SSブログ

オミクロン株の抗原迅速検査での感受性 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
オミクロン株の抗原検査.jpg
査読前の論文を公開している、
melRxivというサイトに、
2021年12月22日ウェブ掲載された短報ですが、
市販されている7種類の抗原検査のキットで、
オミクロン株の検出感度を検証しているものです。

オミクロン株の流行が日本でも止まりません。

厳密に言えば、
どのくらいの比率がオミクロン株か、
と言う点についての正確な統計はないのですが、
この広がりの急拡大の仕方と、
その大半がワクチン接種後のブレイクスルー感染である点、
海外からの流入とその染み出しから、
感染が広がっていることが明らかである点より、
ほぼほぼオミクロン株主体の流行であることは、
間違いのない事実であるように思います。

その多くは軽症の事例で、
ウイルス量はそれほど多くないことが想定され、
スパイク蛋白の遺伝子にも変異が多いことから考えると、
RT-PCR検査はともかくとして、
迅速診断の抗原検査では、
的確な診断が出来ないのではないか、
というのは誰でも想定出来るところです。

実際のところはどうなのでしょうか?

今回の検証では、
7種類の一般に使用されている、
新型コロナウイルス感染症の抗原キットを使用して、
オミクロン株の培養検体を用い、
その感受性をこれまでの他の変異株や、
元になる新型コロナウイルスのデータと比較しています。

その結果、キットによりかなり違いがありますが、
ほぼ全てのキットでその検出感度は、
オミクロン株ではそれ以外と比較して低下していました。

これはまだ査読前のデータに過ぎませんが、
新型コロナウイルスの迅速抗原検査の感度は、
オミクロン株の感染ではかなり低く、
その使用には限界のある点は、
留意しておく必要がありそうです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
nice!(4)  コメント(0)