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新型コロナウイルスワクチンの種類と副反応の差(フランスの疫学データ) [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
アデノウイルスベクターワクチンの副反応.jpg
Annals of Internal Medicine誌に、
2022年8月23日ウェブ掲載された、
新型コロナワクチンの血管系の副反応についての論文です。

新型コロナウイルスワクチンの使用により、
接種後に心血管疾患や血栓性疾患のリスクが増加する、
という指摘は主にワクチン接種開始初期に見られましたが、
その後の報告により、
少なくともファイザー・ビオンテック社とモデルナ社の、
2種類のmRNAワクチンについては、
少なくとも75歳以上の年齢層において、
心血管疾患などのリスク増加は認められない、
という見解が一般的です。

ただ、それ以外の製法の異なるワクチンや、
年齢が75歳より若い場合の影響については、
まだデータが乏しいのが実際です。

今回の研究はフランスにおいて、
2020年の12月27日から2021年の7月20日までの間に、
肺塞栓症、急性心筋梗塞、出血性もしくは虚血性梗塞のいずれかを発症した、
年齢が75歳未満のトータル73325件のケースを解析した大規模なもので、
新型コロナワクチンの接種と疾患発症との関連を検証しています。

その結果、
ファイザー・ビオンテック社とモデルナ社のワクチンについては、
接種と疾患発症との間に明確な関連は認められなかった一方で、
アデノウイルスベクターワクチンであるアストロゼネカ社ワクチンでは、
ワクチン接種後2週目の急性心筋梗塞の発症リスクが、
接種と無関係な時期の1.29倍(95%CI:1.11から1.51)、
同様の条件での肺塞栓症の発症リスクが、
1.41倍(95%CI:1.13から1.75)それぞれ有意に増加していました。

また同じアデノウイルスベクターワクチンであるヤンセン製ワクチンの、
初回接種後2週目の急性心筋梗塞発症リスクは、
接種と無関係な時期の1.75倍(95%CI:1.16から2.62)、
こちらも増加している可能性が示唆されました。

このように、
年齢が18から74歳でアデノウイルスベクターワクチンを接種することは、
急性心筋梗塞や肺塞栓症の発症リスクを増加させる可能性を否定出来ず、
今後更なる検証が必要と考えられます。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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