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大腸癌検診の方法と効果比較(スウェーデンの臨床研究) [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
大腸癌検診の方法比較.jpg
the Lancet Gastroenterology & Hepatology誌に、
2022年3月24日ウェブ掲載された、
大腸癌検診の方法についての論文です。

大腸癌はスクリーニングの有効性が確認されている、
数少ない癌の1つです。
便の潜血反応の検査と、
大腸内視鏡検査(S状結腸までの検査を含む)の、
それぞれを単独で施行するか、
組み合わせて施行することで、
一定の有効性があることが、
これまでの多くの臨床試験において確認されています。

ただ、たとえば大腸内視鏡検査と便潜血検査を、
直接比較したようなデータは、
実際にはあまり存在していません。

今回の研究はスウェーデンにおいて、
60歳の住民を1回のみの大腸内視鏡検査による検診と、
2年間隔での2回の便潜血検査による検診、
そしてコントロールの3群に分けて、
その後の経過を検証しています。

トータルで278280名のデータを解析したところ、
大腸ファイバーを施行した31140名のうち、
0.16%に当たる49名と、
便潜血を施行した60300名のうち、
0.20%に当たる121名に大腸癌が発見されていて、
その発見率には有意な差はありませんでした。
一方で前癌病変の高リスクの腺腫の発見率のみで比較すると、
その発見率は便潜血群より大腸ファイバー群において、
1.27倍(95%CI:1.15から1.41)有意に高くなっていました。
肛門から距離のある右側の大腸の癌については、
大腸ファイバー群でより多く診断されていました。

このように、
個別の特徴は勿論あるものの、
大腸内視鏡検査を1回のみ施行する方法と、
便潜血検査を期間をおいて2回施行し、
陽性の対象者で大腸内視鏡検査を施行する方法は、
どちらもほぼ同様の有効性があると、
そう考えて大きな誤りはないようです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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