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片頭痛と認知症リスク(2022年メタ解析) [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は土曜日で午前中は石田医師が、
午後2時以降は石原が外来を担当する予定です。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
片頭痛と認知症.jpg
Aging Clinical and Experimental Research誌に、
2022年1月31日ウェブ掲載された、
片頭痛と認知症との関連についての論文です。

片頭痛は慢性頭痛の1つで、
30代の女性に多く、
目の前に光が走るなどの前兆の後に、
頭の片側が拍動性に激しく痛む発作が特徴的です。

発作をコントロールする薬については、
トリプタン製剤が発作の軽減に有効で、
最近抗CGRP抗体という注射薬も開発され使用されています。

しかし、片頭痛の原因については、
局所的な脳神経細胞の興奮による、
という考え方が一般的ですが、
それほどクリアに分かっている訳ではありません。
多くの片頭痛は良性の病気ですが、
高齢者における片頭痛は、
脳梗塞や認知症との関連を示唆する疫学データが、
これまでに多く報告されています。

今回ご紹介するのは片頭痛と認知症との関連ですが、
たとえば2020年のthe Journal of Headache and Pain誌に掲載された研究では、
オランダの住民データを元にした解析で、
片頭痛があるとその後の認知症のリスクが1.5倍増加し、
特に閃輝暗点や知覚過敏などの前兆があると、
2.11倍認知症リスクが増加した、
と言う結果が報告されています。

今回の研究は、
これまでの主要な臨床データをまとめた解析した、
メタ解析と進手マティックレビューです。

9つの臨床研究に含まれる、
トータルで291549名の事例を解析したところ、
片頭痛があるとその後の認知症のリスクが、
1.33倍(95%CI:1.16から1.53)有意に増加していました。
このうち特に脳血管性認知症については、
1.85倍(95%CI:1.22から2.81)と、
より高いリスク増加が認められました。

このように、
高齢者での片頭痛は、
認知症のリスクと一定の関連のあることは間違いがなさそうで、
特に脳血管性認知症と関連が深いことは、
脳血管の障害の1つの現れとして、
片頭痛が関与している可能性が高いと推測されます。

片頭痛は特に高齢者においては、
めまいなどと同じく、
脳の状態を表す1つの兆候として、
捉える必要があるかも知れません。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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