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ブレイクスルー感染のワクチンによる差 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
ブレイクスルー感染のワクチンによる差.jpg
JAMA誌に2022年1月20日ウェブ掲載されたレターですが、
2種類のmRNAワクチン2回接種後の、
ブレイクスルー感染の頻度を比較した内容です。

新型コロナウイルスワクチンを、
規定量で2回接種していても、
新たに新型コロナウイルス感染症に罹患することを、
ブレイクスルー感染と呼んでいます。
これは正式な用語と言って良いようです。

短期的には高い有効性を示す。
ファイザー・ビオンテック社とモデルナ社による、
2種類のmRNAワクチンですが、
概ねその免疫反応は、
接種完了後半年から明確に低下すると指摘されています。
ただ、その免疫の反応低下を血液中の抗体価で判定すると、
モデルナワクチンの方がファイザーワクチンより、
高いレベルと維持している、という報告があります。

今回の調査はアメリカにおいて、
ファイザーワクチンを接種した574538名と、
モデルナワクチンを接種した62628名を解析。
更に2種類のワクチンを接種した62584名ずつをマッチングして、
接種後のブレイクスルー感染の頻度を比較したものです。

2回ワクチン接種後14日以降で発症したブレイクスルー感染の頻度を、
デルタ株優位で感染が拡大していた、
2021年7月から11月の時期で比較したところ、
11月におけるブレイクスルー感染の頻度は、
接種者1000人1日当たり、
ファイザーワクチンが2.8件に対して、
モデルナワクチンが1.6件で、
この時点でのブレイクスルー感染のリスクは、
モデルナワクチンはファイザーワクチンより、
15%(95%I:0.80 から0.85)抑制されたと、
マッチングでの解析では算定されました。
ブレイクスルー感染の予後については、
感染後60日の時点での入院リスクが、
モデルナワクチンの方が20%有意に低下していましたが、
死亡リスクなどには明確な差は認められませんでした。

このように、
モデルナワクチンとファイザーワクチンを比較すると、
その有効性や持続性において、
モデルナワクチンの方がやや上回っていることは、
これまでのデータの蓄積から、
ほぼ間違いのないことであるようです。
その一方で副反応もやや強いことは間違いがなく、
その選択はケースバイケースで考える必要がありそうです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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