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新型コロナワクチンの組み合わせと有効性 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
ワクチン3回接種の組み合わせ.jpg
British Medical Journal誌に、
2022年5月31日ウェブ掲載された、
新型コロナワクチンの組み合わせと、
その有効性についての論文です。

新型コロナワクチンとして、
最もその有効性が確認され、
データも豊富であるのは、
ファイザー・ビオンテック社と、
モデルナ社による2種類のmRNAワクチンであることは、
間違いがありません。

それに次いで臨床的知見が豊富なのは、
アストラゼネカ社のウイルスベクターワクチンで、
それ以外にジョンソンアンドジョンソン社や、
ノババックス社製など、
複数のワクチンの臨床データが発表されています。

これらのワクチンは毎回同じ物を接種するのが原則ですが、
日本でも3回目のブースター接種については、
他の種類のワクチンを使用しても、
問題はないということになっています。
海外では1回目と2回目の接種を、
別個のワクチンで行っている場合もあり、
複数のワクチンを組み合わせた方が、
より効果があるという報告もあります。

それでは、
どのような組み合わせでどのようなワクチンを、
何回接種することが、
最も有効性が高い方法と言えるのでしょうか?

今回の検証はこれまでの53の臨床データを、
まとめて解析したネットワークメタ解析ですが、
無症状と有症状を併せた新型コロナウイルス感染症の予防効果は、
mRNAワクチンを3回接種する方法が最も高く、
96%(95%CI:72から99)に達していました。

アデノウイルスベクターワクチンを2回接種してから、
3回目接種をmRNAワクチンで行うと、
同様の予防効果は88%(95%CI:59から97)と算出されました。

重症化予防効果が最も高かったのは、
同じmRNAワクチンを2回接種した後で、
予防効果は99%(95%CI:79から100)と算出されました。

入院の予防効果が最も高かったのは、
mRNAワクチンを3回接種した場合で、
予防効果は95%(95%CI:90から97)と算出されました。

ワクチンの死亡リスクについての有効性は、
今回のデータの解析からは推計困難でした。

3回のワクチン接種の有効性は、
65歳以上の高齢者でも年齢に関わらず認められ、
α株、デルタ株、オミクロン株による差もありませんでした。

このように、
現状は3回接種に限定した場合、
mRNAワクチンを3回接種することが最も有効性は高く、
複数のワクチンを組み合わせる場合にも、
3回目接種はmRNAワクチンを選択することが、
妥当な選択であるようです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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