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新型コロナワクチン3回目接種後の心筋炎リスク [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
新型コロナ3回目接種後の心筋炎.jpg

JAMA誌に2022年3月17日ウェブ掲載された、
新型コロナウイルスワクチン3回目接種後の、
副反応の心筋炎の発症リスクについてのレターです。

新型コロナウイルスワクチン(mRNAワクチン)の、
3回目接種(ブースター接種)が今日本でも施行されています。

現行使用されているファイザー・ビオンテック社及びモデルナ社のワクチンについては、
その短期の有効性と安全性はほぼ確立されていますが、
少数ながら副反応や有害事象の報告も見られます。

その中で、特に10代くらいの若年男性において、
そのリスク増加が指摘されているのが、
ワクチン接種後の急性心筋炎です。

統計により差があるので何とも言えないところがありますが、
その発症率はワクチン2万接種に1件程度と想定されています。

今回の検証はイスラエルにおいて、
軍隊でのファイザー・ビオンテック社ワクチンの、
3回目接種を受けたトータル126029名を対象として、
接種後1週目と2週目における、
急性心筋炎の発症率をみたものです。

その結果対象者全体での発症リスクは、
接種後1週目で10万接種当たり3.17件(95%CI:0.64から6.28)、
2週目で5.55件(95%CI:1.44から9.67)でした。

これを心筋炎の発症の多い18から24歳の男性に限ってみると、
接種後1週目の発症リスクは、
10万接種当たり6.43件(95%CI:0.13から12.73)、
2週目では11.25件(95%CI:2.92から19.59)となっていました。

これは確かに年齢性別を限ると、
多い副反応ではあると言えるのですが、
たとえば同じイスラエルの軍隊のデータで、
2回目の接種後の発症リスクは、
10万接種当たり5.07件なので、
ブースター接種においてより増加しているとは言えません。

矢張り接種回数に関わらず、
若年男性への接種においては、
急性心筋炎のリスクがやや高まることは念頭において、
症状出現時は迅速かつ適切な対応を取ることが、
重要であると考えられます。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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