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新型コロナオミクロン株、BA.1とBA2の違い(中和抗体価の比較) [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
オミクロン株1と2の違い.jpg
the New England Journal of Medicine誌に、
2022年3月16日ウェブ掲載されたレターですが、
新型コロナウイルス、オミクロン株の、
BA.1とBA.2の2つの変異の違いについての内容です。

オミクロン株の流行が、
ピークは越えた可能性はあるものの、
まだまだ  高いレベルで持続しています。
現行日本で流行しているBA.1という亜種以外に、
別個の変異を持つBA.2という亜種がヨーロッパなどで流行しており、
その亜種が日本でも報告されるようになって、
今後その増加が危惧されています。

実際にはオミクロン株には、
BA.1、BA.2、BA.3の3つの主な亜種があって、
BA.1が急速に優勢となった、という経緯があります。
このBA.1には現行のワクチンによる中和抗体を、
回避するという可能性が指摘されています。
その一方で最近世界各地域でBA.2が増加し、
BA.1に置き換わっているという事実は、
BA.2に何らかのアドバンテージがあることを示しています。

今回の検証では、
3回のワクチンを受けた24名の中和抗体価を、
時期に応じて変異株毎に測定し、
亜種による違いを比較しています。

こちらをご覧下さい。
オミクロン株1と2の違いの図.jpg
一番左がファイザー・ビオンテック社ワクチン初回接種後、
2週間での中和抗体価で、
WAというのが元の新型コロナウイルス株、
オミクロン株のBA.1とBA.2と並んでいます。

抗体の上昇は元のウイルスと比べて、
BA.1が23分の1、BA.2が27分の1と、
かなり低いことが分かります。
真ん中の図は3回目接種直前のもので、
抗体価はより減少し、
オミクロン株では殆ど機能していないレベルです。
それが右の3回目接種後には、
著明に上昇していることが分かります。
ただ、元のウイルスと比較すると、
オミクロン株での反応は弱く、
BA.1よりもBA.2では更に低いということが分かります。

更にオミクロン株のBA.1流行時期に感染した、
8名の検体を解析したところ、
元のウイルスに対しても、
BA.1とBA.2の2種類の変異株に対しても、
ほぼ同等の中和抗体の上昇が見られました。
ただ、BA.1の抗体価はBA.2の1.4倍となっていて、
BA.2の反応はやや低い傾向は確認されました。

このように、
現行のワクチンに対するオミクロン株の、
中和抗体上昇率は低く、
2回のワクチン接種のみでは無効に近い状態となりますが、
3回目接種を施行すると、
一定の抗体価上昇が認められ、
一定の有効性はあると言って良いようです。
オミクロン株のBA.1に感染すると、
BA.2に対してもやや低いもののほぼ同レベルの中和抗体活性が、
その後には認められるので、
一定の交差免疫は成立しており、
BA.1感染後すぐにBA.2に感染するという可能性は、
現状は低いと考えて良いようです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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