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閉経後骨粗鬆症における外傷性骨折の再発リスク [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は金曜日でクリニックは休診ですが、
老人ホームの診療などには廻る予定です。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
外傷性骨折の再発リスク.jpg
JAMA Internal Medicine誌に、
2021年6月7日ウェブ掲載された、
閉経後の骨折の再発リスクについての論文です。

閉経後の女性は骨粗鬆症のリスクが高まり、
その典型的な症状が非外傷性の骨折です。

これは咳をしたりつまづいたりしただけで骨折したり、
何のきっかけもないように思えるのに、
ある日診断される骨折です。

こうした非外傷性の骨折が一度あると、
その後の再発率は非常に高いと考えられています。

その一方で高い場所から転落したり、
交通事故に遭ったりして、
明らかな外傷により起こる骨折もあります。

現状の骨粗鬆症の国際的ガイドラインにおいては、
骨粗鬆症の症状としての骨折は、
非外傷性の骨折に限っています。

しかし、その考え方は本当に正しいのでしょうか?

今回の研究はアメリカの複数施設において施行された、
女性の健康についての疫学研究のデータを活用したもので、
66874名の50歳以上の閉経後の女性を対象として、
平均で8.1年の経過観察を行っているものです。
観察期間中に10.7%に当たる7142名が骨折を経験しています。

ここで、
1回の骨折後に再骨折するリスクは、
骨折していない場合と比較して、
1.49倍(95%CI:1.38から1.61)有意に増加していました。
これを外傷性の骨折と非外傷性の骨折とに分けて解析すると、
外傷性骨折後の再骨折リスクは、
骨折していない場合と比較して1.25倍(95%CI:1.06から1.48)で、
これが非外傷性骨折の場合には、
1.52倍(95%CI:1.37から1.68)の増加となっていました。

このように、
矢張り非外傷性骨折の方が再骨折に繋がりやすい傾向はあるものの、
両群はオーバーラップしており、
外傷性骨折であっても、
少なからず再骨折のリスクは増加していました。

今後はこうした結果も取り入れる形で、
骨粗鬆症の骨折リスクの評価は、
修正される必要がありそうです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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