうだ」と加勢する人が現れて、大人同士が代理戦争のような言い争いを始めたりもするので、それ自体がうるさいこともありますが、日本での沈黙に比べると、親にとってはずっと楽です。
日本の公共の場で目にする他人への無関心・沈黙と、ネット上での漫画家の方への非難は実は表裏一体のもので、不寛容の表れであると思いました。日本の社会で、心理的な意味での逃げ場が誰にとってもどんどん失われていっているような気がして、恐怖を覚えます。
by jusa (2012-11-29 06:29) 

fujiki

jusa さんへ
コメントありがとうございます。
ご指摘の通りで、
無関心とネットでの不寛容な非難の集中は、
根は同じような気がします。
実際に言葉でけんかするのと同じように、
ネットでも議論が行われるのであれば、
良いことだと思いますが、
日本のように表面上無関心で、
内側では不寛容な社会では、
その乖離がネットにより、
更に増幅されるような危惧を覚えます。

これからもよろしくお願いします。
by fujiki (2012-11-29 07:58) 

MRT

>お子さんへの飛行機内での、
鎮静剤の処方

私も見たことがあります。驚きました。

我が家には未就学児がおりますが、車がありません。せざるを得ない移動は公共の交通手段になります。飛行機に乗るときは、直前まで絶対に昼寝をさせない、疲れ果てさせる、を心がけています。そして乗った瞬間に寝てもらおうと、、しかしうまくいかないときもあります。
いくらあやしても&諭しても自分の子供が泣いたり騒いでいるときは、親の私は本当に胃が痛くなります。そのため私は子連れでの外出が大嫌いで、休みの日も年末年始も本当はどこへも行きたくありません!家の中でじ~っとしていたいのです。健全とは云えませんが、、

他人の子供が泣いているとき、どの程度怒りを感じるかは、その子供と一緒にいる大人がいかに静かにさせるべく頑張っているかによるのではないかといつも思います。

ステッキに出て抱っこしてあやしたり、静かにしようねなどと声かけをしているか、それとも泣いて当然という態度をとってふんぞり返っているか、によって大分周りの人が抱く感情も違うのでは無いでしょうか?

飛行機は車両変更や途中下車もできませんから、子供連れゾーンがあったらみんながハッピーになるかもしれませんね。
思ったことをまとまりも無く書いてしまいました。失礼いたしました。

by MRT (2012-12-01 21:59) 

fujiki

MRTさんへ
コメントありがとうございます。
要は正解はなく、
コミュニケーションの問題のように思いますが、
それに白黒を強引に付け、
黒と見做された側を徹底して攻撃する、
という姿勢が、
一番の嫌な感じの原因なのだと思います。
by fujiki (2012-12-03 08:32) 

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