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ダイエットに対する食事時間制限の有効性 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
時間制限食の有効性.jpg
JAMA Internal Medicine誌に、
2022年8月8日掲載された、
食事時間を制限するダイエット法の効果についての論文です。

肥満は心血管疾患など多くの病気のリスクとなり、
体重を適切に減らすことにより、
そのリスクの低減に繋がることも分かっています。

そのため、多くの減量法が開発されていますが、
科学的にその効果が立証されているものは、
実際にはあまり多くはありません。

摂取カロリーを制限する低カロリーのダイエットは、
その数少ない長期の有効性の確認されている減量法ですが、
その1年継続後の有効性は、
臨床試験においては体重の5%未満の低下にとどまっていて、
リバウンドも多いのが実際です。

そこでカロリー制限に組み合わせるダイエット介入として、
今回検討されているのが、
食事を摂る時間を制限するという方法です。
「夜食べると太る」というのは、
一般にも広く言われていることですが、
代謝の低下する夜間帯にカロリーを摂取し、
それから寝てしまうことは、
理屈から考えても、
体重増加の要因とはなりそうです。

ただ、実際にその影響が、
科学的に実証されているとは言えないのです。

最近では2022年4月にthe New England Journal of Medicine誌に、
中国での臨床試験データが報告されていますが、
通常の食事時間と比較して、
朝8時から午後4時までに食時間を制限しても、
統計的に有意な減量効果の差は認められませんでした。

今回の研究はアメリカにおいて、
25から75歳でBMIが30から60の肥満者、
トータル90人をくじびきで2つの群に分けると、
一方は通常の低カロリーのダイエットを行い、
もう一方はそれに加えて食事可能な時間を、
午前7時から午後3時までに制限して、
14週の減量治療の効果を比較検証しています。

その結果食事時間を制限しない場合と比較して、
昼間の8時間のみに制限すると、
体重減少は2.3キログラム(95%CI:-3.7から-0.9)多く認められました。
ただ、体脂肪量の変化などの他の指標については、
明確な差は認められませんでした。

今回のデータは4月のNew England…とほぼ同じ条件で行われていますが、
その結果は異なっています。
ただ、New England…のデータでも、
有意ではないものの減量効果は食事時間制限群でやや上回っていて、
一定の有効性のある可能性は残っているように思います。

この問題はまだ未解決と考えた方が良さそうです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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