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「朝日のような夕日を連れて2024」 [演劇]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は日曜日でクリニックは休診です。

休みの日は趣味の話題です。
今日はこちら。
朝日のような夕日をつれて2024.jpg
鴻上尚史さんの原点にして代表作の「朝日のような夕日をつれて」が、
今小劇場のかつてのメッカ、
新宿紀伊国屋ホールで上演されています。

これはとても良かったですよ。

そこまで期待をしていなかったのですが、
あまりに素晴らしかったので、
帰りがけに受付にいた鴻上さんに、
「良かったです」と一言声を掛けてしまいました。

この作品は鴻上さんの言わずと知れた代表作で、
何度も再演されているのですが、
毎回違った見どころがあって、
前回は大高洋夫さんと小須田康人さんの、
最後の熱演が感動的でした。

アングラ以降の小劇場演劇というのは、
あまり再演が得意ではないんですね。
大体同時代性があって、
その当時の事件などを織り込むことが多かったですし、
役者もあて書きで、
別の役者が同じ役をやることを、
あまり想定していなかったからです。

中ではつかこうへいさんは、
「熱海殺人事件」などにおいて、
つかこうへい事務所時代から、
上演毎に頻繁に役者を入れ替え、
特定の定番の場面以外は、
台詞も大幅に入れ替えて、
再演を繰り返していました。
ただ、それは同じテーマの別ヴァージョンと言うべきもので、
厳密な意味では、
再演ではなかったように思います。

この「朝日のような夕日を連れて」は、
立花トーイという会社が、
新製品を開発するという筋自体は、
再演においても変わっていないのですが、
その新製品が再演の時の最先端の技術を反映したものに変わっている、
という点では、
ニューヴァージョンになっているんですね。

それでいて、作品の根幹の部分は変わっていなくて、
オープニングとエンディングを含めて、
この作品を有名にした演出の大部分は、
台詞や音効を含めてそのままに保たれています。

今回の再演はキャストを総入れ替えなのですが、
新製品をAI関連にしていて、
それはもう目新しさはないのですが、
永遠の一瞬を再現して、
自死した舞台には登場しないヒロインを蘇らせよう、という、
作品の根本部分に非常に合致していて、
今回初めて数十年の歳月を経て、
ある意味この作品の理想的な結末が降臨した、
という感慨に捉われました。

キャストは5人とも、
この作品への愛がビシビシと伝わる熱演でしたが、
特に長く小須田さんが演じていた社長役を引き継いだ、
小松準弥さんが抜群に良くて、
この作品の新しい可能性を感じさせてくれました。

僕は正直この作品の良いファンとは言えないのですが、
今回の作品には時代を超えた感銘を受けましたし、
それはこの作品がこうした形で再演を続けてきたからこその、
小劇場の奇蹟であったように思うのです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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