「広島ジャンゴ2022」(蓬莱竜太) [演劇]
こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は土曜日で午前中は石田医師が、
午後2時以降は石原が外来を担当する予定です。
土曜日は趣味の話題です。
今日はこちら。
シアターコクーンのレパートリーとして、
蓬莱竜太さんが旧作をアレンジして演出にも当たり、
天海祐希さんと鈴木亮平さんがダブル主演した舞台に足を運びました。
蓬莱竜太さんは多彩な作品を発表されていて、
素晴らしい作品のある一方、
オヤオヤという感じの作品も結構ある、
という印象です。
最近では「ビューティフルワールド」は素晴らしい傑作でしたが、
「首切り王子と愚かな女」は、
何がしたいのか分からない凡作でした。
今回の作品はかなり微妙なところでしたが、
小劇場演劇の古典的なスタイルの1つが、
結構シンプルに活かされているのが好感が持て、
天海祐希さんという希代のカリスマ女優の魅力が、
十全に発揮されている点も良かったと思います。
ただ、如何にも小劇場スタイルの、
基本的にはかなり小粒の感じの作品なので、
天海祐希さんと鈴木亮平さんという2大スターを揃えて、
これが本当にそれに見合った作品であるのか、
と言う点を考えると疑問にも感じるところです。
広島にある牡蠣の加工工場が舞台で、
父親の虐待から娘と一緒に逃げている中年女性と、
自殺した姉を持つ内気で引っ込み思案な青年が、
前時代的な家族経営を目指す工場長に、
切なく儚いささやかな抵抗をして、
現実にわずかなさざ波が立つというお話に、
青年が夢想する勧善懲悪の西部劇の世界を絡め、
その幼児的な活劇の世界と現実とが重層的に展開される、
というお話です。
これはかつての渡辺えり子さんの劇作に、
非常に近い構造ですよね。
主人公の青年が幻想世界に入るきっかけが、
死んだ姉という死者の力だ、
と言う点も渡辺さんの作品構造に似ています。
海外でも「ラ・マンチャの男」はこれに良く似た構造のお芝居で、
現実世界と物語の世界が並行して進み、
互いに影響し合って最後には1つになります。
途中にとても似通ったセリフがあって、
少し影響を受けているな、という感じもありました。
本当はもっと根暗でウジウジしたお話だと思うのですね。
それが主人公の青年を鈴木亮平さんが演じ、
逃げている主婦を天海祐希さんが演じることで、
非常に陽性の仕上がりになっているのが面白いところです。
幻想世界はマカロニウェスタンになるのですが、
保安官の夫を殺した凄腕の御尋ね者女ガンマンを、
天海祐希さんが演じると、
これはもう見惚れるしかないという感じになります。
クライマックスは蓬莱竜太さんのつかこうへい好きが出たという感じで、
鈴木亮平さんがマイクパフォーマンスを演じる中、
天海さんが荒くれ男どもを相手に、
立ち回りを演じるのです。
これはとても良かったですね。
眼福という感じです。
難を言えば幻想世界の構成が少し甘くて、
マカロニウェスタン的な部分も薄味だったですよね。
最後の活劇でどうにか帳尻を合わせた、という感じはありましたが、
もう少しウェスタン的な派手な見せ場が、
欲しかったと感じました。
いずれにしても観て損はないと思える娯楽作で、
完成度はそれほど高いとは思えませんが、
主役2人のファンの方にも、
まずは納得のゆく仕上がりになったようには感じました。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は土曜日で午前中は石田医師が、
午後2時以降は石原が外来を担当する予定です。
土曜日は趣味の話題です。
今日はこちら。
シアターコクーンのレパートリーとして、
蓬莱竜太さんが旧作をアレンジして演出にも当たり、
天海祐希さんと鈴木亮平さんがダブル主演した舞台に足を運びました。
蓬莱竜太さんは多彩な作品を発表されていて、
素晴らしい作品のある一方、
オヤオヤという感じの作品も結構ある、
という印象です。
最近では「ビューティフルワールド」は素晴らしい傑作でしたが、
「首切り王子と愚かな女」は、
何がしたいのか分からない凡作でした。
今回の作品はかなり微妙なところでしたが、
小劇場演劇の古典的なスタイルの1つが、
結構シンプルに活かされているのが好感が持て、
天海祐希さんという希代のカリスマ女優の魅力が、
十全に発揮されている点も良かったと思います。
ただ、如何にも小劇場スタイルの、
基本的にはかなり小粒の感じの作品なので、
天海祐希さんと鈴木亮平さんという2大スターを揃えて、
これが本当にそれに見合った作品であるのか、
と言う点を考えると疑問にも感じるところです。
広島にある牡蠣の加工工場が舞台で、
父親の虐待から娘と一緒に逃げている中年女性と、
自殺した姉を持つ内気で引っ込み思案な青年が、
前時代的な家族経営を目指す工場長に、
切なく儚いささやかな抵抗をして、
現実にわずかなさざ波が立つというお話に、
青年が夢想する勧善懲悪の西部劇の世界を絡め、
その幼児的な活劇の世界と現実とが重層的に展開される、
というお話です。
これはかつての渡辺えり子さんの劇作に、
非常に近い構造ですよね。
主人公の青年が幻想世界に入るきっかけが、
死んだ姉という死者の力だ、
と言う点も渡辺さんの作品構造に似ています。
海外でも「ラ・マンチャの男」はこれに良く似た構造のお芝居で、
現実世界と物語の世界が並行して進み、
互いに影響し合って最後には1つになります。
途中にとても似通ったセリフがあって、
少し影響を受けているな、という感じもありました。
本当はもっと根暗でウジウジしたお話だと思うのですね。
それが主人公の青年を鈴木亮平さんが演じ、
逃げている主婦を天海祐希さんが演じることで、
非常に陽性の仕上がりになっているのが面白いところです。
幻想世界はマカロニウェスタンになるのですが、
保安官の夫を殺した凄腕の御尋ね者女ガンマンを、
天海祐希さんが演じると、
これはもう見惚れるしかないという感じになります。
クライマックスは蓬莱竜太さんのつかこうへい好きが出たという感じで、
鈴木亮平さんがマイクパフォーマンスを演じる中、
天海さんが荒くれ男どもを相手に、
立ち回りを演じるのです。
これはとても良かったですね。
眼福という感じです。
難を言えば幻想世界の構成が少し甘くて、
マカロニウェスタン的な部分も薄味だったですよね。
最後の活劇でどうにか帳尻を合わせた、という感じはありましたが、
もう少しウェスタン的な派手な見せ場が、
欲しかったと感じました。
いずれにしても観て損はないと思える娯楽作で、
完成度はそれほど高いとは思えませんが、
主役2人のファンの方にも、
まずは納得のゆく仕上がりになったようには感じました。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。