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オミクロン株の特徴(スコットランドの疫学データ) [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
オミクロン株の特徴スコットランド.jpg
The Lancet Infectious Diseases誌に、
2022年4月22日ウェブ掲載された、
新型コロナウイルス、オミクロン株の、
感染の特徴についての論文です。

オミクロン株の特徴については、
感染力の高さや軽症化はほぼ間違いのないことですが、
それ以外についてはまだ混沌としています。

その潜伏期の短さから、
行政では無症状感染や濃厚接触者の観察期間を、
どんどん短くしているのですが、
最近家族での初回の感染者から、
1週間以上経過してからの家族内感染の事例を、
経験することが多くなっているので、
本当にその方針が正しいのかについては、
正直懐疑的になっているのが実際です。

今回のデータはスコットランドの疫学データで、
940か所の医療機関で診断された、
オミクロン株と想定される、
23840名の新型コロナ患者が対象となっています。

この時期のスコットランドではデルタ株とオミクロン株以外の感染は、
ほぼないと想定されるので、
RT-PCR検査における特徴的な所見から、
その2つの分類を行っています。

オミクロン株の患者の49.2%は20から39歳で、
若年層が主体の感染であることを示しています。
観察期間中に90日以内に再感染するリスクは、
オミクロン株がデルタ株の12倍の7.6%になっていました。

15か所の病院のデータで解析された、患者の入院リスクは、
デルタ株と比較して32%(95%CI:0.19から0.52)という低率でした。

2回目のワクチン接種から25週以上経過後の有症状感染リスクを、
3回目接種もしくはブースター接種は、
57%有意に低下させていました。

このように、
オミクロン株の感染はデルタ株と比較して、
重症化リスクは低く、
再感染率は高いという特徴があり、
ワクチンのブースター接種は、
そのリスクを低下させはしますが、
それは2回目接種後早期と比較すると、
劇的な低下とまでは言えないレベルであることが分かります。

現状は3回目接種より有効な予防法が、
ないことは事実なので、
それを進める一方で、
より有効性の高い予防法が、
早期に確立されることを待つしかないのかもしれません。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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