SSブログ

「死刑にいたる病」(白石和彌監督映画版) [映画]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は土曜日で午前中は石田医師が、
午後2時以降は石原が外来を担当する予定です。

土曜日は趣味の話題です。
今日はこちら。
死刑にいたる病.jpg
白石和彌監督によるサイコスリラーで、
櫛木理宇さんによる同題の小説の映画化です。

阿部サダヲさんが猟奇的連続殺人の犯人を演じ、
過去に因縁のある岡田健史さん演じる大学生が、
たった1件の冤罪を調べて欲しいと阿部さんから依頼され、
そこから闇の世界に足を踏み入れてゆく、
という物語です。

原作を先に読んだのですが、
正直それほどではないな、という印象で、
連続殺人鬼が1件のみを冤罪と主張して、
過去に少し知り合いであっただけの大学生に、
その調査を依頼するというプロット自体に、
かなり無理があるなあ、という感じがあって、
そこには勿論裏があるのですが、
それが分かった上でも、
説得力は薄いという感じがします。

映画はほぼほぼ原作通りなのですが、
これだったら、オリジナルで組み上げた方が、
より映画的な作品になったように思いますし、
何故この原作を、というのが最後まで疑問でした。

白石監督はどちらかと言うと、
オリジナルより原作ものの方が出来が良いのですが、
今回は定常運転で可もなく不可もなくという感じでした。
岡田さんが雨の中で混乱するところと、
ラストは監督の趣味が出た感じで、
見ごたえのある場面に仕上がっていましたが、
それが映画全体を押し上げるという感じではなくて、
細部にちょっと個性を出した、
というレベルに留まっていました。
阿部さんの不気味さはなかなかで、
新境地という芝居でしたが、
爆発するような部分はなく、
ほぼ全て面会室のみの芝居なので、
こちらも食い足りない印象が最後まで残りました。

そんな訳で、
キャストも演出も手練れを揃えた割には、
平均点のサイコスリラーで、
白石監督の個性が、
十全に発揮されたようなものではありませんでした。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
nice!(2)  コメント(0)