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新型コロナワクチン接種の感染後心血管疾患予防効果 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は日曜日でクリニックは休診です。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
ワクチン接種の心血管疾患予防効果.jpg
JAMA誌に2022年7月22日ウェブ掲載された、
新型コロナワクチン接種の、
新型コロナウイルス感染の合併症予防効果についてのレターです。

新型コロナワクチンには、
重症化予防効果があるとされています。

これは通常感染に伴う入院や死亡のリスクが、
ワクチン接種者では未接種者と比較して、
低くなっていることがその根拠となっています。

これは感染に伴う急性期の重症化リスクですが、
新型コロナウイルス感染症では、
全身の血栓塞栓症のリスクが高まり、
発症1か月以降を経過した後にも、
心筋梗塞や脳卒中などの心血管疾患のリスクが高まることが知られています。

それでは、
こうした感染後時間を経過した後での、
心血管疾患リスクの増加に対して、
ワクチン接種は予防効果を示しているのでしょうか?

この点についてはあまり明確なデータが存在していませんでした。

今回の研究は韓国において、
2回以上のワクチン接種を施行した、
168310名の新型コロナ感染者と、
ワクチン未接種の62727名の新型コロナ感染者を対象として、
新型コロナウイルス感染症の診断から、
31日から120日の間に発症した、
心筋梗塞や脳卒中の発症リスクと、
ワクチン接種との関連を比較検証したものです。
ワクチンは2種類のmRNAワクチンとウイルスベクターワクチンで、
その種別による違いは検討されていません。

その結果、
心筋梗塞と脳卒中を併せたリスクは、
ワクチン未接種者と比較して2回以上接種者では、
58%(95%CI:0.29から0.62)有意に低下していました。

個別に見ても、
心筋梗塞の発症リスクが52%(95%CI:0.35から0.94)、
脳卒中(虚血性梗塞)の発症リスクが60%(95%CI:0.26から0.63)と、
どちらも有意に低下していました。

これは具体的には、
ワクチン非接種の発症数が31件で、
ワクチン接種者の発症数が74件、
人口100万人1日当たり、
6.18件と5.49件の差ですから、
それほど大きなものではありませんが、
ワクチン接種が所謂新型コロナ感染の後遺症的な部分にも、
一定の有効性を示すことを示唆するものとして興味深く、
今後他の後遺症状についても、
検証が行われることを期待したいと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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