SSブログ

心血管疾患二次予防における地中海ダイエットの有効性 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
心血管疾患二次予防における地中海ダイエットの有効性.jpg
Lancet誌に2022年5月14日掲載された、
地中海ダイエットの、
心血管疾患二次予防における有効性についての論文です。

地中海ダイエット(Mediterranean Diet)というのは、
ギリシャなど地中海地方の伝統的な食事パターンのことで、
その内容は必ずしも報告や研究で一致している訳ではありませんが、
ナッツやオリーブオイルを多く摂り、
野菜や果物、魚を多く摂り、
赤身肉な加工肉はあまり摂らない、
というような特徴は一定しています。

この地中海ダイエットに、
心血管疾患を予防する効果があり、
生命予後にも良い影響を与えるということは、
多くの精度の高い臨床試験や疫学データにおいて、
ほぼ実証されている事実です。

ただ、心血管疾患の再発予防効果について、
実証的に検証したような精度の高い臨床データは、
これまでにあまり存在していませんでした。

今回の臨床試験はスペインの単独施設において、
冠動脈疾患のある1002名を登録してくじ引きで2つの群に分けると、
一方は地中海ダイエットを栄養士が指導し、
もう一方は脂質のみを総カロリーの30%未満に制限して、
中間値で7年の経過観察を施行しています。

その結果、
低脂肪食と比較して地中海ダイエットは、
関連する因子を補正した上での心血管疾患リスクを、
0.719から0.753倍有意に低下させていました。
年間1000人当たりの発症率は、
地中海ダイエット群が28.1件に対して、
低脂肪食群が37.7件でした。

このように、
心血管疾患の再発予防効果が、
食事の脂肪は制限せずにその組成を変えることに力点を置いた、
地中海ダイエットにおいてより顕著であったことは、
大変興味深く、
今後地中海ダイエットのうちのどような成分が、
そうした健康影響に結び付いているのか、
より詳細な検証に期待したいと思います。

食事療養のトレンドは、
脂質制限から脂質を充分に摂った上でその組成に留意する、
という方向に変わって来ていることは、
間違いがないようです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
nice!(4)  コメント(0)