「ラストマイル」 [映画]
こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は祝日でクリニックは休診です。
休みの日は趣味の話題です。
今日はこちら。
人気ドラマ「アンナチュラル」と「MIU404」との同次元の世界を舞台に、
野木亜紀子さんのオリジナル脚本を、
テレビの演出にも関わったが塚原あゆ子さんが監督した映画が、
今ロードショー公開されています。
ネット通販大手の配送センターから配送された荷物が、
開封と同時に爆発するという事件が連続して起こり、
新センター長として赴任したばかりの満島ひかりさんと、
その部下の岡田将生さんがその対応に追われますが、
そこに警察の捜査が絡む中、
流通革命の歪みのようなものが、
事件を通して浮かび上がって行きます。
これは素晴らしかったですよ。
テレビドラマを起点とした娯楽映画としては、
踊る大捜査線の映画第一作に匹敵するくらいじゃないかしら。
流通革命でのし上がった巨大流通産業が、
その利便性の一方で、
今の社会の不幸の元凶になっている、という、
誰もが分かっていながら、
あまり真正面からドラマ化することの難しいテーマに、
真向から挑んでいる、という点がまず凄いでしょ。
流通革命とデジタル化が、
一握りの大金持ちを生み出す一方で、
殆どの人間を不幸にして、
間違いなく今の世界を、
滅亡に向かわせているんですよね。
その「悪」の表現は、
ややステレオタイプで、
その解決もやや昭和の臭いのするのが難ですが、
このテーマに勝負を挑んだという時点で、
この作品の値打ちがあると思います。
台本の密度が素晴らしいでしょ。
主役の2人がちょっと得体が知れないんですね。
その言動も結構矛盾に満ちていて、
こうしたキャラを主軸に据えることは、
かなり冒険でもあるのですが、
それを満島ひかりさんと岡田将生さんに演じてもらうことによって、
観客に納得をさせつつ、
この2人の正体も知りたい、
という興味もあって物語を引っ張ってゆくことに成功しているのです。
この辺りの計算もとても巧みです。
ミステリーとしても、
爆弾がどのように仕掛けられたのかという、
ハウダニエットを主軸に据えて、
犯人の正体が二転三転する辺りも、
非常に考えられていると感心しました。
それでいて、クライマックス前に犯人の正体は明かして、
最後の爆弾解除を巡る攻防に、
最初から用意された幾つかの人間ドラマを、
集約させるという手際も、
なかなか鮮やかだったと思います。
最初の斬新さと比較すると、
最後はかなり予定調和的に落ち着いたな、
という感じはあるのですが、
それでも現代の最大の「悪」の1つに、
恐いもの知らずに斬り込んだ、という感じの力作で、
現代を代表する社会派娯楽映画として、
是非劇場でご覧頂きたいと思います。
それでは今日はこのくらいで。
皆さんも良い休日をお過ごし下さい。
石原がお送りしました。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は祝日でクリニックは休診です。
休みの日は趣味の話題です。
今日はこちら。
人気ドラマ「アンナチュラル」と「MIU404」との同次元の世界を舞台に、
野木亜紀子さんのオリジナル脚本を、
テレビの演出にも関わったが塚原あゆ子さんが監督した映画が、
今ロードショー公開されています。
ネット通販大手の配送センターから配送された荷物が、
開封と同時に爆発するという事件が連続して起こり、
新センター長として赴任したばかりの満島ひかりさんと、
その部下の岡田将生さんがその対応に追われますが、
そこに警察の捜査が絡む中、
流通革命の歪みのようなものが、
事件を通して浮かび上がって行きます。
これは素晴らしかったですよ。
テレビドラマを起点とした娯楽映画としては、
踊る大捜査線の映画第一作に匹敵するくらいじゃないかしら。
流通革命でのし上がった巨大流通産業が、
その利便性の一方で、
今の社会の不幸の元凶になっている、という、
誰もが分かっていながら、
あまり真正面からドラマ化することの難しいテーマに、
真向から挑んでいる、という点がまず凄いでしょ。
流通革命とデジタル化が、
一握りの大金持ちを生み出す一方で、
殆どの人間を不幸にして、
間違いなく今の世界を、
滅亡に向かわせているんですよね。
その「悪」の表現は、
ややステレオタイプで、
その解決もやや昭和の臭いのするのが難ですが、
このテーマに勝負を挑んだという時点で、
この作品の値打ちがあると思います。
台本の密度が素晴らしいでしょ。
主役の2人がちょっと得体が知れないんですね。
その言動も結構矛盾に満ちていて、
こうしたキャラを主軸に据えることは、
かなり冒険でもあるのですが、
それを満島ひかりさんと岡田将生さんに演じてもらうことによって、
観客に納得をさせつつ、
この2人の正体も知りたい、
という興味もあって物語を引っ張ってゆくことに成功しているのです。
この辺りの計算もとても巧みです。
ミステリーとしても、
爆弾がどのように仕掛けられたのかという、
ハウダニエットを主軸に据えて、
犯人の正体が二転三転する辺りも、
非常に考えられていると感心しました。
それでいて、クライマックス前に犯人の正体は明かして、
最後の爆弾解除を巡る攻防に、
最初から用意された幾つかの人間ドラマを、
集約させるという手際も、
なかなか鮮やかだったと思います。
最初の斬新さと比較すると、
最後はかなり予定調和的に落ち着いたな、
という感じはあるのですが、
それでも現代の最大の「悪」の1つに、
恐いもの知らずに斬り込んだ、という感じの力作で、
現代を代表する社会派娯楽映画として、
是非劇場でご覧頂きたいと思います。
それでは今日はこのくらいで。
皆さんも良い休日をお過ごし下さい。
石原がお送りしました。