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新型コロナワクチン4回目接種の必要性は? [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
ワクチン4回接種の有効性.jpg
査読前の論文を公開しているmedRxivに、
2022年2月15日公開された、
新型コロナワクチン4回目接種の有効性についての論文です。

現在日本においては、
2回目接種の6ヶ月以降において、
新型コロナワクチンの3回目接種が施行されています。

ワクチン接種が先行しているイスラエルでは、
主にファイザー・ビオンテック社ワクチンが、
21日を空けて2回接種され、
その6ヶ月後に3回目の接種が施行。
その後にオミクロン株の流行が起こったため、
4ヶ月後に4回目接種が、
こちらはモデルナ社ワクチンも採用して、
2種のワクチンにより施行されています。

今回の比較的小規模な検証では、
ワクチン3回目接種後に一定レベル抗体価が低下した医療従事者、
154名にファイザー・ビオンテック社ワクチン、
120名にモデルナ社ワクチンの4回目接種を行ない、
年齢をマッチさせた426名の3回接種者を、
コントロールとして比較しています。

その結果いずれのワクチンの接種においても、
その2週間後のIgG抗体のレベルは9から10倍に、
生きたウイルスを使用した、
オミクロン株に対する中和抗体も8倍に増加していました。

しかし、無症状を含む新型コロナウイルス感染に対する有効率は、
ファイザー・ビオンテック社ワクチンが30%(95%CI:-9から55)、
モデルナ社ワクチンが11%(95%CI:-43から44)と低く、
有症状感染に対しても、
ファイザー・ビオンテック社ワクチンが43%(95%CI:7 から65)、
モデルナ社ワクチンが31%(95%CI:-18から60)と、
3回接種と比較して満足のゆく結果ではありませんでした。

要するに4回目接種を施行しても、
それまでに低下した抗体価を一定レベル補完出来るだけで、
それでオミクロン株のブレイクスルー感染を、
完全に抑止出来るような効果は期待出来ない、
という結果です。

まだ査読前の比較的少数の事例の結果で、
もう少し有効性があったとする別個のデータもあるので、
この結果はまだ確定したものではありませんが、
4回目接種についての具体的な方法については、
まだまだ検証が必要であるようです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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