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「命、ギガ長ス」(2022年再演版) [演劇]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は日曜日でクリニックは休診ですが、
午前中は新型コロナワクチンの接種があり、
午後はレセプト作業で、
夜はまだ昨日のRT-PCR検査結果を電話掛けの予定です。

休みの日は趣味の話題です。
今日はこちら。
命、ギガ長ス.jpg
2019年に松尾スズキさんと安藤玉惠さんの2人芝居として初演された、
「命、ギガ長ス」が、
ダブルキャストで今再演されています。

今回は宮藤官九郎さんと安藤玉惠さんの、
「ギガ組」の上演に足を運びました。

この作品は初演は観ているのですが、
ブログの感想など読み返すと、
あまり褒めていません。

ただ、今回再見してなかなかの傑作だと思いましたし、
クライマックスのアル中の死に際の妄想では、
素直に感動することが出来ました。

初演の時はもっと過激なものを期待していたので、
やや肩透かしの感じがあったのですね。
確かにもっとキャラが暴走しても良いのに、
と思う部分はありますし、
以前の松尾さんの少人数のお芝居では、
過剰なまでに多くのキャラが入れ替わり出没していましたから、
基本的にアル中の中年息子とその認知症の母親の2人だけで、
それをドキュメンタリーで撮影している女子大生と、
そのモラハラ指導教授のエピソードが、
ちょろっと挿入される程度という今回の作品は、
小さくまとまった、という感じはするのですね。

ただ、それであるだけに、
緻密で奥の深い表現が可能になったのだと思いますし、
それがクライマックスの感動に結び付いたのだと思います。

初演を微調整した松尾さんの演出は、
初演も感じましたけれど実に冴えていますよね。
以前野田秀樹さんの「農業少女」を演出した時も感じましたが、
こういう良い意味でチマチマした小細工が上手いんですね。
舞台イラストも、
吹越さんによる口での音響効果も、
ラストにのみ出現する小道具の扱いも、
場のつなぎ方も、
オープニングの暗転のタイミングも、
まあ実に見事ですよね。
小劇場演出の達人と言うか、
名人芸の域だと思います。

初演は松尾さんのアル中の中年男が、
ややリアルさに乏しい感じはあったのですね。
モラハラの大学教授の方は、これはもう抜群なのですが、
アル中には意外に見えないな、という感じはあったのです。

今回のクドカンは、
その良い意味で貧相な感じが、
松尾さんより役柄に合っていてリアルさがありました。
頑張って生きていて欲しいな、
という気がしますもんね。
その一方でモラハラ大学教授は、
ちょっと違和感はありました。

初演に引き続きの安藤玉惠さんは、
抜群に良かったですね。
彼女の代表作の1つと言って間違いのない出来でした。

お婆さんも女子大生も両方良かったですよね。
両方とも良い意味でエロいのですね。
初演の時はもう少しお婆さんは枯れた感じでやっていたんですね。
でも今回はもっと自然に、
色っぽくやっていて、
この方が絶対いいんですよね。
老人の色気のようなものが、
ある意味この作品のテーマでもあるので、
それが自然に感じられるのがとても凄いと感じました。

そんな訳で小劇場の魅力に溢れた素晴らしい2人芝居で、
是非是非劇場に足をお運びください。
感銘を受けますし、
演出と演技の掛け値なしの名人芸に接することが出来ます。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。
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